【連載第2回】高論卓説〜業界のキープレイヤーが語る〜(後編)

公開日:2023.06.16

最終更新日:2023.06.16

※以下はビジネスチャンス2023年6月号から抜粋した記事で、内容は取材時の情報です。

従業員、顧客双方の満足度が高い店舗は売上が上昇 働き手にとって有意義な環境を提供することを意識

「スターバックス」と「マクドナルド」、両者それぞれが一強ブランドへの強い意識を口にした。そして、対一強ブランドへの意識を前面に打ち出したそれぞれの施策が、見事に効果を発揮しているという。現在、ゴンチャは133店舗(4月末時点)、バーガーキングは187店舗を全国に展開。同じようなステージにおり、外資ブランドという似たような境遇にある2社が今後の方向性について語った。

ターゲットの若い女性層に受けるゴンチャのメニューと店舗

本部体制を強化し、拡大スピードアップへ 2028年に FC300店舗、全体で500店舗目指す

角田 ファンづくりは非常に重要ですし、それに加えて働き手自体が、自社ブランドのファンであることもすごく大切なポイントだと考えています。私が着任してから、NPS(ネット・プロモーター・スコア)というお客さまの満足度を測るアンケートを取り始め、同時にeeNPS(エンプロイー・ネット・プロモーター・スコア)というクルー(従業員)に対してのアンケートも取り始めました。するとクルーの満足度が高く、お客様の満足度が高いお店の多くは、売上げの伸び率が良いという見事な相関が見られたのです。
 好きな野球チームがあっても、自分のチームに愛を持っていない選手がバッターに立ったら応援したいとは思えないじゃないですか。それと同じで、どんなブランドでも今働いている人たちが、そのブランドを好きじゃなければ、そこで商品やサービスを買おうとは思わないですよね。ビジネスって、BtoBとか、BtoCとか色々ありますけど、結局は、HtoH(Human to Human)なんだということを実感しています。
 ありがたいことにゴンチャはターゲット層と働く層の世代が一緒で、質の良い人たちが集まりやすい。スタッフに長く続けてもらうためにも、有意義な時間を過ごせる場所を提供することは強く意識しています。
野村 まさにマクドナルドは、そのHtoH、人と人の繋がりであることに早めにフォーカスして、ファミリーを作り上げて、あそこまで大きくなっていますよね。私たちは彼らの強みにどう近づけていくかをずっと考えています。彼らが作り出した文化やマインドセットをいかにバーガーキングに落とし込めるかが、今後のカギになってくるでしょうね。
角田 今後の方針として、FCという視点でいえば、投資回収という点にフォーカスしています。36か月が投資回収の目標ではありますが、現実的には40か月を超えてしまっている現状。出店コストをスマートにして、着実に投資回収をしてもらえるパッケージにすることが、現在の一番の重要課題です。
 また月並みですが今年はデジタル化も最優先に考えています。昨年からモバイルオーダーやデリバリーなどを導入していますが、それが上手く連携できておらず、店舗でレジの2度打ちが必要になるなど、現場の負担になっていました。そのため、現在はそれらすべてを年内に繋げられるようにと動いています。
 ゴンチャは15〜25歳の女性がメインターゲットなのですが、日本にゴンチャが来て7年ほど経ち、当時15歳だった子が今22歳になっています。今後もファンと一緒に成長していくストーリーを意識して、展開していくつもりです。と同時に、毎年毎年ゴンチャに初めて来たという新しい15歳の子たちが生まれているので、その子たちが行きたいと思える店づくりをすることにも、焦点を当てていきたいですね。
野村 我々もまだ5〜6年の会社なので、お話を聞きながら同じステージにいるなと感じました。さらなるDX推進は成長していくうえで不可欠と思っています。
 この3〜4年で100店舗ほど直営店を出しながら、キッチンのレイアウトやダクト1本の配置さえも間違えていることに気づき、失敗を繰り返しながら一つ一つ改善してきました。アジア本部やマイアミ本部と話し合いをするのですが、彼らは日本の大きさやお客様の動き方を知らないので、我々が自ら学んでいくしかないのです。
 そしてその学びがようやく成果となり、日本に適応した店舗運営をフランチャイジーにコンサルティングできるようになってきました。私が入社した頃のFC店は8店舗でしたが、現在は20店舗になりました。本部体制が整ってきたので、今後さらにスピードを増して拡大していけると思います。
 またFC専任人材のリクルートを強化しています。FC業界でさまざまな経験を積まれてきた方たちに入ってもらい、よりお客様、フランチャイジーの皆様の気持ちを理解できるFC本部にしていきたいと思っています。
 私の目標は2028年には500店舗に拡大し、そのうちFC店を300店舗にすること。それが達成できれば1000店舗に行く道に繋がると思うので、まずはそこまで頑張りたいですね。

高論卓説〜業界のキープレイヤーが語る〜第2回 外食事業(前編はこちら)

 

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