【ゴーゴーカレー】不況に負けない食事業態
公開日:2023.07.02
最終更新日:2023.07.02
※以下はビジネスチャンス2023年6月号から抜粋した記事で、内容は取材時の情報です。
今こそ優良物件の狙い時
アルコールに依存しない食事業態は、非常時でも不可欠とされ客の大幅減少は避けられた。好調ブランドは空きが出た優良物件を狙い目とし、出店を加速させている。
PROFILE みやもり・ひろかず
1973年、石川県金沢市生まれ。高校を卒業後、地元の旅行会社に勤務。同郷同世代の松井秀喜選手がNYで活躍する姿に影響を受け脱サラを決意し、2004年にゴーゴーカレーを新宿にオープンする。美味しいカレーを世の中に広める事をミッションとし、カレーの専門商社として世界一を目指す。
コロナ下の3年間で約40店舗を出店 業態転換需要でプロデュース店舗も好調
ゴーゴーカレーグループは「ゴーゴーカレー」のFC本部だ。2004年に1号店をオープンし、翌年にFC展開を開始。2007年には海外進出も果たした。現在は国内90店、海外15店を展開しており、プロデュース店舗は1555店を突破した。直近3年間で約40店舗(ライセンスを含む)を出店するなど、コロナ禍でも躍進を続ける同社の宮森宏和会長に話を聞いた。
コスト見直しと売上維持で更に黒字化しやすいモデルに
―御社は直近3年間で、国内外40店舗を新規出店されました。コロナで飲食店が苦しむ中、出店してきた理由を教えてください。
宮森 コロナは、我々にとって100年に一度のチャンスだと思っています。カレーは食事業態であるため、居酒屋のように売上が乱高下することはありません。コロナ禍で、都心の店舗は多少影響を受けましたが、全体の客足は以前とほぼ変わりませんでした。また、カレーは季節性もなく安定した売上を確保できることから、不況に強い業態だと言えます。事実、リーマンショックの時も業績は伸びていました。今回の不況で多くの飲食店が撤退する中、テナントの賃料は下がっています。だからこそ、今が出店のチャンスなのです。コロナ下でオープンした店舗は、3か月ほどで黒字化しています。
―コロナ以前とコロナ後で、収益構造に変化はありましたか。
宮森 売上に関しては、テイクアウト・デリバリーが好調でした。来店客数が減った店舗でも、テイクアウト・デリバリーの注文が増えたことで、売上の約8割は確保できていました。
また、コロナを機にコスト見直しを行いました。水道光熱費や消耗品など、あらゆる出費のムダを省き、変動費をかなり絞りました。売上の維持とコスト削減により、コロナ禍でも黒字が続いています。
夜業態の昼売上に貢献 好調のプロデュース店舗
―御社はFCのほか、プロデュース店舗でも規模を拡大されています。
宮森 プロデュース店舗は既存事業にカレーをプラスすることです。居酒屋のランチ営業やカラオケ店のグランドメニューに追加するなど、活用方法はさまざまです。ギフトホールディングス(東京都町田市)さんがラーメンブランド「町田商店」でプロデュース店舗をされているのをみて、当社もカレーで挑戦しようと、5年ほど前から開始しました。
導入にあたって、加盟金や保証金、研修費やロイヤリティは発生しません。代わりに、当社のカレールーを購入していただきます。特に、コロナでは夜業態が深刻なダメージを受けました。収益確保のためにランチ営業をするにも、一から始めるのでは大変です。その点、当社のプロデュース店舗に加盟すれば、ブランド力のあるカレールーを温めて盛るだけのシンプルな作業で提供できます。また、FC店のないエリアにプロデュース店を出した場合、その地域ではゴーゴーブランドのカレーが食べられる唯一の店となるため、一定の集客を見込めます。
―今年3月、西畑誠氏に社長交代されました。今後の会社方針と成長戦略を教えてください。
宮森 グローバル展開とフードテックの推進に注力します。西畑社長はグーグルなどの大手IT企業での勤務経験があり、ITの知見に長けた人物です。今後は、ITの力で事務作業を低減し店舗運営を効率化するほか、顧客の利便性を向上するために、いつでもどこでも注文できるオーダーシステムを構築する予定です。
―宮森会長は4月に、レトルトカレーの製造委託先である日本製麻(神戸市中央区)の社長に就任されます。今後は、ゴーゴーカレーとどのようなシナジーを狙いますか。
宮森 当社はルーの卸なども手掛けていますが、これまで日本製麻の工場がひっ迫していたため、ルーを売りたくても売れない状況が続いていました。そのため、新工場の設立も視野に入れて、ルーを増産できる体制を作りたいです。
簡単に解説!!コロナ禍で善戦した飲食店の特徴
1、潜在的な人気をもつ食事
・寿司 99.1% ・焼肉 77.5% ・スイーツ ほか
外食の王道ジャンルがランクイン!! 外出自粛により外食の特別感が高まる中、幅広い世代から支持され、ハズレを引く心配のない王道ジャンルに人気が集まった。数少ない外食で贅沢しようとする傾向も高まり、錦糸モンブランなどの高級スイ ーツも好調だった。
2、少人数短時間業態
・ファーストフード 101.8% ・ラーメン 88.5% ・カレー ほか
三密回避の需要に沿った業態がランクイン! コロナ以前より、テイクアウト・デリバリーに取り組んできた同業態は、巣ごもり需要を追い風に成長。特にファーストフードは好調で、外食の中で唯一、コロナ前の業績を上回っている。
3、郊外に展開するブランド
住宅街やロードサイドなどに展開する飲食店は、比較的好調だった。自宅学習やリモートワークの定着で、地元飲食店の利用が増加。また、郊外に展開する飲食店は規模も大きく、ある程度の席間隔が保たれている傾向がある。そのため、郊外立地の飲食店は都心部の飲食店より利便性が高く、感染リスクも低いとされ、コロナ下でも利用され続けた。
※上記「%」は、2019年と比較した2021年の売上高。参考:日本フードサービス協会「外食産業市場動向調査」
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