【連載 第39回】経営者が知らないとマズイ 業績を上げるためのファイナンスの裏ワザ
公開日:2023.08.02
最終更新日:2024.08.27
※以下はビジネスチャンス2023 年2月号から抜粋した記事で、内容は掲載時の情報です。
おカネの話からご都合主義を排除しよう
公認会計士・税理士。経理代行のアカウンタックス代表。ビズ部・部長。債権の入金確認や振込業務を含む、経理の全機能を提供し、キャッシュ・フロー改善に貢献している。毎月開催する節税セミナーには多くの経営者が参加して好評を博している。
今回は顧問税理士のアドバイスに覚える違和感の原因を明らかにしたいと思います。
法人におカネを溜めておくと良い
一般的には、法人で利益を出して法人税を払った方が良いと言われています。法人税は所得税よりも税率が低いからです。また、法人税の納税から逃れるための節税商品の購入は、納税が遅くなるだけで無意味だと言われます。そのため、法人税の節税はしない方が良いというのが、現在主流の考え方です。もっともらしく聞こえますが、この話には矛盾があります。
都合の良い部分の切り取り
個人事業主は所得税を払えば、それ以上の課税はありません。しかし、法人はおカネを動かせば課税されます。たとえば、オーナー社長が役員報酬や退職金、配当金を受け取る場合は、所得税が課されます。つまり、必ず目減りするものを勘案せずに、短期的判断をしているのです。
一方、節税するはずの税金を自らの管理下に置いておく課税の繰延は長期的な視点で導き出されています。
つまり、時間の前提が不揃いである二つの一般論が、違和感に繫がっているのです。
長期視点で考えるべき
顧問税理士はオーナー社長のために、将来の影響を考慮した長期継続的なアドバイスをします。その意味で、法人に利益を残した方が有利だという短期的判断は、間違いだと思います。この矛盾が指摘されないのは、多くの税理士が「法人に利益を残した方が有利」という大衆迎合的考え方で思考停止しているからだと思います。
予測を当てる必要はない
繰り延べた利益が課税されるかは、未来の業績次第です。税金を払いたくないとはいえ、黒字を目指して経営するわけですから、課税の繰延は本来、歓迎すべきものです。しかし、現実は残酷です。法人税を払った後に業績不振になっても、過去に遡って課税の繰延は出来ません。そのため、長期的判断で未来の予測を当てる必要はないのです。必要なのは、最悪の事態を想定して行動することです。わたしは「山口さんに言われて色々やったけど、意味がなかった」と言われて「良かったですね」とお客様と大笑いする未来を作るために、最悪の事態を想定しながらアドバイスをしています。
とてつもなく厄介な問題
財務論では、自己資本比率が高い会社が良いと言われています。倒産確率の低さを表す指標で、毎年利益を積み上げることで比率を高めます。しかし、自己資本の増加は、自社株式の評価額を押し上げるため、多額の相続税の原因になります。
税理士や銀行に言われて法人税を払い、自己資本を増やしている方もいるでしょう。その結果、将来の相続税が増えています。非上場会社の株式は換金出来ないので、預金から相続税を納めることになります。納める預金があれば良いですが、足りないケースもよくあります。
長期的視点で考えたら当たり前の話ですが、自己資本の増加をアドバイスする人達はこの問題を先に説明しないようです。
暴論にも一理あり
異論や暴論に耳を傾け、比較することで、一般論の確かさを把握できると思います。法人で利益を出す必要がない、というわたしの意見は時に暴論と呼ばれますが、決してウケ狙いで言っているわけではありません。このコラムを読んで下さる方や自分と関わるお客様だけは、おカネの苦労をしないようにアドバイスしているだけです。是非、わたしの意見もよく考えて、より良い結果をもたらす意思決定をして頂きたいと思います。
Profile 山口真導
公認会計士・税理士。経理代行のアカウンタックス代表。ビズ部・部長。債権の入金確認や振込業務を含む、経理の全機能を提供し、キャッシュ・フロー改善に貢献している。毎月開催する節税セミナーには多くの経営者が参加して好評を博している。
お問い合せ TEL.03-3237-1311
ビズ部:http://kigyou-no1.com
毎月開催! 節税セミナー
https://accountax.co.jp/solution/tax-avoidance-seminar/
次なる成長を目指す
すべての経営者を応援する
フランチャイズ業界の専門情報誌
フランチャイズ業界唯一の専門情報誌として、毎号さまざまな切り口をもとに新興本部から大手本部までをフォーカス。またFCを自社の新たな経営戦略として位置付け、中長期的な経営を目指す経営層に向け、メガフランチャイジーの情報も提供しています。
次号発売のお知らせ
2024年12月23日発売
記事アクセスランキング
次なる成長を担うすべての起業家を応援する
起業&新規事業の専門情報誌
“起業のヒント” が毎号充実! “ビジネスチャンス” の宝庫です。
すぐにでも役立つ独業・開業・転業・副業サポートの雑誌です。
資金をかけずに始められる新しいビジネスの紹介、FC、経営・会社運営のノウハウなど、多くの経営者からの“起業のヒント”が毎号充実。