【ほっかほっか亭】「持ち帰り弁当」FC中心に全国873店舗運営(後編)

公開日:2023.10.07

最終更新日:2023.10.07

※以下はビジネスチャンス2023年10月号から抜粋した記事で、内容は取材時の情報です。

「1加盟店で5店舗出店」を推奨 地域密着重視しドミナント戦略を強化

独自のステップアップシステム FCS・FCLでプロを育成

――現在、店舗は全国で873店です。1000店舗が一つの節目になると思いますが、定量的な出店目標はありますか。
岩嵜 出店数目標は明確に設けていません。というのは、「店舗数イコールチェーンの力」みたいな時代は、もう一昔前と思っています。やはり店舗の売上高、あとは収益性、特に当社としては加盟店比率ですね。ここを重視しています。直営店で出店はするのですが、それをいかに早く転売、そして近隣のFCオーナーにドミナント加盟をしてもらう点に注力しています。
――新店をオープンするにあたっては、まず本部が出店する。
岩嵜 そうですね、直営として出店をします。
――店舗の78%がFC店です。22%の直営店をいずれはFC店に転換させていく。
岩嵜 半年以内を目安に、近隣のオーナーに転売していくことを目標に掲げています。当社の独自の仕組みとしてFCLというのがあるのですが、これは低投資で増店ができる。この仕組みを活用して「5店舗1ユニット、1オーナー」で拡大していく。
――この仕組みは。
岩嵜 法人でも個人でも結構ですが、1オーナーで、5店舗は近隣でやっていただけるよう推奨する。近隣でやることで人不足の課題であったり、外販の注文を効率よく提供したりとか、いろんなメリットがある。それによって収益性を高めてもらうという訳です。
――出店をして、半年ぐらいでオーナーに任せる。その仕組みとして、FCS(フライチャイズオーナースタートアップ)、FCL(フランチャイズライトオーナー)、FCと3つ用意しています。
岩嵜 FCSはいわゆる委託契約です。まだ「ほっかほっか亭」をやったことのない初めての方がいきなり始めると、従業員や地域の方に迷惑をかける可能性もありますので、お試し期間の形をとっています。
――まずは直営店舗を任せる。
岩嵜 そうですね。店長を3か月〜最長1年間やっていただくことになります。
――それでできるとなったら委託から、今度は直営店限定の加盟になる。これがFCLですね。
岩嵜 FCLもしくはFCという形になりますが、今は主にはFCLの契約になると思います。
――転売というのは、運営をする権利を売るということですか。
岩嵜 そうですね。FCは店舗の資産も全てオーナーのものです。FCLは直営の資産で、総本部の資産を一定のロイヤリティをもとにリースするイメージです。このFCLの初期投資で、いわゆるオーナー業をやれる、というのが当社の特徴です。
――確かに加盟しようと思うと、割と安い金額で段階を踏んで拡大できる。
岩嵜 1オーナーで5店舗を、例えば代、代のオーナーが全てFCでやるとなると、初期投資にかかる費用は億は下らない。ですのでFCをやっていただいてる方がもちろん前提ですが、FCLで増店したりとか柔軟性を持って対応して、ドミナントを形成してもらう。まず直営店を出店して転売する、そしてまた新たに出店する。これがポイントで、直営で一気に無理をして出店をしてしまうと、そこで売り上げが下がったり、従業員が離脱してしまったり、不安定な運営になるのが一番投資回収が悪い。
――FCSは、「ほっかほっか亭総本部」になってからできた契約システムです。より間口を広げたということですか。
岩嵜 間口を広げたというのと、我々も加盟資質をきっちりと見なくてはならないという考えもあります。やはり店舗を長く続けてもらえる方に参画していただきたい。
――873店舗にうち、FCLとFCの比率は。
岩嵜 大体FCが60%、FCLが18%です。
――最終的にはFCに転換する。
岩嵜 FCLの契約期間は、限定で5年間ですので、5年後にはもうFCになっていただくというスキームです。やはり40代の方で5店舗を持っていただいて、年商で2億〜3億円、利益率8%以上というところが、我々の目指すところです。

「リモデル3.0」で新体制構築 新たな成長フェーズへ

――ほっかほっか亭総本部となって今年が3年目。岩嵜社長体制となってFCシステム含めて様々な施策を進めてきました。
岩嵜 「リモデル3.0」を打ち出しています。温かいお弁当を真面目に心を込めてという「Hot、Heart、Honesty」、これは変えない。一方、リモデルという点では「リファイン、レボリューション、リニューアル」として、「磨き上げる」、「変革する」、「刷新する」。これは店舗もそうですし、商品を更に磨き上げていこうという戦略です。
――その象徴として店舗のデザインを変更しました。
岩嵜 エネルギーコストも配慮して、看板は、縦10cm分ダウンサイズする。「ほっかほっか亭」のマークは視認性を上げながら、エネルギーコストを抑制する。大事なのはどういう想いをこのブランドに込めていくか、そして今後創造していくかということですので、そのプロモーションで動画制作なども進めていく。
――今後既存店舗は順次変えていく。
岩嵜 リニューアルという形で進めていきます。この数年は、加盟店の方との信頼関係の再構築を進めてきました。各地域に店長会があるのですが、もう1回きっちり、何をやっていくのかというところを主体にして、全国の店長会の役員さんたちと一緒に、新しい「ほっかほっか亭」を創造していくことに取り組んできました。ある程度土台ができましたので、ハード面やデザインのブラッシュアップをやっていくという段階にきています。
――これは社長に就任されてから取り組んできた。
岩嵜 毎月「スリー・エイチ便り」という冊子を出しているですが、今年の元旦号では、年間テーマに「原点回帰」と、「地域密着こそ最適かつ最高の販売促進」と謳っています。新しい「ほっかほっか亭」を作っていくということで、新たな成長フェーズに持っていく。
――岩嵜社長は入社以来、プロパーとしてずっと「ほっかほっか亭」に携わってきました。
岩嵜 私が常々言っているのは、「『ほっかほっか亭』はこんなもんじゃない」と。これからも成長の可能性は大いにあると思っています。古くても、駐車場がなくても、売上が高い店がたくさんある。まさかこんな場所でっていう所でも売れている店はある。これがコンビニなどは、店舗は角地でとか、駐車場台数が台より台の方とか、人口密度が高い方ってなるんでしょうけど、当社はそうではない。やっぱり美味しいお弁当を真摯に提供していく。結局「人のビジネス」という点が一番重要だと感じています。

「ほっかほっか亭」×「コインランドリ―」新パッケージ店舗を拡大

 同社では近年、コインランドリーとのパッケージ店舗の出店も進めている。「WASH & SHINE !(ウォッシュアンドシャイン)」ブランドで展開しているもので、現在87店が稼働しているという。
 その狙いを岩嵜社長は話す。「食を提供するだけではなく、共働きの方に対して社会的な貢献は何ができるのかと考えたところから行きつきました。『コインランドリ―で洗濯して、お弁当を買って帰る』、便利なお店として集客力が高ま ってます」。
 コンビニエンスストアの跡地に出店しているケースが多く、駐車ペースも確保できることから、より多くの集客を見込める。コインランドリーは24時間稼働できることから、収益力も高めることができるという。
 コインランドリーの運営は、「ほっかほっか亭」のスタッフが兼務することとなるが、深夜などの緊急な問い合わせは、もともとノウハウを持つ同社のカスタマ ーセンターが担当。遠隔操作することで対処する。安全面と衛生面を確実に担保するため、コインランドリー部門に関しては本部直轄で運営する。

コンビニの跡地に出店するケースも多い

【ほっかほっか亭】「持ち帰り弁当」FC中心に全国873店舗運営(前編)

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