【連載 第5回】ハイジと学ぶ 脱毛業界のトリセツ
公開日:2023.10.27
最終更新日:2023.10.27
※以下はビジネスチャンス2023年10月号から抜粋した記事で、内容は掲載時の情報です。
第5回 セルフ業態を運営する上での障壁
脱毛業界の二大勢力だった、脱毛サロンと医療機関。大手脱毛サロンチェーンは、高額ローン契約やずさんな経営体制から消費者が離れ、現在は、医療機関による脱毛施術が人気を集める。そんな中、セルフ型サロンや家庭用脱毛器が登場。脱毛業界の勢力図が大きく変わろうとしている。シンプルな利用スタイルで店舗数を伸ばすセルフ脱毛サロン「ハイジ」代表の斎藤一誠氏が、脱毛業界を徹底解説する。
前回、セルフ脱毛サロンが加速度的に拡大した背景をご説明しました。理由は大まかに二つ。一つは、セルフ業態にすることで、「コストが高すぎる」「予約が取りにくい」「恥ずかしいという心理的負担」といった従来型の脱毛サロンの課題を一気に解決できること。もう一つは、時代の流れがセルフ化に進んでいたこと。私がハイジを立ち上げたきっかけもまさにこの二つの理由からでした。
契約率の低さが無人業態の課題
以前も申し上げましたが、完全無人型のセルフ脱毛サロンを始めたのは、把握している限りでは当社が初めてです。2019年の春にハイジ1号店を出店して以降、セルフ脱毛サロンがすっかり浸透し、現在約70店舗まで拡大しています。
しかし、ハイジの開業当時には大きな障壁がありました。それは、セルフ脱毛に使用できる業務用の脱毛器がなかったことです。当時は初心者が業務用脱毛機を使用するという前例がなく、脱毛機メーカーに相談してもトラブルを怖がり、導入を断られました。
また、どの脱毛機メーカーも大手脱毛チェーンに機械を卸している手前、競合と成り得るセルフ脱毛サロンに卸すことを嫌がるという理由もありました。
結果的に、当社はたまたま紹介で出会ったメーカーさんに製造を依頼でき、開業が可能になりました。現在はセルフ脱毛サロンも世の中に浸透したため、このような障壁は次第に低くなってきています。
ハイジの開業費用は、加盟金、物件契約料、脱毛機代など全て含めて、500万円ほどです。また、脱毛機をローンで購入する場合は300万円で開業が可能となります。ランニングコストは、家賃、広告費、ロイヤリティなど全て含めて30万円ほど。客単価が7000円弱のため、40名強の利用客がいれば利益が発生する計算になります。
現在ハイジの加盟者は8割が法人で、サイドビジネスとして開業される方が大半です。オーナーさんが一人で運営する場合、人件費は不要。損益分岐点も低く、継続して運営がしやすいという点が、サイドビジネスとして選ばれる理由だと考えています。
しかし、ハイジを運営する上で必須でお伝えする課題点があります。それは利用契約率が低いということ。対面で接客できる一番の利点は営業ができることですよね。その点無人業態はお試し体験の後、いかに契約に繋げるかという部分がどうしても欠けてしまいます。
そのためステップメールや掲示物を用意するなど、契約に繋げるための工夫を本部で重ねてきています。また清潔感を保つ、過不足ない備品の準備など、通いたいと思われる店舗空間を作ることも、契約率や継続率に大きく影響します。
「無人業態の運営は容易だ」と誤解されてしまう人が多いですが、無人だからこそ、継続利用のハードルが非常に高いのです。私は無人業態だからこそビジネスリテラシーが必須となり、初心者の方の参入は難しいと考えています。
Profile 斎藤 一誠
埼玉県出身。獨協大学英語学科卒業後、株式会社レバレッジ入社。2018年セルフ脱毛サロンハイジを創業し、2020年に株式会社ハイジを設立。【脱毛業界改革】を掲げ、脱毛業界の健全化に尽力している。
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