【ジェリーズポップコーン】移動販売の強みを活かし大型商業施設に展開
公開日:2024.03.24
最終更新日:2024.03.24
※以下はビジネスチャンス2024年4月号から抜粋した記事で、内容は取材時の情報です。
顧客のニーズに応える息の長いブランドに
2007年4月に創業したジェリーズポップコーン。2009年に法人化し、事業拡大のため加盟店の募集を開始した。現在、法人約120社と個人約160人が加盟しており、全国で移動組立式ポップコーン販売店を展開している。固定店舗を持たない業態として、商業施設やイベント会場、スポーツ会場などの催事出店を中心に行っている。商品開発にも熱心で、ECサイトでポップコーンのランキング1位を獲得するほど幅広い世代から人気を集める。創業時から「ポップコーンをどう売るか」だけを考えてきたという古賀社長に、同社の取り組みについて聞いた。
Profile こが・ひろゆき
1969年10月生まれ、佐賀県武雄市出身。1992年長崎県立大学卒、同年朝日ソーラー株式会社入社、1995年から支店長として全国各地に赴任。1998年地元に帰り自営で住宅設備業を営む。2007年心機一転、株式会社ジェリーズポップコーン、現在に至る。
口どけ感を重視したポップコーン オリジナルの新フレーバーで集客
--商品のフレーバーのバリエーションが豊富ですが、商品開発でこだわっているポイントは何ですか。
古賀 口溶け感にこだわっています。口の中がぼそぼそするという理由で嫌う人が結構いるのですが、そういう方にも食べていただけるのが当社のポップコーンの特徴です。年齢が高いほど、ぼそぼそ感を嫌う傾向が高くなるようです。なので、材料の豆の品質や黄金比を研究して、フレーバーごとに材料の比率を変えています。市場調査をすることで、50代以上の嗜好にも合うよう商品展開しています。
催事業では新しい味を出すことが非常に重要なので、期間限定の新フレーバーを毎月出しています。何万人も通り過ぎる中で、一人でも多くの人に近寄ってもらうためには変わった味で興味を惹くことが効果的です。私たちのような業態は、店舗が小さくて気づかれないことや、押し売りを警戒されてしまうことが少なくありません。いかに近寄ってもらうかという点については、マシンでポップコーンの香りをたてること、新商品の試食を行っていることをアピールするのがポイントになります。
--ジェリーズポップコーンは固定店舗を持たないブランドです。移動販売に絞った理由を教えてください。
古賀 開業当初は私一人だったので、資金が少なく固定の店舗を借りることが出来ませんでした。催事は売上のパーセンテージの支払いで出店が可能ですし、移動販売は万が一売上が伸び悩むことがあっても移動できます。弊社のビジネスは移動組立式販売で、女性一人でも問題なく組み立てることができる仕様です。初期投資もキッチンカーと比べて非常に安価です。
--キッチンカーと比較すると、他にどのようなメリットがあるのでしょうか。
古賀 キッチンカーと違い、駐車スペースの確保は必要ありません。そのため、キッチンカーの5倍の出店可能場所があると考えています。平日なら全国で約150カ所、土日なら約300カ所に出店しています。およそ2m四方の広さがあれば出店できます。これまで、2m四方に満たないスペースに何度も出店してきました。自動販売機を撤去した場所に出店したこともあります。
流行やブームに左右されない地元密着の店舗展開
--通常はどのような場所に出店するのですか。
古賀 商業施設やイベント会場はもちろんですが、百貨店の催事場や駅の構内、工場の売店やテレビ局、家電量販店です。謝礼をいただいて住宅展示場やホテルのパーティーに出店することもありました。これらの出店場所のうち95%は本部が交渉して、加盟店に出店してもらっています。出店の営業や申請は大変ですから、本部が最も注力してサポートしているポイントです。担当SVがオーナーと相談しながら出店スケジュールを前もって埋めるようにしています。
ジェリーズポップコーンはロイヤリティをいただかないパッケージなので、本部の利益は加盟店に卸すポップコーンの材料費から得ています。手厚くサポートすることで、より多くの材料を卸すことができるので、本部と加盟店は同じ方向を向いて努力しています。
--初期投資と収益モデルを教えてください。
古賀 初期費用は合計約177万円です。内訳は、加盟権利金46万円、研修費29万円、商標の使用権利金及びノウハウ開示が23万円、ポップコーンマシンを含む全50アイテムの機材備品費用78万8800円です。マシンのリースはしていないので買取っていただきますが、分割払いが可能です。
専業型のオーナーが1日10時間、月25日稼働した場合の収益モデルは、1日の平均売上が4万2000円として月商105万円。そのうち、原価は36万7500円、雑費が3万円、場所使用料が15万7500円で、利益は49万5000円になります。場所によって売上の5〜20%程度の出店料がかかりますが、15%で計算しています。
--今後の成長目標を教えてください。
古賀 お客様のニーズに応えていきたいというのが第一です。例えば、ポップコーンを販売するための袋ですが、イベント時は期間限定でデザインを変更しています。クリスマスはサンタクロースの絵柄袋を使用しますが、これが子供にすごく人気です。今年はアニメとコラボして、袋にキャラクターを使用する予定です。子供が喜ぶと親も喜びます。大人を喜ばせるよりも、子供を喜ばせる方が購入に繋がると私たちは考えています。今でも子供に人気なのが風船です。ポップコーンと一緒にお渡ししたりしています。
--市場においてどのような立ち位置を目指していますか。
古賀 私たちは100年続くブランドを目指しています。心がけているのは、ブームや流行に左右されずに、ゆっくりと展開していければと考えています。どんな商材でも起こりうることですが、瞬間的に流行になると、息が短くなる可能性が高くなります。息の長いブランドにするために、私たちは、全国の加盟店が地元で定着するためのサポートを続けています。
また、ポップコーンを購入するお客さまだけではなく、場所を提供する商業施設側にも満足していただける仕事をしたいと思っています。商業施設にとって売上は大切ですが、それ以上に賑わいや活気といった点を商業施設は重要視しています。我々には、売り場の雰囲気作りも期待されていると考えています。ジェリーズポップコーンは、その期待に応えられるブランドです。
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