【連載 第13回】健全で強い本部の作り方
公開日:2024.06.02
最終更新日:2024.10.12
※以下はビジネスチャンス2024年6月号から抜粋した記事で、内容は掲載時の情報です。
フランチャイズオーガナイザー佐々木翔が直々レクチャー!【第13回】
「フランチャイズオーガナイザー」としてFC本部構築のトータルサポートを行うフリグマの佐々木翔社長は、前職のFC本部で「3年間・100店舗」の出店を牽引した実践型コンサルタントだ。同氏が目指すのは優秀なFC本部の育成だが、その先には業界の健全化も見据えている。本連載では佐々木氏がこれまで培ってきた「時流に沿った本部構築方法や運営の在り方」を、実際の手順を踏みながら語っていただく。
エリアフランチャイズ
今回は、本部戦術の中でも異質な「エリアフランチャイズ制」について触れていきます。まず、エリアフランチャイズ制は2つの性質に分けて説明する必要があります。
1つ目は、「特定のエリアで本部としての機能や権利を付与する性質」です。その権利を付与された相手方を「エリアフランチャイザー」と呼びます。例えば本部が九州のA社に対して、九州エリアにおけるエリアフランチャイザーの権利を付与した場合、このA社はフランチャイジーでありながら九州エリアの中では本部機能を持ち、加盟開発を行っていきます。また、加盟店に対しては店舗開発やスーパーバイジングも行います。
エリアフランチャイズ制における本部視点のメリットは、加盟店が増加したとしても、本部人員を増員して組織を拡大させる必要がなくなるという点です。反対にデメリットは、エリアフランチャイザーが本部の理念、事業コンセプトなどを正確に理解できていなければ、エリアフランチャイザーのもとに加盟した加盟店の均質性が担保されなくなりお客様の支持が得られず、売上不振が起きやすくなることです。
2つ目は、「特定のエリア内で決定した数の店舗を出店できる権利を付与する」という性質です。その権利を付与された相手方を「エリアディベロッパー」と呼びます。例えば本部が北海道のB社に対して、北海道内で20店舗を上限とするエリアディベロッパーの権利を付与した場合、このB社は北海道の中で20店舗に到達するまで出店が可能となります。
本部視点のメリットは、加盟開発の効率化が挙げられます。このB社の事例で言えば、一気に20店舗分の加盟契約を締結したことに等しいわけです。一方でデメリットは、エリアディベロッパーの権利を付与したフランチャイジーが、資金力・組織力を持ち合わせていなかった場合、そのフランチャイジーの出店が20店舗に到達するまでは他のフランチャイジーの受け入れが出来ません。そうなると、そのエリアでの加盟開発が進まなくなります。
さて、エリアフランチャイズ制の中にも「エリアフランチャイザー」と「エリアディベロッパー」の権利を付与するケースの2種類が存在することを認識していただきました。ここで共通するポイントは、エリアフランチャイズ制を導入する場合、「パートナーの選定が肝要だ」ということです。
エリアフランチャイズ制のパートナー選定は、単店加盟契約で受け入れるパートナー選定の3倍以上のチェック項目が必要なほどです。このパートナー選定基準が曖昧な場合、先述で挙げたようなデメリットがそのまま発生し、チェーンとして一気に凋落の可能性も十分にあり得ます。過去には、エリアフランチャイザーの権利も持つフランチャイジーが、同業態の本部を立ち上げたという俄かに信じがたい事例もありましたので、留意しましょう。
他方、良質なパートナーと巡り合った暁には、エリアフランチャイズ制は、健全な形でスピードを伴う拡大に向けた本部戦術として機能するでしょう。
Profile ささき・しょう
某FC本部に在籍し、SVやオーナーコンサルチーム責任者として加盟店継続率96%を実現。その後、コンサルティングファームを経て、2017年にリユースショップWAKABAのFC本部を立ち上げた。加盟開発/店舗開発/SV/融資/法務など、全てのFC本部機能をオーガナイズし、加盟募集開始から3年で100店舗、4年で150店舗展開を達成。2021年に株式会社フリグマを設立し、3年で100店舗達成をコミットするFCオーガナイズサービスを世の中に提供するべく活動している。
加盟募集開始から3年で100店舗を実現した確かな実績とノウハウでFC本部をサポート。
株式会社フリグマ
https://flegma.jp/
FCオーガナイザーのYouTube番組
https://www.shosasakifranchisor.com/
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