【豚骨火山】ザーとジーの二刀流で国内60店、海外61店を展開
公開日:2024.07.17
最終更新日:2024.07.17
※以下はビジネスチャンス2024年8月号から抜粋した記事で、内容は取材時の情報です。
自社業態のFC化により海外売上7割を視野
大阪に本拠地を置くサンパークは、「豚骨火山」や「MAJI CURRY(以下:マジカレー)」など7つのブランドを展開するフランチャイザーでもあり、「びっくりドンキー」や「丸源ラーメン」などFC9ブランドに加盟するフランチャイジーでもある。同社はFC本部として商品開発やブランド戦略を磨く一方で、加盟店として店舗運営のノウハウを培ってきた。この経験を活かし、海外でも自社業態とFC加盟の二刀流で展開している。
髙木 健 社長(65)
1959年5月、兵庫県神戸市生まれ。慶応義塾大学法学部法律学科卒業後、丸井に入社。
2年間の勤務後、ホテル業界に転職。最終的には120人を束ねる副支配人に。31歳の時に、縁あって株式会社サンパークを引継ぐ。平成9年5月に代表取締役就任。飲食店のフランチャイズ経営やラーメンやカフェなどのオリジナル飲食店舗の国内外展開、アミューズメント施設、フィットネスやヨガ、ウェルネス分野の経営など展開している。
東京進出の予定が海外へ エンタメ要素の強い業態開発
――御社は国内で飲食14ブランド、フィットネス2ブランド(FC含む)を手掛けていますが、海外では何ブランドで出店していますか。
髙木 8ブランドです。そのうち自社業態で海外展開しているのは6ブランドで、東南アジアの「豚骨火山らーめん」「belle-ville pancake café」「HACHICKEN(鶏白湯ラーメン)」と、東南アジア・北米の「マジカレー」「KAZANRAMEN」「髙木珈琲」です。これらはすべてFCブランド化しており、現地加盟者を募集しています。一方、FC加盟による出店は、シンガポールの「シャトレーゼ」とタイの「ビアードパパ」の2ブランドとなっています。
――海外1号店はシンガポールの豚骨火山でした。
髙木 2012年に出店しました。当初は海外進出ではなく東京進出をする予定でした。物件も決まって準備万端だったのですが、そのタイミングで関東大震災が発生したため東京は諦めざるを得ない状況となりました。であれば、いっそのこと海外へ行こうと決断しました。
そこから進出先を選定するわけですが、商売がしやすいのは親日で身近な国です。東南アジア進出を考える中で、1人当たりのGDPが4万米ドル以上(2010年)と高く、投資優遇税制があるシンガポールに行きつきました。
進出先が決まり、会社を作り、銀行口座も開いて下準備は万端。しかし、肝心の業態は何も決まっていませんでした。シンガポールで人気の日本食といえばラーメンですが、後発ブランドが成功するには何かしらの特徴が必要です。そんな中、シンガポールの中国系の方々が暑い中汗もかかず、美味しそうに火鍋を食べていました。だったら、火鍋にラーメンをぶち込んだらいいんじゃないか、ということで「豚骨火山」が始まりました。
――現地の食文化に着想を得た業態開発ですね。
髙木 そうです。私たちの業態開発のポリシーは、お客様を楽しませること。豚骨火山は火鍋にスープと麺を入れ、円錐状の蓋を被せて提供します。そうすることで、蓋から出る湯気が火山の噴火に見えるのです。また、店舗デザインにもエンターテインメント要素を加えています。たとえば、タイの店舗は天井にねぶたを付けて日本文化を全面に押し出しています。カンボジアは、ビルに火山のオブジェを付けたテーマパークさながらの店舗になっています。
――豚骨火山の業績はどのように推移してきましたか。
髙木 オープン初日から満席で、コロナ期間を除き業績はずっと右肩上がりです。現在は2019年の売上を越す勢いで、シンガポール5店舗、タイ5店舗、フィリピン・カンボジアで1店舗ずつ出店しています。
――御社は海外でも自社業態とFCの二刀流で展開しています。その理由は。
髙木 日本ブランドが海外で失敗するケースとして圧倒的に多いのが、合弁先に好き勝手されてしまうパターンです。そこで、私たちは日本ブランドの海外展開を引き受けることにしました。本部は商品開発やブランディングを得意としますが、運営も得意とは限りません。一方、当社は国内で培った運営ノウハウがあります。そこで本部からお声が掛かり、日本ブランドの海外店舗運営を行うことになりました。「ビアードパパ」は、タイ全土のマスターフランチャイズ契約で当社の下に加盟店がいます。本部からみると孫ですね。タイ13店舗のうち11店舗は当社で、2店舗はFCです。「シャトレーゼ」は、シンガポールで10店舗を展開しています。
トップが赴き現地を知る 文化に合わせてローカライズ
――海外で成功するために意識していることはありますか。
髙木 最初にトップが行くことです。現地を知り、どの業態がマッチするか、どんなローカライズを加えるか、トップが五感で感じることが重要です。私も先日、マジカレーのインド展開を考えて現地に行ってきました。結果、インドのレベルの高さに気づかされ、カレーからラーメンに方向転換しました。ただ、通常のラーメンではなく、火山の形に作ったドーサを乗せたカレーラーメンを開発し、インド向けにローカライズしています。現地の人はもちろん、日本人が食べても美味しい味を最低ルールとし、商品開発を行っています。
――そのほかに実施しているローカライズは。
髙木 飲酒文化のあるアメリカでは、最低でもビールとワインは提供できるようにしていて、バーカウンターを設置している店舗もあります。また、ヒンズー教徒が多いインドは牛が食べられないので、チキン&ベジタブルメニューを展開しています。
――国によってコスト構造の違いはありますか。
髙木 シンガポールは日本と同じくらいの人件費ですが、朝昼晩で外食します。加えて、10%のサービス料が掛けられるので、利益としては非常に大きいです。一方、タイは日本と変わらない値段でラーメンを提供していますが、ウェイターの平均月収が6万5000円ほどなので、十分に利益が残ります。アメリカは州によりますが、時給$16〜20でスタッフを雇えます。1$が150円だとすると現地スタッフの時給は約2400円。日本の2倍以上の人件費となりますが、ラーメン1杯が$17.8(2670円)で提供できるので、売上分母も高く現状で最も利益率の高い国となっています。
――海外展開における、今後の成長戦略を教えてください。
髙木 目標は2030年に売上高700億円を達成することで、うち7割が海外売上を見込んでいます。そのために今後は海外のFC募集に注力し、スピード展開を行います。コロナ前までは直営メインに出店してきましたが、今後はFC比率を8〜9割に引き上げる予定です。海外のFC展示会にも出展し、現地のフランチャイジーを積極的に募っていきます。加盟契約も順調で今年中に北米で10店舗、フィリピンで5店舗、マレーシアで2店舗、香港で3店舗、カンボジアで2店舗がオープンする予定です。
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