【オートバックスセブン】車買取・販売事業のFC展開を加速

公開日:2024.08.03

最終更新日:2024.08.05

※以下はビジネスチャンス2024年8月号から抜粋した記事で、内容は取材時の情報です。

2030年まで100店舗増へ

オートバックスセブン(東京都江東区) カートレーディング事業統括 倉林真也氏

 大手自動車用品販売オートバックスセブンでは、車買取・販売事業「AUTOBACS C@RS(オートバックスカーズ)」のFC展開をグループ外まで広げる。グループ外の加盟店募集は、4月1日よりスタートさせており、 2025年4月より運営を開始する。同社では、30年までに100店舗まで拡大させていきたいという。

 

 

 

独自の「査定Dr.」システム活用 統一的な車買取価格を算出

 同社が展開している「オートバックスカーズ」は、車買取・販売のFCとして、1996年より事業を開始。全国393店舗(2024年4月1日時点)を展開している。同社は事業立ち上げ当初より、中古車業界の透明性向上を目的に、当時の業界ではなじみの薄かった車買取見積書の発行や、システムを使った査定による統一的な車買取価格の算出を行ってきた。
 同事業の大きな特徴は、2015年に特許を取得した独自車両査定システム「査定Dr.」を活用すること。
 この特許は、「車体再塗装の有無の判定方法および同判定システム」。もともと塗膜の厚さを均一化できているか測るもので、主に造船現場で用いられていたものを応用した。塗膜の厚さによって、どの部分を塗装し直したかなど、車両の修理履歴の判別ができ、顧客の車の状態を適正に把握することができるという。「この『査定Dr.』を使用することにより、経験や勘に頼らない、正確かつ統一的な車両検査と価格の算出を実現します」(倉林真也氏)。
 タブレット端末を使用し、端末に表示される車の各部位のチェック箇所を、検査項目ごとに確認・入力、付属の膜厚測定器を用いて塗装膜の測定を行う。また、端末のカメラで車検証に記載のQRコードを読み込ませることで入力の手間を省き、正確性の向上と、査定時間の短縮に成功したという。「これらのデータは本部へ送信し、検査結果を集積、一括管理することで、どのスタッフが査定を行っても、同じ査定価格を算出します」(倉林氏)。
 同社グループは、「カー用品販売」「車検・整備」と並ぶ事業の柱のひとつとして、1996年から中古車事業に参入、「オートバックスカーズ」ブランドとして車買取・販売を行ってきた。しかし、車の査定ができる店舗スタッフは決して多くなかったことから査定Dr.システムを開発。全国一律の査定額を実現するとともに、5日間の査定価格保証により、顧客がゆとりをもって検討できるようにした。これにより年間の車買取台数も増加。2015年3月期に1万台を突破して以来、国内オートバックス事業における総販売台数は2024年3月期には3万1400台まで拡大している。

全国395店舗の「オートバックスカーズ」

 

 

 

全国的ブランドを提供し 事業ポートフォリオ構築を支援

 新規加盟店は、オートバックスカーズFC加盟店専用のグループ業販サイトを使用することで、加盟店同士での取引が可能になり、「より良質な車両を安心して取引できます」(倉林氏)。
 同社の知名度・ブランド力を生かすとともに、テレビ・WebCMの放送など、大規模な販促活動による集客や、ガバナンス体制を背景に加盟店舗を支援する。
「当社は『正直商売』を事業理念に掲げ、お客様に真摯に向き合ってきた姿勢を評価いただき、顧客満足度調査では、昨年まで5年連続で1位に選出いただくなど、高い評価を受けています」(倉林氏)。
 加盟後は、基礎研修はもちろん、営業スキルアップのための研修やeラーニングなどを多数用意するほか、オークションへの車両出品代行や在庫確認、事務処理など幅広くサポートする。また加盟店向けのコールセンターにより、業務上の不明点なども気軽に相談できるという。買取金は、一旦本部が顧客に支払い、後日、加盟店から徴収する仕組みだ。買い取った車をオークションなどで売却した差額が加盟店の利益となる。
 同社はこれまで、車買取・販売事業を既存顧客の延長線上でしかサービスを行っていなかった。「それだと今後も爆発的なビジネスの広がりが見込めない。ちょうど当社と自動車整備や板金塗装事業者が加盟している事業協同組合と業務提携を結ぶ中で、整備業では、車検等で車を持ち込む顧客から買い替えニーズがあるものの、多くの整備業者は査定のノウハウを持っていないことから、機会損失しているケースが多いという話を聞き、であればオートバックスに来店しない顧客を獲得できるのではないかと考えた」(倉林氏)という。
 一方で、事業承継問題に直面している整備事業者が増えていることなどから、新たなビジネスを提供することで、オートバックスとの様々な連携を図れると考えた。

自動車査定の様子

中古車登録台数約360万台 11カ月連続で前年同月上回る

 日本自動車販売協会連合会によれば、2023年の中古車登録台数は、前年比2%増の356万2068台と4年ぶりに増加。2024年2月の中古車登録台数は、前年同月比11%増の30万9042台で、11カ月連続で前年同月を上回った。新車生産の回復や年初からの株価上昇で買い替えが進んでおり、中古車の台数が増加しているとみられている。「自動車業界は100年に一度といわれる変革期を迎えており、中古車ビジネスを取り巻く環境も大きく変化してきています。当社としても車買取・販売事業を拡大させていきたい」(倉林氏)という。

「査定Dr.」の端末

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