【ビーケージャパンホールディングス】コロナ下の積極出店で227店舗に拡大(後編)

公開日:2024.08.29

最終更新日:2024.08.29

※以下はビジネスチャンス2024年10月号から抜粋した記事で、内容は取材時の情報です。

 

エッジの効いた商品開発 全世界で話題に

――ワッパーをはじめ、御社はインパクトのある独創的な商品が多いですね。
野村 4年前に発売した限定メニュー「アグリー」は、話題性を生み、ものすごく売れました。「醜い」という名前の通り、見た目が不細工なんですよ。あまりに自虐的ですが、「これができるのがバーガーキングだ」と、世界中から褒められました。当社が2020年に新発売したアグリーシリーズは売上ナンバーワンになるほど支持され、その実績から、今年3月に「チーズアグリーバーガー」としてレギュラーメニューに加わりました。
――自虐的な名前は、話題性を狙って付けたのですか。
野村 そうですね。バーガーは比較的、購入までのハードルが低いです。たとえば、ビール業界では派手なプロモーションをしたとしても、「僕はアサヒ一択」「親がサッポロだから」と指名買い状態。ユーザーはスイッチしてくれません。トライアルしたとしても、少しでも自分に合わなければバッドエクスペリエンスとして捉えられます。
 一方、バーガーはアタリハズレの幅があります。許容範囲が広いのです。なので、極端に尖がらせて皆の話題に上がるようにすれば、簡単に売れるようになります。これを狙って、我々はエキセントリックで攻めた商品開発をしています。
――商品もそうですが、プロモーションの面でも御社は度々話題に上ります。
野村 私たちのように広告費に回せるお金が少ない場合は、バズらせる仕組みづくりが不可欠です。当社の場合は、「賞賛」と「批判」のちょうど真ん中にピンを置くようにしています。すると、称賛派と批判派の両方から興味が集まるためバズを起こすことができるのです。そのほかバズらせるための取り組みとして、ライバル店の店内正面から広告が見えるように掲出したり、ファンに出店する物件を探して応募してもらうキャンペーンを実施しました。また、バーガー激戦区の下北沢にも出店しているのですが、ファンの期待に応えて出店したというX上でのやり取りを店舗のガラス面に掲出し、話題化を狙いました。

 バーガーキングの出店形態は、「インストア」「ドライブスルー」「SC」のタイプ。最も多いのは、駅前や商店街など人通りの多いエリアに出店するインストアだ。また、近年の出店は直営がメインだったが、アフターコロナとなった今はFCにも本腰を入れる。直営比率が割と高いため、直営譲渡によるFC拡大も視野に入れている。

4年後に600店舗 FC比率を5割に

――店舗展開は直営がメインでしたが、徐々にFC店も増えてきましたね。
野村 2024年6月末時点で、合計店舗数227店のうち直営が184店、FCが43店となりました。今は直営店が多いですが、今後はFCを増やしていく予定です。基本は直営である程度のベースを作ってから、従業員ごと店舗を加盟店に渡したいと考えています。
――今後FCを増やす理由は。
野村 店舗が増えると、本部の目を全店に向けることが難しくなります。FC化のメリットは、オーナーさんが担当店舗をきちんと見てくれることです。本部とオーナーさんで対話できれば、従業員を守ることができます。
そのため現在、私たちはFC専任のリクルートを強化しています。FC業界でさまざまな経験を積んだ方に入ってもらい、お客様やフランチャイジーの気持ちを理解できるFC本部にしていきたいです。
――新規出店を基本とする一方で、直営譲渡によるFC拡大も行うそうですが、現在はどのような出店パターンがありますか。
野村 駅前や商店街立地の「インストア」、幹線や生活幹線沿いに約坪で出店する「ドライブスルー」、モールやフードコート内に出す「SC」があります。ドライブスルーはまだ12店舗程度なので、大半の店舗はインストアとSCです。ややインストアが先行していますが、最近ではSCも追いついてきました。
――独立店舗でロードサイド出店も可能ですか。
野村 可能です。ただ、物件取得費など加盟店に高いイニシャルコストが発生します。そこの折り合いがつけば、出店形態やエリアのポテンシャルはまだまだあると感じています。
――初期投資を教えてください。
野村 50坪程度のインストアで開業する場合、加盟金約400万円、物件開発着手金100万円、設計管理料180万円、施工費約4000万円、物件取得費192万円、敷金576万円、教育研修費万円、原材料取引保証金400万円(解約時返還)、厨房機器約1800万円、備品費100万円、システム利用料万円/月で、合計8000万円前後となっています。出店費用は、店舗面積が狭いこともあって平均よりは低いです。
――収益モデルは。
野村 2023年度のバーガーキング全店の平均月商は1200万円です。フランチャイズ事業モデルとしては、EBITDA(営業利益+減価償却費)が約144万円(12%)となっており、ランニングコストは人件費22%、配送費3%、水道光熱費4.5%、賃料8%、ロイヤリティ5.5%、広告宣伝費3%、そのほか消耗品費や雑費などで5%です。なお、1店舗あたりのスタッフ配置人数はOPENから半年まで正社員2〜3名、アルバイトスタッフ30〜40名を想定しています。以降は社員1名で運営できる体制を整え、レイバーコントロールをしていきます。シフトラインの人数で言うと、平日はピーク時で7〜8名、土日祝で8〜10名を基本に配置しますが、売上予測によりシフトラインを調整します。
――今後はどのように全体の店舗数を伸ばしていく方針ですか。
野村 2028年に直営300店、FC300店で600店舗を目指しています。直営・FC合わせた新規出店のイメージは今年が55店、来年は65店、再来年は75店、その先は100店舗単位で出せたらと思います。先に直営が300店に到達したとしても、FC300店になるまで待ちません。直営を400店、450店と出し続け、加盟店に渡していくつもりです。
――今後の目標は。
野村 2番手争いに入っていくのが目標です。現状でも2024年の売上は300億円を超える勢いで高い利益率をキープできています。現在、1店舗あたりの平均年商が1億5000万円なので、2028年に600店舗を達成できればシステムワイドセールス(直営店・加盟店の合計売上高)で年商900億円。本部売上は約600億円になる見込みです。
 また、2024年5月時点で出店エリアは29都道府県です。東北エリアや九州一部エリアなど残り18県の未出店エリアにも進出していきたいですね。

ビーケージャパンホールディングス 会社概要
会社名 株式会社ビーケージャパンホールディングス
設 立  2017年11月1日
所在地  東京都千代田区一番町16-1共同ビル一番町 3F
事業内容 食品製造および販売
店舗数 227店(直営184、FC43) ※2024年6月時点
チェーン売上 233億円 ※2023年

【ビーケージャパンホールディングス】コロナ下の積極出店で227店舗に拡大(前編)

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