【連載 第16回】フランチャイズオーガナイザー佐々木翔が直々レクチャー! 健全で強い本部の作り方
公開日:2024.12.17
最終更新日:2024.12.18
※以下はビジネスチャンス2024年12月号から抜粋した記事で、内容は掲載時の情報です。
【第16回】競業避止義務違反の実例
「フランチャイズオーガナイザー」としてFC本部構築のトータルサポートを行うフリグマの佐々木翔社長は、前職のFC本部で「3年間・100店舗」の出店を牽引した実践型コンサルタントだ。同氏が目指すのは優秀なFC本部の育成だが、その先には業界の健全化も見据えている。本連載では佐々木氏がこれまで培ってきた「時流に沿った本部構築方法や運営の在り方」を、実際の手順を踏みながら語っていただく。
競業避止義務違反が認められる場合
今回も前回に引き続き、競業避止義務について実際にあった判例などを交えながらお伝えします。
加盟オーナーがFC加盟をした事業の競合となる事業を行っていることが発覚した場合、本部は当該加盟オーナーにその旨を指摘します。しかしその際、加盟オーナーがこのようなことを主張する傾向があります。それは、「本部から提供されたマニュアルやノウハウを使用していない」という内容です。
結論からお伝えすると、それでも競業避止義務違反となります。なぜなら、競業避止義務は、営業秘密の保護及び、顧客リストや商圏などを保護することを目的とされています。そのため、加盟オーナーがFC加盟をした事業の競合となる事業を行った時点で、競業避止義務違反が適用されます。
これまでの判例を見ると、本部の主張が認められるケースが殆どで、且つ本部から加盟オーナーへ同業事業の差止請求や損害賠償請求が認められています。本部視点からお伝えすると、差止請求を見越して、禁止とする業務の範囲、場所、期間を予めFC契約書に明記しておくことを推奨します。ここが明記されていなかったり、本部内で共通認識が曖昧な場合、違反に対する正当な請求が出来なくなってしまう懸念があるためです。
背景としては、前回にも記載したように、経済産業省/中小企業庁が出している「フランチャイズガイドライン」に明記されている、「独占禁止法/優越的地位の濫用」に当たる可能性が出てきてしまうからです。違反に対して適切な請求だと主張するためにも、禁止とする業務の範囲、場所、期間の明記は重要です。
本部の支援体制が分かれ道
他方、こんな判例もあります。とあるFCに加盟していた加盟オーナーが、加盟契約解約後に同業の事業を運営していたことが発覚。本部は競業避止義務違反として、設定していた違約金を請求したが、(加盟中に)本部が継続的な経営指導を怠っていたり、そもそもノウハウと呼べるものが無かったという理由から棄却されたというものです。
本部において、いかにスーパーバイジングや加盟店の支援体制が大事であるかが分かりやすい判例です。加盟金目的で加盟契約後は加盟店を放ったらかしにする開業屋は「FC本部」と呼べないため、競業避止義務違反を主張する権利もないという、厳しくも正しい事例だと個人的には思います。
ちなみに、競業避止義務違反が認められ、損害賠償を行う場合であっても、請求が公序良俗に反するほど過度な請求をしてはなりません。これについても、予め違約金を設定しておく必要がありますが、ロイヤリティの30ヶ月分を設定するケースが多いです。本部、加盟オーナー双方の視点でこの競業避止義務を正しく理解し、それぞれの立場においてのリスクを想定しておくことが肝要です。
Profile ささき・しょう
某FC本部に在籍し、SVやオーナーコンサルチーム責任者として加盟店継続率96%を実現。その後、コンサルティングファームを経て、2017年にリユースショップWAKABAのFC本部を立ち上げた。加盟開発/店舗開発/SV/融資/法務など、全てのFC本部機能をオーガナイズし、加盟募集開始から3年で100店舗、4年で150店舗展開を達成。2021年に株式会社フリグマを設立し、3年で100店舗達成をコミットするFCオーガナイズサービスを世の中に提供するべく活動している。
加盟募集開始から3年で100店舗を実現した確かな実績とノウハウでFC本部をサポート。
株式会社フリグマ
https://flegma.jp/
FCオーガナイザーのYouTube番組
https://www.shosasakifranchisor.com/
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