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ママスクエア、託児機能付きワーキングスペースのFC展開を本格スタート BPO事業で収益を上げつつ、雇用創出も実現

公開日:2025.04.10

最終更新日:2025.04.10

※以下はビジネスチャンス2025年4月号から抜粋した記事で、内容は取材時の情報です。

 ママスクエアが展開するキッズスペース付きワーキングスペース「ママスクエア」が、全国でのFC展開を本格的に開始した。同施設では、BPO事業を営むスペースの隣に、子どもを預けられるキッズスペースが併設されている。ガラス越しに子どもの様子を見ることができ、母親も子どもも安心して過ごせる点が特徴だ。出産・育児を機にキャリアを断念した母親から採用応募が多く、子育て支援にも寄与する。現在はママスクエアモデルが27施設(うちFC4施設)、保育・託児などの施設が23施設あり、合計50施設で運営する。

母親と子どもが一緒に通勤 女性の活躍や地方創生に貢献

──御社が展開しているママスクエアは、非常にユニークなビジネスだと聞いています。
藤代 ママスクエアは、BPO 事業を営むワーキングスペースに、託児機能付きキッズスペースが併設されている施設です。働いている母親は子どもと一緒に通勤してキッズスペースに子どもを預け、ガラスで隔てた隣のワーキングスペースに出勤し、主にインバウンドやアウトバウンドのテレマーケティングといったBPO業務を行います。ここで働く方は、施設の運営企業と雇用契約を結びます。
 加盟店はBPO 業務を受託し、テレマーケティング業務やバックオフィス業務などを行いますが、だいたい一時間当たり2500〜3000円で受注するので単価も高い。非常に安定したビジネスになっています。
──職場の隣に子どもを預けられるのはとても珍しく思います。
藤代 母親にとっては働きながらガラス越しに子どもの様子を見ることができ、安心して業務に集中することができます。たとえば、子どもが急な体調不良になっても隣に母親がいるのですぐに対処できます。キッズスペースには専門のスタッフが常駐しており、そこも安心して働けるポイントです。さらに週1日、午前だけという働き方もできるため、フレキシブルに時間を使うことができます。
 働く母親たちには、子どもが産まれてからさまざまな理由で働きたくても働けないケースがあります。このモデルでは子どもを預けた上で、これまで自身が培ってきビジネススキルを活かせます。高い賃金は設定していないのですが、採用の際は多くの応募を頂いている状況です。
──常駐するスタッフはどのような方を採用していますか。
藤代 保育所・託児所には該当しないので保育士の資格は不要です。ただ、子ども同士で喧嘩になると母親が仕事にならないので、なるべく保育士を採用するようにしています。そのほか、補助という形で保育の経験のある方や、子育て中の母親、保育士の専門学生といった方が働いています。ママスクエアでは、保育スタッフも自分の子どもを預けて自分で見ることができますが、母親たちが隣から見ているので自分の子どもだけひいきするということも起きません。
──子育て世帯にもメリットがあり、社会性の高いモデルに思えます。
藤代 地方では採用しようとしても人が集まらない悩みがあるそうです。雇用を創出でき、さらに女性の活躍支援や少子化対策もできる点から、一緒にやろうと声をかけてもらうことが多いです。大手企業にとっては、BPO 事業でしっかりと収益を上げた上で、地方創生も謳うことができます。
 行政と連携したときは、人通りの減ったシャッター商店街にママスクエアを出店しました。母親と子どもが通うようになったことで、商店街が明るくなりシャッター街全体の集客に繋がったケースもあります。

働きながら子どもの様子を見ることができる

立地が影響しない事業形態で 家賃を抑えた出店が可能

──そもそも、なぜこのようなビジネスを思いついたのでしょうか。
藤代 もともと私は新卒でリクルートに入社し、15年働いたのち独立しました。その時始めたのがキッズスペースを併設したカフェでした。その当時、子育てに関するネガティブなニュースがあり、どうしたら子どもと母親にとって良い環境を作れるかを考えたのがきっかけで「親子カフェ」という業態を創業しました。
 10年近くで20店舗ほど広げましたが、他方で単価と席数、回転率の掛け算での収益モデルの経営は、季節や時間帯による変動が大きく、経営が安定しないのが実情でした。そこで母親と子どもが安心して過ごせ、かつ収益を安定させられるモデルを考えたときにママスクエアのモデルを思い付いたのです。
──フランチャイズとして運営する際の初期費用はどれくらいになりますか。
藤代 初期費用の合計は2340万円ほどになります。内訳は加盟金が350万円、設計監修費が90万円、開業前研修費が200万円。そのほかに物件取得費や開店前賃料、什器備品が発生し、合計で1700万円ほどです。BPO 業務自体は立地の影響を受けない業種なので、家賃比率を抑えて出店することができます。自社内での開業も可能ですし、取得する場合は坪単価1万円ほどの物件を推奨しています。今年1月開所した前橋の施設は約60坪の広さで共益費込み26万円、坪単価4300円の物件でした。
 キッズスペースは、母親がおむつの交換やお昼ご飯のケアを行うことから、保育所や託児所に該当しません。そのため、保育所・託児所を建てる際の厳しい制限がなく、事業所内や商業施設にも出店しやすい形態になっています。
──収支モデルはいかがでしょうか。
藤代 BPO 事業の席数を30席とした場合、初年度の月商は500万円を見込んでいます。経費の内訳は人件費220万円、家賃30万円、諸経費32万円、減価償却費45万円、託児費用が7名預かりの場合で80万円、ロイヤリティは37万4000で、合計444万4000円です。営業利益は11.1%の55万6000円となります。2年目以降は慣れてきますので、550万円、6000万円と増収を目標とし、3年5カ月での投資回収を見込んでいます。
──業態が珍しいこともあり、未経験で立ち上げる事業になると思います。本部ではどのようなサポートを行っていますか。
藤代 開業前後の物件取得や人材採用、育成などをサポートしています。開業前は座学と案件に応じてオペレーター研修を行い、ほかにもBPO 業務の獲得営業研修やオペレーターの採用研修を用意しています。開業後は拠点業務研修としてSVが担当店舗を指導します。
──今後の展望を教えてください。
藤代 まずは47都道府県ですべて出店したいと考えています。その上でオーナーの多店舗展開を推進し、ゆくゆくは300店舗を目指します。FCによってスピーディーに展開していきたいと思っています。

ワークスペースの隣にキッズスペースが併設されている

ママスクエア
ママスクエア(東京都港区)
藤代聡社長(59)
1966年生まれ。東京都出身。新卒でリクルートフロムエー(現リクルート)に入社し15年後に独立。2004年に親子カフェ「スキップキッズ」創業し、店舗展開した。2014年にママスクエアを創業し、現在に至る。

 

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