【連載 第27回】アメリカに学ぶフランチャイズ事情

多様化する米国プラントベースフーズ市場

　米国でプラントベースフーズ（植物ベースの食品）の小売売上高は増加し続けており、2021年の市場価値では過去最高の74億ドルに達している。
　日本でもプラントベースフーズは注目されつつあるが、2021年にようやく300億円の規模となった。日本では、ミラクルミートやネクストミートなどのプラントベースミートから徐々に浸透している。
　2021年の米国小売売上高を見ると、プラントベースフーズの販路が小売店だけでなく、オンラインにも拡大。安全やフードテックが確保された事によって、商品カテゴリーも肉、乳製品、卵と多様化した。プラントベースフーズの成長は、個人の健康だけでなく、地球環境の改善にも貢献している。

プラントベースフーズは食品小売売上高全体の3倍の速さで成長

　プラントベースフーズの成長は、食品の総売上高を上回り続けている。この背景には、プラントベースフーズの製造に関わるフードテックのイノベーション、品揃えの増加、販路拡大などがある。
　人口の47％を占めるミレニアル世代とZ世代は、プラントベースフーズへの関心が高く、消費に貢献している。現在、30ものプラントベースフーズが食料品店で展開されており、プラントベースのバター、卵、クッキングソースなどが多く求められている。

プラントベースミルクの成長性とその原料の確信

　プラントベースミルクは、プラントベースフーズのなかでも最大の注目を集める。製造する企業は、革新的で持続可能な原料を活用し、消費者にアピールする。乳業会社はゴマ、亜麻、麻の種子、アップサイクルされた大麦、エンドウ豆のタンパク質、カッサバの根、ジャガイモのでんぷん、マッシュルーム、ココナッツなどを使用。小売業者はプラントベースミルクの販売を重視し、最大で棚スペースの33％、自然食品の商品ラインの50％を割り当てている。

プラントベースフーズの中でもミルクの成長が顕著

プラントベースミートの成長性とカテゴリーの増加

　従来の肉の売上が過去3年間で9％増加に留まる一方で、プラントベースミートは同期間に51％増加した。最も売れているのは、プラントベースバーガーで、それ以外にもミートボール、チキンナゲット、テンダーミートなどが好調だ。特に、動物ベースの鶏肉の味、食感、外観を再現するプラントベースチキンは、2021年の成長をリードしている。マクドナルドやバーガーキングがプラントベースミートを、ドミノピザがプラントベースのペパロニを、KFCがミートベースチキンを導入した事により、ミレニアル・Z世代への浸透率が加速した。また、シーフードも新たなカテゴリーとして注目を浴びている。

プラントベースの乳製品

　プラントベースミルクの成功は、プラントベースの乳製品の成長ベースを築き、2021年の総売上高は億ドルに達している。プラントベースの乳製品の売上高は、小売店全体で従来の乳製品より急速に成長している。プラントベースのクリーム、ヨーグルト、チーズにも同様に大きな成長と多様性が見られる。市場シェアでは、クリームがミルクに次いで2番目に大きく、アイスクリーム、ヨーグルト、チーズ、バターがそれに続く。
　コンビニ各社が大豆ミートを使った商品開発を強化しはじめている事から、日本でもプラントベースフーズの成長の追い風になると期待されている。

Profile　藤田一郎
　上智大学国際学部および南カリフォルニア大学国際学部出身。1980年にI. Fujita International, Inc.を設立。1986年から米国フランチャイズ案件の日本導入事業に着手。2000年以降から日本フランチャイズ案件の米国導入事業及び加盟店開発を行う。米国のアントプレナー誌からExcellent Entrepreneur Awardも受賞。最も米国フランチャイズ事情に精通している人物として認められ、近年は、フランチャイズのグローバル化に貢献し、多方面で講演を実施。日本フランチャイズ及び小売企業の北米進出サポートやコンサルテイングを行っている。