【連載 第2回】~市場を押さえたパッケージづくり~南部の兵法
公開日:2023.05.25
最終更新日:2023.07.17
※以下はビジネスチャンス2022 年10月号から抜粋した記事で、内容は掲載時の情報です。
コロナ禍におけるFC業界動向①本部視点【第2回】
フランチャイズ業界で本部構築・開発のコンサルティング事業を展開するディーセント・スタイルの南部晃舗社長。手掛けた企業は飲食、リサイクル、フィットネス、小売、福祉、教育など70社を超える。「売れる」業態とは何か、強い本部作りについて解説する。
今回は猛威をふるい続ける新型コロナウィルスにより、フランチャイズ業界の動向にどのような影響があったのか、本部視点で分析してみたいと思います。少し過去を振り返りますと、新型コロナウィルスによる経済への影響が顕在化してきたのが2020年1月辺りからでした。この頃、政府による一部業種への店舗活動の制限をはじめとした行動制限が始まりました。店舗運営ができないことによる売上の減少や、それに伴う経営継続の危機が訪れることになりました。制限された業種以外でも、コロナ禍における生活スタイルの変化から売り上げが減少した業種もありました。
では、フランチャイズ本部にはどのような動きが発生したのか。加盟希望者向け資料請求サイトの本部掲載数からその傾向を読み解きたいと思います。
グラフは、2019年9月の業種別掲載本部数を100とした場合の推移になります。2020〜2021年の間に、掲載本部数が増加する業種と、減少する業種で2極化しているのがわかります。
増加傾向にあった業種は、中食(テイクアウト・宅配)、社会福祉・介護・医療、各種サービス(住宅・通信・ランドリー他)。減少傾向にあった業種は、飲食、リペア(修理・清掃)、塾・教育・スクール、小売り・コンビニとなっています。
この傾向はどういった背景から生まれたのでしょうか。
増加傾向にあったのは、「巣ごもり需要」という、新しい生活様式に関連して発生するニーズに対応するもの。また住宅・通信といったコロナとは関係のないインフラ、介護・医療など必要不可欠となるサービスを提供している業種となっています。つまり、経済環境には左右されない事業体、もしくはコロナ禍に対応したサービスを提供している業種が、より展開を強化するために掲載数を伸ばした結果だと考えられます。
一方、減少傾向にあったものは店舗活動を制限された飲食業、3密のイメージにより活動を制限された塾やリペア(業者との接点を持つサービス)などです。店舗営業ができず、人との接触が必要不可欠なサービスを展開する業種では、本部としての活動も停滞したと考えられます。その背景には、本部自体の売上の減少や、加盟開発コスト効率の悪化による広告出稿停止といったことが推測できます。
現在の市況はコロナだけでなく、ロシア・ウクライナ紛争の影響もあり、仕入原価、製造原価が上がっている状況でもあります。それにより、当初のモデルP/Lを実現できなくなり、加盟開発をストップせざるを得ない業態も出ています。今後のFC本部は、自社業態の直営・加盟店の実績状況、加盟開発の状況、またこれからの市場動向を踏まえた業態の強みやノウハウの再構築を行い、開発計画を再度検討する必要があるでしょう。
次回は、コロナ禍におけるFC業界の動向を加盟検討者の視点で解説していきます。
Profile なんぶ・あきお
愛知県名古屋市出身。1977年生まれ。明治大学商学部卒業後、日系コンサルティングファームにて、飲食・サービス・小売など様々な業界の診断・改善コンサルティングに従事した後、2004年独立。2社設立・売却を行った後、2008年に株式会社ディーセント・スタイルを設立し、家系ラーメン「町田商店」や800拠点を超えるデイサービス業態などの本部構築をはじめ、飲食・サービス・小売・福祉など上場企業を含めた様々な業界・業態に対するチェーン本部支援を行なっている。
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