【AKIMITSU TRIBE】現地に合わせた商品展開が成功への鍵
公開日:2024.01.06
最終更新日:2024.01.06
※以下はビジネスチャンス2024年2月号から抜粋した記事で、内容は取材時の情報です。
メニューの充実化で高単価を目指す
寿司や天ぷら、うどん、ラーメンなど、日本の食文化は海外から高く注目されている。日本独自の調味料を使ったメニューが多く、食材調達などの問題で現地でも同じ調理ができるとは限らない。そうした問題にどう対処しているのか、海外展開するFC本部に取材した。
創業2年目からFCによる海外展開をスタート
シンガポールでは月商3000万円を叩き出す人気店に
2015年に創業した「天麩羅秋光」は、全国丼グランプリで8年連続金賞を受賞した実績を持つ天ぷら屋だ。2016年からFCによる海外展開をスタートし、現在はアジアや北米、オーストラリアの7カ国に17店舗を持つ。同社は、食材の制限や輸送コストが発生する海外市場で、メニュー構成を工夫し効率化を図っている。
材料仕入れに一苦労 共通素材でメニューを拡張
―海外店舗はすべてFCとのことですが、どういう経緯で出店することになったのでしょうか。
谷原 マレーシアの天ぷらフェアで成功したことをきっかけに、海外出店することになりました。海外出店は私たちから積極的に働きかけたわけではなく、基本は当店の天ぷらを食べて気に入った方たちが自分の国でも出店したいというお話で決まっています。
―海外店舗を出店するうえで、ハードルとなったものはありますか。
谷原 材料仕入れやサプライヤーの選択ですね。国内店舗では、長時間経過してもサクサク食感が出るよう独自開発したオリジナルの天ぷら粉を使っています。しかし、輸出すると関税が掛かるので原価に影響します。そのため、輸出が難しい場合は日本産と外国産のミックスで代用しています。なお、関税の掛からないシンガポールはオリジナル粉を使っています。
また、ムスリムが主流のマレーシアでは酒がタブーとされ、みりんが使えずに代わりの調味料を探しました。海外出店する際は、その国の食文化に合わせて商品を調整する必要があります。
―では、国ごとにメニュー構成も変えているのですか。
谷原 フィリピンとタイ、アメリカはメニューに寿司とそばを追加しています。日本の代表食を提供することで外国人ウケを狙う目的もありますが、寿司ネタやそばつゆは天丼の素材にも使えます。これにより、原価を抑えつつ幅広いメニューを実現できました。一方、店舗の小さい韓国は、天丼のみにメニューを絞ってオペレーション効率を高めています。
メニュー構成は、各国のFCオーナーにお任せしています。驚いたことに、シンガポールでは鰻の天ぷらを期間限定で提供していました。日本ではあり得ない発想ですが、シンガポールでの売れ行きは抜群だったそうです。また、タイでは天ぷらにフィッシュソースをかける食べ方が人気です。美味しかったので日本でも提供したところ、外国人観光客に非常に喜ばれました。こうした新たな発見があることも、海外進出のメリットだと思います。
―海外FCの条件を教えてください。
谷原 国によって異なりますが、加盟金は300〜600万円で、ロイヤリティは3%からです。FC契約が決まったら日本の直営店で2カ月間修行をしてもらい、オープン前後は私が現地に行って、立ち上げをサポートします。揚げやたれ作りなど、天ぷらに関するすべてのノウハウを持った職人が自ら立ち上げに行くのは、当社だけだと思います。
―海外で成功するためには何が必要だと思いますか。
谷原 立地ですね。シンガポールは巨大SC「ビボシティ」内に店舗を構えているのですが、そこの家賃は月300万円かかります。ですが、USSなどがあるセントーサ島に行くには必ず通るSCなので集客力は桁違いです。そのため、月商3000万円を叩き出す人気店となっています。
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