【アクアネット / フランチャイズ経営研究所】日本ブランドが参入しやすいのは東南アジア
公開日:2024.01.06
最終更新日:2024.01.06
※以下はビジネスチャンス2024年2月号から抜粋した記事で、内容は取材時の情報です。
成功確率が高いのは現地企業へのマスター権付与
FC関連企業に特化したコンサル会社アクアネットの民谷昌弘社長は、これまで200社以上のFC本部の立ち上げを支援し、300社以上の運営サポートやSV教育、加盟店開発などを手掛けてきた。現在、日本フランチャイズコンサルタント協会会長として国内外で活躍する民谷社長に、海外進出のリスクと対処法について聞いた。
海外にはFC法が存在 政治的要因も影響大
―日本ブランドが参入しやすい地域はどこでしょうか。
民谷 日本ブランドを好む傾向がある東南アジアは参入しやすいと思います。特に好調なのは親日である台湾、そしてタイです。進出先としてシンガポールも人気ですが、国が小さいため店舗を増やすのは難しいでしょう。市場の大きさを考えると、タイやベトナムの方が有望だと思います。
一方、アメリカの参入ハードルは非常に高いです。日本人はアメリカブランドを好む傾向がありますが、アメリカ人はそうではありません。また、連邦取引委員会による法規制に加え、州単位でFCに関する法規制があります。したがって、アメリカに進出する場合は州単位の法律をきちんと把握して準備する必要があります。
海外で本格的にビジネスをするなら、選択肢は基本的にアジアとなるでしょう。
―海外進出でハードルになることは何でしょう。
民谷 政治的環境と法律への対応です。日本のFC展開は世界で一番緩いといっても過言ではありません。海外ではアメリカ以外でも、中国や韓国にFC規制法があります。また、政治的環境も侮れません。たとえば、学習塾ブランドで中国へ進出された方がいるのですが、2021年に政府が学習塾規制を行い、突然展開ができなくなったケースもあります。ここ数年、ミャンマーやタイでも政権交代がありましたし、いつどうなるか分からない状況です。
―そういったリスクを抑えて進出する方法はないのでしょうか。
民谷 現地の財閥系企業にマスター権を与えることが、一番リスクが少なく成功確率が高い方法です。良い相手と出会えれば、成功確率は上がります。財閥系企業は人・資金・物件を調達できる力がありますから。アジアにおいては財閥系企業が、日本で成功しているブランドに数千万円を払ってマスター権を買うケースもあります。マスター権であれば、突発的な政治的要因が起きたとしても、現地の収益がゼロになるだけで損はしません。一方、海外に多数の直営を出店していた場合は投資回収ができなくなる恐れがあります。この点をよく考えて海外進出しなければ、リスクが高まってしまいます。
―良い相手とはどうやって出会えば良いですか。
民谷 よく見られるのは、FCショーで向こうから声を掛けてくるケースです。そのほか、現地財閥の二代目や三代目が日本に留学へ来て、気に入ったブランドを自国でも展開したいというケースも聞きます。会社対会社というよりは、オーナー対オーナーの形で決まる印象です。
海外進出に関する案件はコロナ禍でぴったり止まってしまいましたが、2024年は間違いなく通常通りに戻ると予想しています。
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