【達人の一品】化粧品など取り扱い商材の幅を拡大
公開日:2024.02.24
最終更新日:2024.02.24
※以下はビジネスチャンス2024年4月号から抜粋した記事で、内容は取材時の情報です。
コロナ明けに低迷する無人販売所をテコ入れ
2005年、個人美容室「ディアローグ自由が丘」の開業を機にディアローグホールディングスを創業。美容室事業を中心に保育園や福祉施設の運営、化粧品の製造・販売など多岐にわたる事業を展開する。 2022年、「おウチdeお肉」に加盟し3店舗を出店。昨年、「達人の一品」の運営を開始した。
首都圏で「おウチdeお肉」3店舗を展開
「無人ショップのノウハウを学ぶために、おウチdeお肉に加盟しました」
このように話すのは、グループ企業7社で幅広い事業を手掛けるディアローグホールディングスの井口智明社長だ。2022年9月、おウチdeお肉に加盟すると、東京・亀有、神奈川・武蔵小杉、相模原に出店。オープン当初は順調で最初の3~4か月は売上100万円を達成していた。しかし、半年が経過すると売上は30万円になり、その後もさらに落ち込んだという。
他の加盟店も同様の動きを辿っており、収益シミュレーションで売上100万円と謳う本部に対し、一部加盟店から非難する声が上がった。そのような事態に対し、井口社長は「最大の要因はコロナが明けたこと。無人業態全般が低迷しています」と指摘する。
実店舗のメニューを冷凍食品にアレンジして無人店舗で売り出すようになったのは、コロナによる自粛が定着した2021年ごろ。餃子を筆頭に肉やラーメンなど様々な冷凍食品が一気に広がった。このような商材はスーパーで買えないのが無人業態の強みであった。しかし、コロナの感染症法上の位置付けが5類に移行した今年5月以降、状況が一変した。
「餃子、馬刺し、ユッケが無人販売の強みでした。しかし、この1年でスーパーがマーケティングを徹底しました。今ではこれらの商材がスーパーやコンビニで当たり前のように販売されています」(井口社長)
また、スーパーは配送網が確立している。物流費も高騰しており、送料によるコスト高も無人業態には重石となった。
レジシステムや配送ルートを確立
無人業態に逆風が吹きつつあるが、井口社長は「ノウハウは得られた」と、この1年の成果を強調する。その成果とは、1つめはレジシステムの確立。タッチ式のセルフレジを導入したが実際はPaypayで十分だったという。2つめは盗難対策。カメラ設置はもちろん、盗まれそうな商材を置かないことが一番の盗難対策になるという。3つめは夜間販売。同じ土俵で勝負してもスーパーには敵わない。そこで昼間の売上は諦め、 24時間営業の強みを生かし、若い人向けに夜間の販売に注力した。また達人の一品でしか取り扱っていない商品を並べ、昼間の売上の底上げも行った。
加盟店の売上低迷が続くおウチdeお肉は、競業禁止の撤廃、途中解約による違約金をゼロにするという英断を下した。この措置を受けて、井口社長は達人の一品を立ち上げ、馬刺しとユッケのほか、グループ企業で製造する化粧品や木曽ヒノキの一枚板などを販売する。また、おウチdeお肉の加盟店からも引き合いがあり、現在52店舗が達人の一品で出店している。
井口社長は、現状での同店のFC展開は考えていない。ただし、関東圏での無料配達ルートは確立した。当面は共同購入という形で同店の拡充を図っていく。
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