【JINUSHIビジネス】事業用土地に投資し長期安定運営
公開日:2023.12.18
最終更新日:2023.12.18
※以下はビジネスチャンス2023年12月号から抜粋した記事で、内容は取材時の情報です。
テナントは出店コストの抑制可能に
東証プライム上場企業 地主(東京都千代田区)は、土地のみ(底地)に投資する独自の「JINUSHIビジネス」を展開している。2000年の設立以来、累計318案件、約4342億円の開発実績を持つ。事業用定期借地権を活用することで、テナントは自由度が高く、長期的な視点で出店が可能になる。
20年間で約300案件の実績
同社のビジネスモデルは、人口動向や商圏、集権環境などをリサーチのうえ、事業用土地を取得し、テナントと長期の定期借地権設定契約を締結、賃貸収入を得る。そのうえで、同社のグループ会社が設立した「地主プライベートリート投資法人」(地主リート)などへ土地を売却、投資家の資金を運用する、というもの。同リートは、国内唯一の底地特化型私募リートで、運用資産は1800億円、分配金利回りは4%程度。
投資家にとって「JINUSHIビジネス」は、施設の建設費や改装費などの追加投資が不要で、長期安定収益が見込めるなどのメリットがある。また、定期借地権契約のため、契約期間は長期にわたるほか、施設はテナントが投資するため退去リスクが低く、長期安定収益が見込めるといった点が挙げられる。テナントは更地での返還義務があるが、その更地は流動性が高く、資産価値が下がりにくい。
「転用性が高ければテナントが例え退店しても他に貸すことができる」(西羅弘文社長)。
一方、テナントにとっては、土地への投資資金が抑制されることで出店に際してのイニシャルコストを抑制することが可能。退去を迫られるリスクも少なく、「長期間の契約を締結できるため、長い目で見た事業戦略を描くことが可能」(同社)。そのため、出店スピードを高めたいテナントから問い合わせも多いという。現在、スーパー・ホームセンター・ドラッグストア・家電量販店など幅広い業種が活用している。
「当社を安定地主として選んでいただいている企業が多い。数十年後、契約が満了になったら再契約するスタンスを取っていることも大きいでしょう」(西羅社長)。
底地に関しては、金融機関や仲介会社、デベロッパー等からの情報が多いが、テナント自身からの持ち込みも多いという。近年は、土地を所有している事業者からのオフバランス提案も増加している。
「財務が傷んでいる病院や老人ホームなど様々な事業所が『土地はいらない』と売却を望んでいます。財務体質が改善され、銀行との取引もよくなる。新たな設備投資が行われて好循環が生まれます」(西羅社長)。
「日本の大地主」を目指す
2022年に発表した同社初の中期経営計画では、2026年月期までに、地主リートの資産規模3000億円を目指す。「次の1月までに2200億円まで成長させ、5000億円、1兆円を達成し『日本の大地主』になるのが当社の目指す姿です」(西羅社長)。
目標達成のため、今後はテナント業種の多様化、事業エリアの拡大、土地のオフバランス提案を進めていく。新たにホスピス、老人ホームなどが出店し、特定の業種に偏らないことで時代によってニーズの増減による影響を軽減させていきたいという。
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