
【カルビ丼とスン豆腐専門店 韓丼】手作りによる高い商品力で地元民の支持を獲得
公開日:2025.03.07
最終更新日:2025.03.07
※以下はビジネスチャンス2025年4月号から抜粋した記事で、内容は取材時の情報です。
オープン14年経過後に最高月商1895万円を記録
88年に焼肉店で創業したやる気は、手作りによる高い商品力で長年に渡り地元民の熱い支持を受けてきた。その焼肉店をベースにして開発されたのが、10年創業の「カルビ丼とスン豆腐専門店韓丼」だ。同店は手作りの味を引き継ぎながらも、工場と店舗の分業体制を採ることで効率化を図り、全国展開を進めている。16年にFC展開を開始し、現在は直営7店舗、FC68店舗を展開中だ。オープンして14年が経ってから最高月商1895万円を達成するなど、売上が伸び続ける理由について、同社の大島幸士社長に話を聞いた。

カルビ丼とスン豆腐専門店 韓丼 (やる気:京都市伏見区) 大島 幸士 社長(31)
1993年生まれ、京都市出身。2020年4月株式会社やる気に入社。情報システム室を立ち上げ、コロナ禍対応を進めるとともに、社内のデジタル化を推進。また、企業の人材開発力を高めるために、労務環境の整備、評価制度の構築、新卒採用の強化にも力を注ぐ。2023年5月同社代表取締役社長に就任。事業承継によって新たな第二成長期を構築すべく、次の時代に合った新しいフードビジネス企業を目指している。
丼業態で女性人気を獲得 リピーター多数で売上安定
--御社の展開する「韓丼」は、カルビ丼とスン豆腐の2大メニューで展開されています。商品の特徴を教えてください。
大島 当店は、手作りによる家庭の味をベースにした商品を提供しています。家で手料理を食べられないお子様が増えていく中で、家庭の味を食べてもらいたいという私の母の想いから始まったブランドです。
当社は1988年の創業時からずっと焼肉をやっており、その中で、京都の方に受け入れられてきた焼肉のタレをベースに韓丼用のタレを開発しました。カルビ丼のタレとスン豆腐のベースとなる調味料は工場で手作りしており、毎日店舗に配送しています。店舗での調理もすべて手作りとなっており、手作りを繋げることで商品力を高め、美味しい家庭の味を提供しています。
--御社は肉業態を中心に7ブランドを展開されていますが、韓丼はどのような経緯でスタートしたのでしょうか。
大島 当社の中心事業であった焼肉は、以前は単品提供が主流でしたが、食べ放題のブームが興り、次第に市場が飽和していきました。その中で、新たな柱を作るために一度原点に立ち返り、お昼にお腹いっぱい食べられる焼肉を考えて、カルビ丼を生み出しました。一方で、母が女性も利用できるように、健康によい豆腐が入った商品としてスン豆腐を考えました。健康を大事にしてかつ美味しい。お腹いっぱい食べて幸せになってほしいという想いで韓丼はスタートしました。
--実際の顧客層はどうなっていますか。
大島 男性と女性がほぼ半々で、女性の方が多いです。年代も幅広く、ファミリーやお1人様も来られます。丼業態は男性のお客様が多いと思いますが、当店は女性客が多いのが特徴です。また、他社には真似できないポイントとして、手作りによる商品力の高さがあります。そのため、地元の方に受け入れられて、オープンして14年経った今でも売上が伸び続けています。
--飲食店でありがちな例として、オープン初月に最高月商を叩き出して、その記録を上回らないケースが多々あります。
大島 その点、新堀川本店はオープンしてから現在14年経ちますが、2023年7月に過去最高売上となる月商1895万円を叩き出しています。そのほか、FC店でも開業6年目の静岡馬淵店が月商1000万円、2年目の松山平井店が1100万円を記録しています。長期的に売上が伸び続ける持続性の高いビジネスモデルから、伸びしろがあるブランドだと認知され、加盟にも繋がっているのだと思います。
--商売を長く続けるには地域住民に愛される必要があります。韓丼の場合、リピート率も高そうです。
大島 月に3回は来られますね。韓丼でしか食べられない味なので、目的来店に繫がるのだと思います。ラーメンなど他に選択肢がある業態なら、近くに店舗が無いなどの外部要因に左右される可能性がありますが、当店の場合はそれがありません。
--メニューを見ると1000円以下の商品がほとんどですが、客単価は。
大島 ちょうど1000円になります。メニューこそ単品で1000円超えは少ないですが、スン豆腐に生卵やチーズ、トッポギなどのトッピングを加えたり、辛さアップなどのカスタマイズで単価アップしています。何年も営業して地元の方に受け入れられると、カスタマイズするお客様が増えてきます。新規客が多い業態だとこうはならないと思います。

健康的なスン豆腐
高価値商品を手頃な価格でセルフサービスで省人化
--14年展開されてきて、最も店舗数が伸びた時期はいつですか。
大島 2019年から2020年です。FCショーに出たときに、来場者に受けたことが大きな理由です。それまで私たちは、地元のお客様に受け入れていただくことを大事にしてきましたが、韓丼の味を広めるためにFCによる全国展開を2016年に開始しました。直営ではなくFCにしたのは、地元の方に愛されるブランドであってほしいという想いからです。そのためには、自分たちでやるよりも地元の企業様にやっていただく方が根付くのではないかと思いました。
--韓丼は全体売上の3割がテイクアウト・デリバリーです。コロナ禍の業態転換に対する需要が、店舗拡大に寄与しているのでは。
大島 それも一部寄与していると思いますが、どちらかというと事業者様が第二、第三の柱を探す時期と重なったのだと思います。
--開業するにあたって、初期投資はどのくらいでしょうか。
大島 開業費は加盟金350万円、保証金150万円、研修費50万円で、施工費は居抜きで3500万円、新築で6000万円です。そのほか、什器備品170万円、諸経費230万円となっています。
--そうなると、居抜きで開業する場合はトータル約4500万円、新築で7000万円となります。やはり、居抜き開業が基本ですか。
大島 最近は新築も増えてきており、全体の3割ほどを占めています。当然、居抜きで良い場所があればベストですが、長い目で商売を考えたときに安定した経営ができるよう、新築を選択されるケースも増えてきています。
--収益モデルを教えてください。
大島 建物40坪を標準とすると、月商は約800万円です。そこから原価率約35%、人件費率約23%、ロイヤリティ3.5%、そのほか経費を差し引くと、営業利益率は16%となります。家賃は売上対比で10%以下を推奨しています。
--原価率が高めですが、人件費率が低いのでFLのバランスが取れています。
大島 韓丼は専門店ですから、お客様に高い価値の商品をコスパ良く食べていただくことを目的としています。そのため原価率は高いですが、店舗オペレーションを効率化することでバランスを取っています。
たとえば、当店はフルサービスではなく、券売機での購入、料理の受け取りと下膳をお客様にご協力いただいています。そうすると、スタッフがホールに出る回数が減るため、人件費削減に繫がります。また、通常であれば手作りにこだわると店舗での仕込みが増えますが、タレや調味料は工場で一元管理しています。専門店として商品を絞っていることで仕込みが減り、美味しさと生産性が両立するようにしています。
--店舗での調理は主に肉の焼き上げとスン豆腐の煮込みとなっています。
大島 肉焼きに関しては、独自のグリラーで焼いた後、直火焼きで仕上げます。グリラーを導入することで味の標準化とスピード提供が可能となるので、丼の場合はオーダーから約3分で提供しています。スン豆腐は、工場で1人前に加工した手づくりスープと具材を鍋に入れ、規定時間煮込むだけです。
こうした標準化により、飲食未経験の方でも参入できるようになりました。現在のオーナー様は43社ですが、飲食未経験を含め属性は幅広いです。

ボリューミーなカルビ丼
手厚い本部サポート採用 ノウハウも共有
--開業前研修はどのような内容でしょうか。
大島 京都に来ていただいて、実働30日間の研修を受けていただきます。まずは、本社のテストキッチンで味を覚えてもらい、完璧に作れる状態にします。作れるようになったら直営店に入ってもらい、お客様がいる状態で店舗オペレーションを覚えていただきます。韓丼の味を広めるためにも私たちは教育に注力する方針で、我々の基準を理解して研修をクリアした方でないと出店できない方式にしています。そのため、研修を延長させていただくケースも結構あります。
--完璧になるまで指導されているのですね。立ち上げ時のサポートはありますか。
大島 まず採用支援として、当社の採用ページや求人媒体のご紹介、外国人採用などのノウハウ共有を行っています。加えて、オープン前後は立ち上げメンバーが店舗へ駆けつけ、サポートします。オープン10日前から弊社のトレーナーが研修を実施し、オープン後7日間は一緒に店舗を回します。そして1カ月後にもう1度チェックに向かい、その後は定期的にSVが臨店します。
--集客施策は。
大島 特別なことはしていません。凡事徹底でQSCを怠らず、美味しい料理を提供することが最大の集客だと考えています。キャンペーンこそしていませんが、季節メニューの販売はあります。冬は牡蛎のスン豆腐、夏は韓国冷麺を出しました。当店はリピーターが多いため、季節メニューの期待値がすごく高いです。そのため、季節商品には特に力を入れています。
--今後の目標を教えてください。
大島 日本の外食業界は価格競争が多かったために、お客様の飲食店の見方として、まずは価格、そのうえでの価値という二段構えになっています。しかし、最近はコストが上がっていることもあり、価値も重要視するお客様が増えました。そのため、当社は顧客体験価値を高めて、価値の高い業態づくりを目指しています。
その中で、私たちは長く地元のお客様に支えられてきたからこそ、やはり地域密着型、地域一番店を目指し、今のお客様に価値ある体験を提供していきたいと思います。韓国料理のファストカジュアルとして、老若男女ともに楽しめる他にはない韓国料理を提供することで、体験価値を高めていきたいと思います。
--出店目標はありますか。
大島 10年かからないうちに300店舗にすることです。その先は、海外展開にも挑戦していきたいです。

独自のグリラーで味の標準化を図る

長い目で商売を考えて新築で開業するオーナーが増えている
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