【パートナーエージェント】ブライダルの上場企業が結婚相談所FCを開始
公開日:2024.11.27
最終更新日:2024.11.27
※以下はビジネスチャンス2024年12月号から抜粋した記事で、内容は取材時の情報です。
成婚率は業界最高水準の21.7%を記録
2006年に創業したタメニーは、婚活・カジュアルウェディング関連事業を営む東証グロース上場企業だ。現在は、結婚相談所や婚活パーティーをはじめとする「婚活領域」、結婚式プロデュースを行う「カジュアルウェディング領域」、そして地方自治体に向けた婚活支援やライフスタイルサポートの「地方創生/QOL領域」の3つの領域で事業展開を行っている。今年6月、同社は創業時から直営展開してきた結婚相談所「パートナーエージェント」のFC展開を開始した。同社の栗沢研丞社長に、結婚相談所ビジネスの将来性と他業種とのシナジー効果について聞いた。
1960年生まれ。秋田県出身。東北大学経済学部卒業後、現・株式会社リクルートホールディングスへ入社。その後、3社で支店長、執行役員、代表取締役を歴任し、2020年4月に当社へ入社。本部長、取締役を経て2022年10月より代表取締役社長。
PDCAをキーワードにコンシェルジュが徹底サポート
-御社は今年から結婚相談所「パートナーエージェント」のFC展開をスタートしましたが、近年の婚活市場は盛り上がっているのでしょうか。
栗沢 近年は、恋人探しから始められるマッチングアプリが普及したことで、その先の婚活にも意識を向けられる方が増えてきました。結婚相談所単体のマーケットは微増ですが、婚活をする方の数は急速に増えている印象です。
-お値段的にもマッチングアプリの方がリーズナブルですが、結婚相談所にはどのようなニーズがあるのでしょうか。
栗沢 アプリとの決定的な違いとしては、入口の安全性が挙げられます。結婚相談所に入会される方には必ず、独身証明書や年収証明、学歴や保有資格を証明できるものを提出していただきます。一方、アプリでは身分証明書をもとに入会審査を行っているものの、独身証明書等の提出は求められません。入会ハードルが低い分、犯罪の温床になっているケースも相当数あります。
-アプリでは出会い目的の方も一定数いるため、本気で結婚を考える人は限られそうです。
栗沢 また、アプリでマッチングするには外見や年齢、年収といった各種スペックが高くないと厳しい状況になってきています。真面目に取り組んでいてもなかなかお相手が見つからず、いわゆるアプリ疲れされた方が高いお金を払ってでも、よいお相手と巡り合うために結婚相談所にシフトされるケースも結構あります。
-パートナーエージェントは業界の中でも成婚率が高く、他社結婚相談所の1.6倍となる21.7%となっています。成婚率を高めるための秘訣は。
栗沢 直営で磨いた確かなノウハウをもとに、コンシェルジュが会員様のサポートを徹底して行うことです。当店ではPDCAをキーワードに会員様の婚活を最適化しています。まずは、理想の相手像や結婚観に関するインタビューを行い、会員様とともに婚活設計を立てます。そのリサーチ結果をもとにAIなどを活用してお相手を探し、実際にお見合いをしていただきます。その後、コンシェルジュがお見合いのフィードバックをし、清潔感や話し方といったそれぞれの課題に対してアドバイスを行います。こうして、お見合いに対する向き合い方をブラッシュアップしていくことで、自分の価値観と相手に何を求めるのか具体化できるようになり、自分に合ったお相手に巡り合えるようになります。
-成婚率を上げるためには、出会いの数も必要です。
栗沢 その点、当社では婚活事業者間のプラットフォーム「CONNECT-Ship(コネクトシップ)」の立ち上げと運営を行っています。現在、パートナーエージェントの会員数は約8000人ですが、紹介できるお相手の数は多いに越したことはありません。そうした拡大戦略の中での12事業者様と手を組み、会員を相互に紹介できるプラットフォームを作りました。コネクトシップ利用事業者の総会員数は8万人以上に上り、そのうち提携事業者様への公開を許諾されている方は約3万人になります。
-ということは、パートナーエージェントでは約3万人以上が紹介の対象となります。会員の男女比、年齢層はどうなっていますか。
栗沢 男女比は女性が54%、男性が46%とほぼイーブンで、年齢層は30代前半が最も多いです。他社と比べて、20〜30代の若い層が多いのが当店の特徴です。若い方の入会を促進するため、20代限定のお得なプランや30歳・31歳を対象にした応援割りを実施しています。
-会員の平均継続期間は。
栗沢 18か月です。ただ、6割以上の方が1年以内に成婚退会されています。当店のようなストックビジネスは早期退会が多いと収益に影響してしまうという考えもありますが、実績を作ることが新規会員獲得にも繫がるため、当社は成婚率にこだわって運営しています。
他業種とのシナジー効果大 婚活事業で優良顧客を獲得
-このタイミングでFC化した経緯と、加盟するメリットを教えてください。
栗沢 ウェディング関連事業を手掛けている当社はコロナで大打撃を受け、20年度から三期連続赤字となりました。前期は黒字転換を果たしましたが、財務状況はまだまだコロナ前に戻っていません。そのことから、事業成長のためには外部資本と組んで出店するFCの仕組みが一番だと考えました。
婚活事業の強みは、川上のお客様をキャッチできることです。成婚すると、車や住居、結婚式や保険といった次のマネタイズポイントが生まれます。家を買いたいという話も月に5〜6件聞きます。さらに、成婚された方はコンシェルジュにご恩を感じている部分があるので、既存事業においても優良リードの獲得に繫がります。一粒で二度三度美味しい事業モデルとなっており、特にウェディング関係や不動産関係、自動車関係や保険関係とのシナジー効果は高いと思います。
-初期投資と収益モデルを教えてください。
栗沢 既存の物件と人材で開業するのか、新規賃貸・新規採用するのかにより変動しますが、地代家賃(敷金含む)、採用費、工事費用、加盟金等を合計すると1000〜1500万円程度が必要となります。投資回収期間は店舗規模や初期投資により異なりますが、2〜3年を見込んでいます。
-FCの場合、オーナーがコンシェルジュとして店に入るケースが多いですか。また、コンシェルジュの研修内容を教えてください。
栗沢 法人加盟がメインなので、基本は新たに人を採用してその方がコンシェルジュとして店に入られます。研修は1カ月で、内容としては入会獲得のためのカウンセリングとコンシェルジュ実務がメインです。直営店で勤務してきた熟練のコンシェルジュが座学とロールプレイングの両方で指導します。修了検定をクリアした後、晴れてコンシェルジュとしてデビューできます。
-今後の目標は。
栗沢 現在は直営17店舗、FC4店舗の店舗を展開していますが、今後はFCによる出店加速を見込んでいます。今年か来年の早い段階で約30店舗体制を実現することが一つの目標です。
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