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遊休不動産の活用術!土地活用系FCまとめ

公開日:2024.06.15

最終更新日:2024.06.17

※以下はビジネスチャンス2023年4月号から抜粋した記事で、内容は取材時の情報です。

従来のテナント活用よりビジネス要素と収益性がアップ!!コロナで一躍ブームとなった無人ビジネス

【INDEX】
・非接触のニーズ増大で多業態で無人化へ
・無人運営のメリット・デメリット
・実店舗から派生したブランドも無人運営を行う

 
 近年、遊休地や空きテナントを活用するFCビジネスが増加している。土地活用では、昔ながらのテナントやトランクルーム、コインパーキングなどに加え、グランピング施設やコンパクトホテルが登場。テナント活用では、コロナ禍で各業態の業績が落ち込んだ中で、無人店舗が新風を巻き起こしている。

 無人店舗はシステム・設備の導入や仕組み化によって、店員の常駐を無くした店舗のことだ。無人店では、会計を料金箱やセルフレジ、決済システムで行うことが多い。料金箱は、商品価格を1000円均一にするなどして会計を簡素化。セルフレジは、商品タグ付けや色分けなどで値段を識別している。

 しかし、この仕組みは盗難や支払い不足などの問題を引き起こした。店員による監視がないうえに、防犯タグを活用する店舗も少ない。利用者の善意に依存する仕組みとなっている。抑止力として、防犯カメラの導入や盗難保険への加入などの対策は実施しているものの、根本的な解決に至ってないのが現状だ。

▲無人店では料金箱やレジで会計する

 それでも、無人業態にはデメリットを覆すだけの魅力がある。1つ目は収益性だ。24時間営業が可能な無人業態は、他店がクローズしている早朝・深夜帯の顧客ニーズを獲得できる。さらに、人件費が掛からないため、営業利益率が60%を超えるブランドも多数存在する。2つ目は、開業の手軽さだ。無人店舗は5坪前後で開業できるブランドが多く、開業に際して人材雇用や研修を行う必要がない。

 コロナ禍で注目を集めた無人のチェーンは、消費者が非接触のサービスを求める声から拡大した。美容業界ではセルフエステが注目されるようになり、レジャー業界では無人ゴルフが誕生した。休業・時短要請が相次いだコロナ禍でも、24時間営業ができる無人業態は、無人運営による低料金を実現させた。その結果、コロナ収束後もビジネスとして定着し、拡大を続けている。

土地活ビジネス基本情報一覧表

下表に、各業態の必要坪数と月商の目安をまとめた。必要坪数を見ると、広くても10坪程度の業態が大半だ。コワーキングスペースやゴルフ・カプセルトイ専門店などのアミューズメントは30坪程度の広いスペースを必要とする。しかし、月商は100万円前後と、他業態と比較して高い傾向にある。

 食品やアパレルは不特定多数をターゲットにすることから、月商に幅がみられる。その一方で、会員制ビジネスであるエステやコワーキングスペースは収益が安定しやすい傾向がある。

 以降は、各業態の特性やメリット・デメリット、注目のブランドを紹介する。

【土地活用系FC – 食品】

 食品系の無人店舗は、2~5坪と小さなスペースで開業できる。独立した店舗として開業する一方で既存店に併設するケースも多い。食品は、エステやゴルフなどの他業態と比べてターゲット層が広く、既存店舗の集客力向上を狙える点が強みだ。 

 なかでも無人餃子販売は1番の知名度を誇る。日本冷凍食品協会による冷凍餃子の生産量推移によると、2019年の冷凍餃子の生産量は約8万2000トンだが、2020年は約10%増の約9万トン。コロナが流行した2021年はさらに10%増加し、約9万8000トンだ。

 ウィズコロナが定着した2021年、無人餃子販売に倣うように多くの無人店舗が誕生した。特に外出自粛の影響が大きかった飲食業態は、実店舗のメニューを冷凍食品にアレンジし、無人店舗で販売する動きが活発化した。
 食品系の無人店舗は幅広い年代を集客できることから、既存事業とのシナジーを見込める。一方、食品は客単価が低く、商品によっては賞味期限の問題も発生する。売れ行きの良いときは商品補充を頻繁に行う必要がある。そして、売れ行きが悪くても商品管理による入れ替え業務は発生する。

【土地活用系FC – アパレル】

▲無人古着販売店の元祖「ムジンノフクヤ」

 アパレル系の無人業態は古着専門店が主流だ。FC本部が買い付けた国内外の古着を、オーナーが仕入れて店頭で販売する。無人店で人件費が掛からない分、一般的な古着の2~3割引の価格を実現しており、若者を中心に話題となっている。

 アパレル系の無人店舗は、5坪以下のスペースで開業することも可能だ。しかし、小さいスペースだと商品点数が限られるため、6~8坪の広さが望ましい。他業態と比べて必要な機材や備品が少なく、100~200万円と低額な初期投資で開業できる点も魅力だ。

 オーナーの仕事は、他の無人店舗と大差ない。古着やアウトレット品は販売期限がないため、商品入れ替えが頻繁に起こらない。ただし、機会来店がメインであるため、出店立地は慎重に考える必要がある。ひと目に付きやすい商店街や駅近、商業施設などが望ましい。また、接客も行わないため、来店があっても好みの商品が無ければ購入には至らない。豊富なラインナップを揃えて、客の選択肢を増やすことが重要だ。

【土地活用系FC -アミューズメント】

▲カプセルトイ専門店「ガシャポンのデパート」

 カプセルトイは、回転式レバーを回すとカプセルに入ったおもちゃが出てくる自動販売機の一種だ。近年は商品の精巧化やマニアック化が進み、平均単価も300~400円に上昇。1000円を超えるカプセルトイも多数登場している。
 カプセルトイ市場は毎年10%の伸びを示しており、現在の市場規模は400億円に上る。需要の拡大に比例して、マシンの設置スペースも拡大傾向にある。以前は、商業施設の通路や店舗の軒先など狭小スペースに置かれるケースが多かった。しかし、今では専門店として入店するケースが増加。コロナ禍でテナント撤退が増えたこともその動きに拍車をかけた。

▲無人運営が主流のインドアゴルフ

 ゴルフ市場は拡大傾向だ。練習場の需要も高まっており、その中でシェアを広げているのが、無人のインドアゴルフ練習場だ。インドアゴルフは、ゴルフシミュレーターを用いて室内でゴルフのラウンドや練習ができる施設のことで、サブスクリプション制を採用していることが多い。大半の店舗が駅近やオフィス街などに構えてることが多い。ゴルフクラブの貸出を行っているため、仕事帰りでも利用可能だ。
 このようなゴルフ練習場の需要の高まりや無人営業可能で手間のかからないビジネスモデルからインドアゴルフのFCブランドが急増している。 

【土地活用系FC – 美容系】

▲完全無人で脱毛サロンを運営している「セルフ脱毛サロン ハイジ」

 セルフエステは利用者が自ら美容機器を操作して施術を行うサービスだ。コロナ前にもあったサービスだが、コロナ禍で非接触が求められるようになり、人々の関心を集めるようになった。

 セルフエステ店はビルインで出店するケースも多いが、最近になって駐車場に設置するコンテナタイプの店舗が登場した。目的来店となるため、賃料が低い地域や空中階の出店も可能で、テナント活用に適したビジネスと言える。

 セルフエステの利用者は、入会手続きや予約、施術や清掃まで自身で行う。そのため、オーナーの業務は消耗品の補充とトラブル対応ぐらいだ。また、同サービスはエステティシャンを雇わないため、従来のエステよりも格安で提供できる。半年掛かりで数十万円する脱毛が、セルフであれば月額数千円ですむため、若者に支持されている。

【土地活用系FC -コワーキングスペース】

 コワーキングスペースは、会議室や複合機などの設備を複数人で共有するオフィススペースで、中には、利用者同士のコミュニティ形成を重視したブランドも存在する。市場は拡大傾向にあり、コロナ禍でリモートワークが導入され浸透したこと、また、コスト削減のため賃貸オフィスからフレキシブルオフィスの乗り換える動きが活性化したことが関係している。

 大半のコワーキングスペースは、単発利用の重量課金制や使い放題のサブスク制、法人向けのプランを用意している。会員登録や予約などの決済をアプリなどに収束し、無人運営を可能としたブランドも多数存在する。

 コワーキングスペースは、会員獲得までに時間がかかるため、収益化まで長い期間を要するという難点がある。大規模展開をするブランドは知名度が高く、多店舗の利用が可能な月額会員も一定数いるため、オープニング時の集客のハードルは低い。一方、拠点数が少ないブランドは低料金または充実したサービスなどで差別化は可能だ。加盟の際には、物件の立地やエリアの需要にフィットするブランドを選択したい。

【土地活用系FC – 自動販売機】

▲0.5坪から設置可能な自動販売機FC「芋王」 

 現在シェアを広げているのが冷凍自動販売機だ。販売される商品はラーメンや餃子、スイーツや精肉など多岐に渡る。冷凍食品は24時間販売できるため、飲食店がフードロス抑制のために導入するケースも増えている。

 冷凍自動販売機が増加するにつれ、自動販売機のFC本部も登場。催事販売で人気の焼き芋店「芋王」は、冷凍した焼き芋や大学芋を自動販売機で販売している。

 自動販売機は無人店と異なり、盗難のリスクや清掃などの店舗作業は不要だ。商品の発注・補充などの業務は発生するが、飲料用自販機のようにベンダーやFC本部が代行するケースもある。また、売れ行きが悪い場合は移設できるのも強みだ。

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