【wash+】「洗剤不使用」オリジナル洗濯システム
公開日:2024.08.03
最終更新日:2024.08.03
※以下はビジネスチャンス2024年8月号から抜粋した記事で、内容は取材時の情報です。
首都圏中心に直営21店舗、FC店舗26店舗
wash-plus(千葉県浦安市)は、洗剤や柔軟剤を使わずにアルカリイオン水で汚れを落とす独自のシステムによるコインランドリーを運営している。2013年設立以来、首都圏を中心に直営21店舗、FC店舗26店舗の合計47店舗を展開しており、早急に200店舗まで拡大させていく計画だ。同社はまた、洗濯機器のIOT化を積極的に推進。アプリ上で予約から決算まで完結できるほか、昨年には、ダイナミックプライシングを採用するなど、省力化・収益力向上を図っている。
Profile たかなし・けんたろう
1991年、市川商工会議所入社、経営安定特別相談を担当。2004年、株式会社協同住宅入社。2007年同社代表取締役就任。2013年、 公益社団法人浦安青年会議所 理事長就任。2015年、株式会社wash plus代表取締役就任。
特許取得の技術に着目 星野リゾート施設で採用実績
ーー御社が標榜している洗剤不使用の次世代洗濯システム「wash+Technology」とは、合成化学物質を含まない99.9%水(洗濯専用に開発したアルカリイオン電解水)で洗うという技術です。
高梨 特許取得済みの洗濯技術で、洗剤不要でも一般的な洗濯と同程度の洗浄力があります。この技術で2020年の第3回日本サービス大賞優秀賞を受賞しました。その席で星野リゾートの星野佳路社長とお会いしたのをきっかけに、星野リゾートの施設に当社のシステムを採用していただきました。
ーー洗剤を使わないことで、人の肌にも優しいといいます。
高梨 イオンの力のみで洗い上げるため、洗剤残りの可能性や合成化学物質もゼロです。そのため、アトピー性皮膚炎や化学物質過敏症、肌が弱い方なども安心してご利用できます。もともと私の子供がアトピーだったこともあり、このシステムを考えたのです。
ーー環境にも優しい。
高梨 実は星野リゾートにも採用された決め手はその点でした。当時、西表島に新施設を開発していましたが、同時に排水問題を抱えていた。そこで当社の洗剤レスに注目していただいたのです。
――2013年の設立以来、直営・FC両面で店舗を拡大してきましたが、星野リゾートへの導入をきっかけに昨年からは、ホテル内での導入も増えている。
高梨 新たに宿泊施設向けランドリーシステムを開発しまして、積極的に展開しています。
「スマートランドリー」標榜 ダイナミックプライシングで収益最大化
ーー「wash+」ブランドの店舗は、スマートランドリーとしてIOTにも力を入れていることも特徴です。
高梨 専用アプリにより、空き状況表示・予約から運転コース洗濯・ドアロック・決済まで完全キャッシュレスで完了するものです。利用者の安心安全はもちろん、利便性の向上にもつなげています。
――今では自社店舗だけでなく、他社にも販売を可能にしています。
高梨 このスマートランドリーシステムは、2021年に洗濯機器メーカー山本製作所製機器に採用されました。現在までに機器の導入店舗は「wash+」だけでなく、全国361店舗に採用されており、アプリのダウンロード数は38万人超にも及んでいます。
ーー洗濯機器システムのソフトウェアは常に最新バージョンにアップデートされているとか。
高梨 つまり機械は劣化しても機能は劣化しない、という訳です。
――昨年には、IOTのアップデートとして、需要と供給のバランスに応じて、リアルタイムに価格を設定し収益を最大化する、ダイナミックプライシングが可能になった。飛行機やホテルの価格設定には広く使われていますが、コインランドリーで採用するのは珍しい。
高梨 当社では、2022年に気象庁と提携し、過去数十年分の天候データとスマートランドリーでの利用実績データを掛け合わせた独自のダイナミックプライシングを開発しました。同年5月より価格帯を5段階にして直営店舗で導入していますが、導入した店舗では、稼働率が8%以上上がるなど効果があらわれています。
「環境に優しい」企業でイメージ向上 200店舗を目標に全国展開加速
――当面、直営とともにFCでも「wash+」ブランドの店舗を全国で拡大させていく考えです。加盟条件は。
高梨 初期投資額は物件によって変わる部分がありますが、3000万円から4000万円ほどです。立地は、住宅地が多いものの、コンビニエンスストアやスーパーの空きスペースなど〜坪の小型店舗が多い。
――加盟店は洗剤不使用という点から、積極的に環境問題に取り組む企業姿勢を発信できるようになる。
高梨 イメージが向上し企業価値の向上へとつながります。
――加盟後の本部としてのフォローは。
高梨 オープン後はオペレーションマニュアルからエラー対応集、販促促進ツールまで集約されたポータルサイトを使っていただければ、必要な情報をいつでも閲覧可能です。店舗の状況に合わせた販売促進活動を自身でカスタマイズして行うことができます。
――顧客からのクレームや機器の故障など、運営する上でのリスクは高い。
高梨 機器メンテナンスは、専門会社と業務提携しているため、一括でメンテナンスできる体制を構築しています。エラー対応やクレーム対応などはウェブ上で遠隔対応が可能。更にコールセンターに委託することで、24時間手間なしで経営効率化を図ります。もちろん、各種取得したデータを分析することも可能です。
――コインランドリーは過去20年で店舗数は2倍に増加し、現在は2万2000店を超えていると言われます。今後の市場性は。
高梨 日本の洗濯労働市場の規模は約5.2兆円と言われています。ただコインランドリーはまだ全体のわずか2%しか占めていません。8%がクリーニング店、残り90%は家庭です。現状各家庭で洗濯機を回している無償の洗濯労働が、仮に全部有料サービスに置き換われば、4.7兆円分の市場が国内に生まれると試算されています。また、布団やスニーカーなどこれまで洗濯をあきらめていたものもコインランドリーで可能になりましたので、まだまだ需要拡大が見込めるでしょう。
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