【ステップゴルフ】ボトム層を掘り起こし5年後に500店舗を目指す
公開日:2023.07.03
最終更新日:2023.07.06
※以下はビジネスチャンス2023年6月号から抜粋した記事で、内容は取材時の情報です。
2012年、インドアゴルフスクールを手がけるステップゴルフ(株)を創業。いち早くFC化を図り、創立周年を迎える今春、首都圏を中心に100店舗出店を達成した。今後は大阪をはじめ、北海道や新潟、福岡など全国展開に乗り出す。昨年は「一般社団法人日本インドアゴルフ協会」を設立。企業の垣根を超え、インドアゴルフ業界のサービス向上や安定した運営を目指す。
PROFILE えのもと・たかのぶ
高校でゴルフを始め、全国大会にも出場。キャディーをしながらプロゴルファーを目指し、JGTOツアーメンバーとなる。その経験を活かし、2006年にゴルフの総合商社アイエム株式会社を、 2012年にはステップゴルフ株式会社を設立。地域密着型インドアゴルフスクールの多店舗展開に成功する。その後、ESGホールディングス(株)、(一社)日本ゴルフスクール協会を設立、(一社)日本インドアゴルフ協会も設立し、四法人の代表を務める。
ワンオペシステムを確立し首都圏100店舗を達成
「ゴルフは年齢や性別に関係なく、みんながプレーできるスポーツです。多くの人にゴルフの楽しさを伝えたい」と話すのは、プロゴルファーとしての活動実績をもつ榎本考修社長。ゴルフはお金がかかり、敷居が高いといったイメージを払拭するためにインドアゴルフスクール「ステップゴルフ」を立ち上げ、新規ゴルファーの創出、健康寿命の延伸に注力する。
同店は、月々4980円(税別)からの定額制で、何度でも通ってレッスンが受けられる。3か月でコースデビューを目指す「初心者専用カリキュラム」など、初心者や女性向けコースも用意されている。
「業界最安水準」の会費を実現した裏には、独自のワンオペシステムがある。「創業時、『絶対に潰さないインドアゴルフを作る』と掲げました。コストパフォーマンスが良ければ会員はゴルフを続けられます。そのような環境を目指して整備しました」(榎本社長)
同店では、店長1人が店舗業務とコーチをこなす。こうして販管費を抑えることで低価格を実現し、ボトム層を掘り起こしてきた。また、iPadひとつで店舗業務とコーチングができるよう業務システムを確立。これによって、1人で会員5人に対応できるという。
近年、全打席スイング解析機能を備えた「ステップゴルフプラス」や全打席シミュレーター機器完備の「ステップゴルフエクストラ」など、最新システムを導入した店舗を展開している。どちらも入退室システムなどを導入し、店舗によっては無人で時間営業が可能だ。
同店の1店舗目は、東京・昭島市と福生市の中間に位置する拝島で開業した。JR 3路線に西武線1路線が乗り入れる東京西部の要衝だが、近隣の立川市や八王子市に比べれば、好立地と呼べる場所ではない。しかし、榎本社長にとってはそれが狙いだった。
「一番難しいと言われる拝島を選びました。ここで成功すればどこでも成功する。新規ゴルファーを創出するには自分たちで難しいことをやる必要があります」
会費は当初4980円の一択で会員は約200人。月の売上が約100万円で販管費は104万円だった。これを基に、客単価6000円に上げて利益が出るようにサービスやシステムを作り込んでいった。
「最初にこのような経験をしているので、どうすれば利益が出るかは分かっています」と榎本社長は胸を張る。この時に得たノウハウをFC展開する地域特性に応じて活かしており、これまで撤退した店舗はゼロという。
現在の店舗数は101店舗(直営とFCの比率は3:7)、会員数は5万8000人に到達した。年内に130店舗、5年後には500店舗の出店を目標に据える。
日本インドアゴルフ協会を設立し開業から店舗運営までサポート
2020年、コロナによって三密にならない青空で楽しめるゴルフが注目された。しかし、インドアゴルフ場はフィットネス・ジム同様、業務停止を余儀なくされた。三密対策が整備されたため、1年後に営業再開。2022年にはインドアゴルフが人気となった。
若い世代や女性がゴルフに興味を持つなどゴルフ業界にとって追い風となったが、榎本社長はコロナによるゴルフ人気を懸念する。2008年、レッスンプロが指導するゴルフスタジオや飲食しながらシミュレーターでゴルフを楽しめるゴルフバーが流行した。しかし、多くの店舗が1年も経たずに閉店していく。このような惨状を目の当たりにしていたからだ。
コロナの感染が拡大した2020年5月、ゴルフスクール事業のノウハウを提供する「一般社団法人日本ゴルフスクール協会」を立ち上げていたが、インドアゴルフが一過性のブームで終わらないようにするため、2022年6月には企業の垣根を超えた横断的な組織として「一般社団法人日本インドアゴルフ協会」を設立した。同社が開発した予約システムや業務システムを切り出して他社に提供するなど、既存店舗だけでなく開業を検討する企業に対しても、様々なサポートを行っていく。
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