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【フランチャイズ会議2024】店舗集客のプロたちが考える繁盛店の作り方

公開日:2025.03.27

最終更新日:2025.03.27

※以下はビジネスチャンス2025年4月号から抜粋した記事で、内容は取材時の情報です。

集客・求人に有効なSNSの活用方法を語る

 ビジネスチャンス主催の「フランチャイズ会議2024」にて実現した「店舗集客のプロたちが語る繁盛店の作り方」では、美容鍼エステチェーンの「ハリナチュレ」を展開するKOSHIKIの仲野直紀社長と、筋膜に特化した整体院「青山筋膜整体理学BODY(以下: 理学ボディ)」や理学療法士監修のマシンピラティススタジオ「Luluto(以下: ルルト)」を展開する理学ボディの木城拓也社長によるトークセッションが開催された。両社に繁盛店を作るためのSNSの活用方法について語り合ってもらった。(モデレータ: 本誌編集長 中村裕幸)

業界に課題点を見出しチェーン展開へ 良質なブランド展開で問題を解決

理学ボディ 木城 拓也社長 1989年2月12日生まれ、東京都八王子市出身。2018年7月に株式会社理学ボディを設立。24年10月現在、整体91店舗、ピラティススタジオ31店舗経営。シンガポール、インドネシア、オーストラリアにも店舗展開中。

中村 本日のテーマは「店舗集客のプロたちが語る繁盛店の作り方」です。今回はFCにこだわらずにチェーン展開という観点で、事例も交えつつ集客や求人に関してお話を聞きたいと思います。まずは、仲野社長から自己紹介をお願いします。
仲野 当社では、美容鍼サロン「ハリナチュレ」を展開しています。前職で働きすぎて首が痛くなった時、鍼灸に出会って鍼治療を受けて感動したため、世の中に鍼灸を広めたいと思いました。ですが鍼灸の需要率は低く、約5%だそうです。なぜそれほど低いのかと考えた時、痛くて怖そうというイメージや労働環境が悪いというイメージがあり、それらを解決するブランドとして「ハリナチュレ」を作りました。現在は店舗を展開しています。
中村 実際にご自身で利用されたことで、業界を知ったということですね。需要率の低さに課題感を感じられたようですが、具体的にその理由は何だと考えていますか。
仲野 需要率の低さの理由の一つとして、鍼灸はマーケティングが不足していると思いました。つまり、肩が凝った時に鍼灸に行こうと思う人は少ないのです。整体やリラクゼーションに行く人が多いと思います。鍼灸に興味が無い人が多い現状を見て、多くの人が興味を持っているエステのジャンルからであれば一定のシェアを取れるのではないかと考えました。鍼灸業界のマーケティング不足を感じてテコ入れをしようと、入り口に美容鍼という商品を置いたブランド展開を開始しました。
中村 顧客のニーズを掴める入り口商品を置いて︑鍼灸のマーケットを広げていったということですね。続いて木城社長、自己紹介をお願いします。
木城 当社は、整体院の理学ボディやパーソナル専門のピラティススタジオのルルトの展開事業などをしています。私はもともと理学療法士として整形外科クリニックで働いていました。その後、約5年間病院で働いた後に整体院を起業し、現在直営で店舗を展開しています。また、2年前にはピラティススタジオ事業を始め、こちらは直営とFCで展開しています。海外展開も進めており、現在はシンガポールに2店舗、インドネシアに1店舗、オーストラリアに1店舗を展開しています。
中村 事業を開始される際、どのような点に問題を見出していましたか。木城 病院勤務の理学療法士は、施術の単価や時間を変えることができません。どんなに技術を磨いて頑張っても、高齢化社会で医療費が削減されているため給料が変わらない現状があります。そこで悔しさを感じて自分で整体院を起業しました。当時、個人で営業している職人の店はありましたが、チェーン展開しているブランドはほとんどありませんでした。理学療法士は毎日何十人もの患者を見続けているため、体に対する知識は豊富にもかかわらず、それがなかなか広まっていかないという状況を変えたいと思いチェーン展開をしています。

SNSを組み合わせターゲットに訴求 良質な人材の獲得に繋がる

KOSHIKI 仲野 直紀社長 鍼灸師資格無し、店舗経営素人から美容鍼サロン「ハリナチュレ」を17店舗へ拡大。230社が参加する店舗マーケ講座主催。集客ノウハウで顧問先の支援も行う。動画編集CAMP3店舗、La pilates4店舗、整体院6店舗の計30店舗を展開し、年商は10億円に上る。

中村 ヘルスケア領域での求人や集客は主にネットやSNSを活用したものが主流になっていると思います。SNSを使用した施策について、仲野さんはどのように考えていますか。
仲野 SNSはエリアが絞れないため、SNSを使った集客は本部主導で進めていくのが理想だと思っています。近年は、ある程度SNSに強い本部でないと、FCとして人気が出にくいのではないでしょうか。加盟店が行うべきSNSの運用としては、店舗の空き状況やスタッフの雰囲気など、来店を後押しする施策の1つとして活用することです。各店舗ではフォロワーを増やしたり、リーチを増やしたりすることを考えるよりも、来店率の向上に繋がるSNS運用を行っていくのが良いと思います。
中村 木城さんは理学ボディとルルトの2ブランドを展開していますが、広告の出し方や集客の面でどのような施策を取られていますか。
木城 基本的には、最初の数店舗の時であればSNSは必要ないと思っています。SNSで頑張って集客したとしても、バズって来店した人を計算に入れてしまうと、収支の再現性が低くなるからです。また、InstagramやYouTubeを伸ばすにはコストが大きくかかるため費用対効果が低いです。そのため、店舗が増えてきた段階で、まずはLPのようなイメージでSNSの運用を開始し、ユーザーの購買を促す状態を作っていくのが理想だと思います。
中村 求人と集客では、それぞれどのようなSNSが適しているかという違いはありますか。
仲野 SNSの中で資産性や影響力が最も大きい媒体はYouTubeですが、伸ばすのが非常に難しいです。それに対してInstagramやTik Tokなどのショートムービーは拡散されやすいですが、影響力を与えるところまでは伸びません。そのため、これらのSNSを組み合わせて使っていくのが理想的だと思いますが、最近の店舗集客はInstagram経由が非常に多い傾向があるので、Instagramを育てるのが最善だと思います。求人であってもYouTubeを使うことがベストだと思いますが、難しければ社長のXやショート動画で知ってもらうのが良いと思います。
中村 レイヤーで分けているのですね。木城社長はSNSの使い分けはどのようにしていますか。
木城 SNSの使い方に関しては、業種にもよると思っています。当社では整体とピラティスを展開していますが、整体はInstagram との相性が良くないと感じました。その理由として、特に当社の整体ブランドは痛みの改善を謳っている上、単価が高いので、ターゲットは悩みが深い人です。そのため、不特定多数のアカウントに届く施策をしてもあまり意味が無いと思っています。仲野社長も言う通り、YouTubeが教育コンテンツとして最も強力なので、YouTubeに人が集まる導線を作るといいのではないでしょうか。
 また、SNSの活用目的として、集客・採用・加盟開発と3つのジャンルがあると思いますが、SNSは採用と加盟開発に絞って運用するのが良いと思っています。その理由として、1人採用できるとそのスタッフが今後立てる何千万円もの売上に繋がるため、カットできるコストが大きいのです。また、採用のコストが削減できるだけではなく、教育コストや離職率の低減にも寄与します。当社の整体のスタッフは、ほとんどがYouTubeとXからの採用ですが、6年経っても離職したスタッフは数人に抑えられています。採用に関しては、求人媒体で広告を打つよりも明らかに質が良く、当社に合った人材が採用できています。
中村 SNSによって優秀な人が採用できることや離職が減ることについて、どのような分析をしていますか。
木城 誰に何を届けるのかを絞ることが重要です。当社の整体では、技術研鑽を続けているのに報われず、将来が不安な理学療法士がターゲットです。私がYouTubeやXで、技術を磨いている人がかっこいいという旨の発信をしているため、それを見た上で感覚の近い人が働きに来てくれるのです。そのような人のニーズを満せる人事評価制度やビジネスモデルを作っているので、離職が起きづらいです。SNSはそのような点について、一貫性を持たせやすいと思います。広告で雑多に集めてしまうと、採用した後に教育することになるためミスマッチが起きやすいのです。

「Luluto」は、40㎡ほどの広さで開業できるため、マンションの一室でも出店可能

需要を見極めてYouTubeを運営 集客に強い本部への加盟が鍵

ビジネスチャンス 中村 裕幸 代表取締役社長兼編集長

中村 YouTubeは撮影や編集にコストがかかるため、少々ハードルが高いイメージがあります。どのようにスタートするのが良いのでしょうか。
木城 私は「理学療法士の働き方改革チャンネル」という理学療法士向けのチャンネルを運営しているのですが、最初の数店舗の時はスマホを使って自撮りで撮影し、編集をせずに投稿していました。普通はそれでは伸びないのですが、ニッチなジャンルに絞ってYouTubeに入る前の動線をしっかり作っていたため、当時から多くの人材を採用することができていました。そのため、ジャンルによってはコストをかけずに伸びる可能性もあると思います。しかし、レッドオーシャンに飛び込んでいく場合は話が変わるので、ポジショニングを考えて運営する必要性があります。
仲野 私も求人コンテンツを載せるYouTubeを運営していたことがあるのですが、全く当たらなかったため止めてしまいました。技術を磨くことが最優先のセラピストに対してキャリアも考えていこうという問題提起をするチャンネルで、転職活動で採用されやすい面接の仕方や給料交渉の方法なども無料の特典として配布していたのですが、受け取る人はほぼいませんでした。その理由として、セラピストをしている人は技術に興味を持っているので、その深掘りをする必要があったのかなと思います。木城さんはYouTubeで技術についても話していますよね。
木城 私は実際に業界で働いていたので、仲野さんとの違いはそこにあると思います。自分で働いていた経験から業界のインサイトを正確に把握しているため、どのような動画がどの程度伸びるかということがわかるのです。やはり、登録のきっかけは技術動画なので、技術に詳しい人物を呼んで撮影しています。しかし技術の話だけではお役立ち動画で終わってしまうため、技術で人を集めた後に価値観の発信をすることで、最終的に採用活動に繋がります。
 採用するためのチャンネルを作る場合は、ある程度業界で働いた経験を持つ人を演者として立てて、面白おかしく話してもらうのが良いのではないでしょうか。
中村 待遇面なども含めて業界に詳しい人の発信は信頼できるということですね。最後に、もし繁盛店を作りたいと思った時、どのような手順でどのような取り組みを進めていくのが良いと思いますか。
仲野 私は、リピーターのお客様が約8割を占め、新規のお客様は2割ぐらいの比率で来店する状態が繁盛店だと考えています。反対に、新規のお客様が増えて予約が取れなくなる状態を人気店としています。人気店をつくるため新規集客を進めていくのは本部と加盟店が一緒に取り組む必要があります。しかし、繁盛店は加盟店の力量で作ることができます。当社のハリナチュレは、現在17店舗オープンしていますが、毎月約1万人のお客様が来店するうち、既存顧客は9200人で新規顧客は800人です。私の定義では、ブランド全体で繁盛店を作ることができています。顧客を1人でも多く各店舗に送客し人気店を作るためには、特にMeta広告の動画の質をどれだけ高くできるかが重要です。クリエイティブにおいて私が参考にしているのが『ステーキを売るな、シズルを売れ!』という本です。肉の質の良さを売るのではなくステーキの肉汁が溢れる匂いを売ることで顧客はステーキが食べたくなるという内容です。これを自分のビジネスに落とし込んで、何がステーキの匂いにあたるかを試行錯誤すると、新規集客が一気に改善されます。
中村 重要視されているクリエイティブを駆使して人気店を作った後、繁盛店の比率まで移行するのが一番理想的ですね。木城社長は繁盛店の作り方についてどのように考えていますか。
木城 加盟店目線での繁盛店の要素には、プロダクトと集客、マネジメントの3つの要素に分解できると考えています。その中でも集客に関しては、本部主導で進めるところから丸投げするところまでさまざまあると思います。そのため、FCであれば本部が集客についてしっかり考えているブランドに加盟することが重要だと思います。外部に発注しているパターンや、YouTubeだけで集客しているブランドも多く、そのようなブランドに加盟した場合、自分でマーケティングを体得する必要性が出てきてしまいます。
 加盟店の立場であれば、集客に強い人が本部にいるか、集客チャネルを複数持っているかなどを見るのが良いのではないでしょうか。
 また、マネジメントの要素が少なくなればなるほど環境に左右されやすく、自分でコントロールすることが難しくなると思います。個人的には、インパクトのある業態で本部集客が強いブランドに加盟するのが、勝ち筋だと思っています。

「ハリナチュレ」では独自の「フェイスアップ美容鍼」を使用

 

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