テナント・土地活用展2024@大阪 セミナーレポート

公開日:2025.03.27

最終更新日:2025.04.01

※以下はビジネスチャンス2025年4月号から抜粋した記事で、内容は取材時の情報です。

駐車場1台が稼ぐ!上場経営者のミニランドリー革命 フトン洗いのニーズを隅々まで狙う新業態

 フランチャイズ事業の専門誌「ビジネスチャンス」主催の「テナント・土地活用展2024@大阪」は、不動産オーナーと出店先を探す事業者のマッチングができるイベントだ。2024年12月5日・6日にインテックス大阪(大阪市住之江区)にて開催され、コインパーキングやトランクルーム、カーシェアリングサービスなど多様な企業がブース出展した。さらに、展示会場では不動産オーナー向けのセミナーを実施。本ページではその中から、フトン巻きのジローの森下洋次郎社長によるセミナー「駐車場1台が稼ぐ!上場経営者のミニランドリー革命」の様子を紹介する。

ライトユーザーの需要獲得 オーナー業務は掃除のみ

 当社は「フトン巻きのジロー」というコインランドリーFCを展開する本部です。今回新しく開発したモデルではコンパクト化を行い、新業態として駐車場1台分のスペースで作れるランドリー「フトン巻きのコジロー(以下:コジロー)」の展開を開始しました。1号店のオープンから2カ月が経った今、実績や不動産の価値をどのように上げていくのかを合わせて「駐車場1台が稼ぐ!上場経営者のミニランドリー革命」として、本日はお話していきたいと思います。
 当社の設立は2016年で、2023年に東京プロマーケット市場に上場しました。上場を果たせた理由の1つは、ランドリーで布団が洗えるというコンセプトを打ち出したことで、業界に話題を呼んだことだと思っています。その結果、今ではさまざまなランドリーブランドが布団を洗えることを打ち出しており、似たようなランドリーが増えています。
 まず当社のビジネスを紹介する前に、ランドリービジネスの特長についてお話します。1つ目は、飲食店と違って在庫がないということです。設備さえ置いてしまえば、その後は仕込みや従業員は不要です。2つ目は、原価率が非常に低いということです。水道光熱費と洗剤などの製造原価が約30%で、残りの約70%はそのまま利益となります。また、売掛の概念が無く、売上は即時の計上です。そのため、立地さえ間違えなければ確実に成立すると考えています。
 こうした理由もあり、ランドリーの店舗数は増加しているようですが、必ずしも店舗数の増加に応じた需要が獲得できているわけではありません。正直なところ、この先のランドリービジネスは厳しいと感じています。
 そこで新たなビジネスモデルとして、ミニランドリーを作ってマンション下などに設置をすることで、ライトユーザーの需要を取り込めるのではないかと考えました。それがコジローです。
 当社のコジローは、駐車場1台分のスペースがあればどこでも設置可能です。必要面積は10㎡未満の上、建築申請が不要なので、用途地域の制限も受けないという利点があります。また、コジローは洗濯乾燥機2台のみを設置するモデルのため、初期コストが非常に安価です。
 店内には監視カメラを設置しており、カメラ上で本部が声かけのサポートを行っています。当社が150店舗まで拡大させたコインランドリー「フトン巻きのジロー」は、大型店舗でスタッフが常駐するパッケージです。この特徴を再現させるために、監視カメラ上で同様の接客体験を提供するサービスをしています。そのため、オーナー業務は1日10分の掃除のみです。

セミナー会場には多くの来場者が足を運んだ

移設可能なコンテナ式店舗利回りは4~18%を見込む

 ランドリーの店舗の増加に伴い、競合が増えたことで赤字になってしまうランドリーが非常に増えている状況ですが、赤字になる理由は損益分岐点が高いからです。
 たとえば、賃料20万円の物件を借りるとすると、損益分岐は30万円が目安になります。商圏が広く取れていた数年前までのランドリー業界であれば、30万円を稼ぐことは容易だったはずです。しかし、どの地域においても競合店の増加により環境が変わっています。このような状況で、損益分岐を最初から高い状態にしてしまうと、しばらく赤字経営をすることになります。その上、ローンを組んで返済も入れた場合、赤字経営の期間がさらに長く続くことになります。
 しかしコジローは、所有地の敷地内でコンテナを作ることで賃料を0円にできるモデルなのです。その場合、支出はアプリやネット回線などの固定費2万円のみのため、月商3万円で利益が出ます。
 一方で、客数をどの程度まで増やすことができるかというリスクもあります。しかし、万が一設置した場所で集客が上手くいかなかった場合も、コンテナ式のため移設をすることが可能です。
 続いて、初期費用について説明します。初期投資は総額1100万円(税抜)です。そのうち大きくコストがかかるのが、機械代金600万円です。そのほか、コンテナや工事費用なども含めて500万円となります。機械に関しては必ずしも新品である必要は無く、当社で新古品も取り扱っています。導入の際は立地調査から行い、最短約1カ月で納品が完了します。
 開業後にかかる費用は、ロイヤリティとして売上の7%と、システム利用料・ネット回線費用として固定費2万円です。
 年間の収益モデルは、利回りが4~18%のレンジで推移します。これは客単価1500円で、1日の客数が2~6人の想定です。客数が毎日2~3人の場合、月商は約10万円で、年間120万円の売上高を見込んでいます。利益率は70%なので84万円が残ります。減価償却費を含む販管費が104万円のため、営業利益としてはマイナス20万円となりますが、償却前利益は45万円になります。投資総額から計算すると、4%の利回りが出る計算になります。
 当社は、新業態であるコジローを沖縄県中心に100店舗まで拡大させたいと考えています。大物洗いのニーズは無くならないため、必ず多くの需要を取り込むことができるはずです。最終的には、街中のポスト程度のサイズのスペースにも当社のコジローがあるという状態になるのではないかと考えています。

コンパクトなコンテナ式店舗

開催概要
名称 テナント・土地活用展2024@大阪
会期 2024年12月5日(木)・6日(木)
時間 10:00 ~17:00
会場 インテックス大阪 4・5号館
公式サイト  https://tochikatsu-fair.com/【入場料】 無料
主催  株式会社ビジネスチャンス【同時開催】 賃貸住宅フェアin大阪 

フトン巻きのジロー
森下 洋次郎 社長
1999年に慶応義塾大学商学部を卒業後、IT企業を創業。2016年にコインランドリー事業をフランチャイズという形で開始した。翌年から「フトン巻きのジロー」を展開。「布団洗い」という新たなニーズを開拓し、現在138店舗(2024年4月時点)まで全国に広げている。2023年7月には東京プロマーケットに上場。現在ではミニランドリー”コジロー”の立ち上げに従事し、新しいランドリー改革を進めている。

 

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