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【連載 第3回】FC弁護士が答えるランチャイズ法律相談 

公開日:2023.10.29

最終更新日:2023.10.29

※以下はビジネスチャンス2023年10月号から抜粋した記事で、内容は掲載時の情報です。

フランチャイズ本部が加盟者のために行う立地調査・立地

弁護士法人 心斎橋パートナーズ 神田 孝 弁護士(59)

 フランチャイズに加盟する、本部を構築または運営する。いずれの場合も法律の知識は欠かない。「知らなかった」では済まされない失敗を防ぐために、法に基づく考え方を知っておきたい。チェーンビジネスに詳しい現役弁護士が、実例を交えてわかりやすく解説する。

 

 

 

Q:診断とはどのようなものですか?加盟希望者は自ら立地調査を行う必要がありますか?

 立地調査とは店舗候補物件(地域)に対し行う調査です。その調査結果から、その立地が「出店に適した立地」であるか否かを判断することを立地診断(立地評価)といいます。
 立地診断の結果をまとめた報告書のことを、立地診断報告書(立地調査報告書、立地評価報告書)と呼びます。立地診断報告書が独立して提供される場合もありますが、開業提案書や事業計画書(初期投資一覧や事業収支シミュレーション)と一体となって交付されるケースが多いようです。加盟希望者としては、フランチャイザー(以下ザー)から体裁のよい立地診断報告書を受け取ると、ついつい気持ちが高まりがちですが、体裁に惑わされないように注意してください。
 なお、「物件概要書」は、物件の面積や構造をまとめた書類であって、立地診断報告書ではありません。
 そのビジネスモデルに適した立地条件を理解しているのはザーですから、立地診断や立地評価はザーが行うのが一般です。しかし、加盟希望者も事業者である以上、自己の出店予定地を調査するのはむしろ当然のことです。実際に現場に赴き自ら調査することで、その場所の特性や問題点を理解できますし、ザー担当者との打合わせもより充実したものになります。
 ですから加盟希望者としては、ザーが作った立地診断報告書を妄信することなく、加盟希望者自身の足と目でその物件を調査するよう心掛けてください。
 とはいっても、加盟希望者はあくまで素人なので専門的な分析面:商圏はできません。あくまで「素人的目線」で行えば足ります。加盟希望者が物件や商圏を調査するときは、「面」「線」「点」の順番で行います。

面:商圏を考える
・商圏は来店するお客様の居住範囲
・商圏内に十分な人口がいるのか、自分のお店がターゲットとしている客層がいるのか

線:動線を考える
・動線は人が移動する軌跡や方向を表す線
・店舗への近づきやすさ
・店舗候補地の配置に問題がないか、人通りは十分にあるのか、周辺に障害物はないか

点:物件を考える
・物件の大きさ、形状は自分がやろうとしている事業に適しているか
・お客様からの視認性はよいか、入りやすく出やすいか

Profile かんだ・たかし
 1963年大阪生まれ、早稲田大学法学部卒業。東京弁護士会所属。チェーンビジネス法務を専門とし、多くのFCチェーン、レギュラーチェーンの顧問を務める。現在、弁護士法人心斎橋パートナーズ代表社員。(社)日本フランチャイズチェーン協会研究会員・専任講師。(社)中小企業診断協会東京支部フランチャイズ研究会特別会員。経営法曹会議会員。(株)あさひ社外取締役。趣味は筋トレと格闘技。2023年度全日本マスターズレスリング選手権78㎏級3位。
 「ケース別 法的交渉の実務」(共著・青林書院・2020年)「フランチャイズ契約の実務と書式(改訂版)」(三協法規・2018年)
「事例で分かる外食・小売業の労務戦略(増補版)」(第一法規・2018年)
「フードサービス店長法律ハンドブック」(商業界・2013年)「よくわかる!フランチャイズ入門」(共著・同友館・2011年)

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