【連載 第2回】コンサルとジーの両面から見るFC業界二答流

選ばれる本部とは？【第2回】

ディライトジャパン 川上 健一郎社長（46）

　コンサルティング事業を行いながら、FCオーナーとして加盟もする川上 健一郎氏による、フランチャイズ二「答」流の秘訣。選ばれる本部はどんな本部なのか？　本部・加盟店共に成功するための条件とは？

長く付き合うために理念や価値観の確認を

　今回は選ばれる本部はどんな本部か？どういう視点で本部を見るとよいか？についてお話します。「2019年度フランチャイズチェーン統計調査報告」によると、国内のチェーン数は1324本部。把握されていないところも含めると、かなりの本部数になるかと思います。私が本部を選ぶ際に意識しているのは、4つのポイントです。
①理念や価値観
②マーケット
③本部のステージ
④収益性
　まず①は、本部が掲げている理念に共感できるか？ミッションやビジョンは？価値観は合うか？ということで、非常に大切なことです。理念やビジョンは本部が進む方向性です。FC＝結婚とたとえたりもしますが、いくらお金やルックスが良くても価値観が合わないと結婚は長く続きませんね。FCも一緒で、もちろんビジネスの側面は大切ですが、理念や価値観が合わない本部と付き合うのはお勧めできません。
　②は人口が減っている日本において、誰の目から見ても成長しているマーケットは多くはないと思います。そこで私が意識していることは、マーケットに適切な業態を選ぶということです。私は福岡県久留米市という人口30万人弱のエリアを中心に、障害者の労働力を活かせる事業を展開しています。
　ですから、田舎のマーケットに成功事例がある、ライバルが少ない又はライバルが弱い、障害者の労働力が活かせるビジネスといった視点からビジネスモデルを探しています。この視点で言うと、都会でも田舎でも通用するような守備範囲の広いビジネスを展開している本部は選ばれる割合が高いでしょう。

加盟店舗数から見る本部のステージ

　③本部のステージはちょっと独特な表現かと思います。FC本部は加盟店舗数によって、加盟店への支援体制やビジネスモデルの再現性などが変わります。加盟店1〜30店舗の本部は、直営店での成功事例はあるがFC加盟店での成功事例を作っている最中。どういう支援体制が適切なのか模索している段階でしょう。　このアーリーステージの本部の魅力は、まだまだ出店エリアがあり、オーダーメイド的に柔軟な対応をしてくれる点です。
　では、30〜100店舗の本部はどうか？加盟店の成功事例が少し出て、支援体制も構築出来てきた段階です。100店舗はFCビジネスでいう一つの基準で、ある程度加盟店の成功事例を積み上げていけなければ到達出来ないものです。
　100〜300店舗の本部は本部自体の体力もつき、ここからシステムや支援体制を本格的に構築していきます。300店舗以上の本部は、支援体制もビジネスモデルの再現性に関しても一定のレベルに達していることが多いです。
　④収益性のポイントは2つ。単月黒字までの期間と、初期投資の回収期間です。私は長くても半年と設定しています。ここで長くかかると、多店舗展開ができなくなるので敬遠する方も増えると思います。初期投資の回収期間は3年までのモデルが選ばれやすいですね。この2点を短縮するためには、加盟店側としても様々な工夫をしていく必要があります。FC本部との相性は様々なので一概には言えませんが、上記のような視点で本部をみられてはいかがでしょうか。

Profile　かわかみ・けんいちろう
1976年3月生まれ、 福岡県出身。久留米大学卒業後、光通信グループ、家業の造船業をへて長谷川興産（株）入社。加盟店開発での営業経験を積んだ後、開発部門の責任者を勤め、2009年8月にFCコンサルティングを専門としてディライトジャパン創業。現在は上記のコンサルティング以外に金沢屋8エリア、家工房3エリア、芝本舗1エリア、障害者就労継続支援A型、グループホーム、EC事業など多岐にわたる事業を展開している。