【連載 第3回】コンサルとジーの両面から見るFC業界二「答」流

理念と価値観が合う本部を選ぶ【第3回】

ディライトジャパン 川上 健一郎社長（46）

　コンサルティング事業を行いながら、FCオーナーとして加盟もする川上 健一郎氏による、フランチャイズ二「答」流の秘訣。選ばれる本部はどんな本部なのか？　本部・加盟店共に成功するための条件とは？

　みなさんこんにちは!
　早いものですっかり秋ですね。食欲の秋、読書の秋、運動の秋。私が一番好きな季節です。今回は本部が掲げる理念やビジョン、ミッション、そして価値観についてお話します。

理念の浸透具合で本部の本気度や姿勢が分かる

　理念とは、ある物事における根本的な考えを意味します。一般的に、ビジネスで使われる「理念」は「物事に対して”理想”とする”概念”」のことで、「こうあるべき」というベースの考え方を指します。
　FCビジネスにおいては、本部の基本的な姿勢や何を大切にしているかといった行動指針を表現する際に活用されます。何のために存在するのか、どんな目的で経営しているのか。経営を進める上での判断基準と言えるでしょう。
　「理念」と同様に良く使われる言葉として「ビジョン」や「ミッション」といったものがあります。それぞれを一言で表わすと、

ビジョン（v i s i o n）
実現を目指す、将来のありたい姿のこと

ミッション（m i s s i o n）
企業が果たすべき使命であり、存在意義のこと

と言えるでしょう。
　私はさまざまなFC本部を見てきましたが、この理念、ビジョン、ミッションが非常に大切だと思っています。おそうじ本舗時代に「感動を売る、満足を売る」という経営理念を説明会でご案内していました。加盟店オーナーに「なぜ弊社を選ばれたんですか？」と聞くと、「理念が気に入った」とか「こういう理念の元で仕事をしたい」とよく伺ったものです。
　その理念をどういう意味合いで掲げているのか？本部のためのものなのか?お客様のためなのか?社会のためなのか?しっかりご自身で見極めて、本部加盟開発の担当者に確認してください。納得がいく回答ができるかどうかで、本部のその事業における本気度や姿勢が分かります。理念が浸透していれば、物事に対しての姿勢が一貫しているので開業後の対応も安心できます。逆も然りです。加盟判断の基準として、大切なポイントだと感じています。
　また、ビジネスモデルが秀逸だったとしても、理念に共感できない本部に加盟、参画することはおすすめできません。「性格は合わないけれど、とびきりの美人だから」と結婚するようなものです。予定通りの収益に届かなかった場合、事業の理念や将来的なビジョン、ミッションに共感していないので踏ん張りが効きません。そのようなケースを今までよく目にしてきましたので、ぜひ気をつけていただきたいです。

ストレスを抱えないために価値観の合った本部選びを

　もう一つは、価値観です。コミュニケーションのレスポンスのスピードや時間帯、接触方法など、それぞれの組織で文化や価値観があります。独立してオーナーになられる方は、今まで社会的に成功を収めてきた方が多いです。一方で、本部の「当たり前」レベルと大きく乖離しているケースも見受けられます。コミュニケーションにストレスを抱えてしまい、オーナーが思ったような未来を描けないこともあります。加盟前に開発担当者とのやりとりの中で確認していきましょう。
　FCに加盟すると、人生の中で貴重な何年もの時間を本部と共に過ごします。本部は大切なパートナーですので、しっかり加盟前に確認されてから判断してください。

Profile　かわかみ・けんいちろう
1976年3月生まれ、 福岡県出身。久留米大学卒業後、光通信グループ、家業の造船業をへて長谷川興産（株）入社。加盟店開発での営業経験を積んだ後、開発部門の責任者を勤め、2009年8月にFCコンサルティングを専門としてディライトジャパン創業。現在は上記のコンサルティング以外に金沢屋8エリア、家工房3エリア、芝本舗1エリア、障害者就労継続支援A型、グループホーム、EC事業など多岐にわたる事業を展開している。