• HOME
  • 連載記事
  • 【連載 第3限目】教えて!木村先生 フランチャイズ・ニュース講座

【連載 第3限目】教えて!木村先生 フランチャイズ・ニュース講座

公開日:2024.11.12

最終更新日:2024.11.12

※以下はビジネスチャンス2024年12月号から抜粋した記事で、内容は掲載時の情報です。

20歳未満の飲酒・喫煙防止のための法律と店舗の責任

20歳未満の飲酒・喫煙問題

 パリオリンピックでは日本選手団が多くのメダルを獲得し、大活躍を見せてくれました。全員10代で初出場ながら団体で8位入賞となった体操女子選手達。彼女達の活躍と笑顔に胸を熱くした方も多かったのではないでしょうか。
 この体操女子では、オリンピック開会の数日前、日本代表選手の1人が20歳未満であるにもかかわらず飲酒と喫煙をしたことが原因で、オリンピックの出場を辞退するという事件が起きていました。
 この出場辞退の処分が厳しすぎるかどうかについて、SNSでは意見が分かれましたが、日本では20歳未満の人が飲酒や喫煙をすることは禁止されています。
 それでは、20歳未満の人にお酒やタバコを販売した店舗はどうなるのでしょうか。実は、店舗も罪に問われることがあります。

販売店の義務と罰則

 まずお酒についてですが、「20歳未満の者の飲酒の禁止に関する法律」により、20歳未満の人にお酒を売ることは禁止されています。また、この法律は店舗が年齢確認を行うなど、20歳未満の人が飲酒をしないようにする措置を求めています。
 そして、20歳未満の人が飲酒する目的でお酒を購入しようとしていると知りながら、店舗がお酒を販売した場合には、50万円以下の罰金が課せられます。この法律の条文には、年齢確認を怠った場合の具体的な罰則については規定がありませんが、
 20歳未満の人が飲酒する目的でお酒を購入すると知りながら販売した場合には罰せられますので、実質的には販売店に年齢確認を求めていると言えます。
 タバコについても同様に、「20歳未満の者の喫煙の禁止に関する法律」によって、20歳未満の人にタバコを販売することは禁止されています。この法律も、店舗が年齢確認を行うなど、20歳未満の人が喫煙をしないようにする措置を求めています。また、20歳未満の者が喫煙する目的でタバコを購入しようとしていると知りながら販売した場合には、50万円以下の罰金が課せられます。

酒やタバコの販売と年齢確認の重要性

 お店が罰金を課せられた場合、その販売免許や許可が取消しになることがあります。また、フランチャイズ加盟店の場合は、罰金が課せられたお店は本部から契約の解除をされる可能性が非常に高いです。
 2020年6月、あるコンビニが「20歳未満の者の飲酒の禁止に関する法律」に違反したとして書類送検された事件がありました。コンビニは、20代の男性に酒を販売しました。ところが、その男性は一緒に来店していた未成年者に購入した酒を飲ませ、その未成年者は急性アルコール中毒で病院に運ばれました。このため、コンビニは未成年者に酒を販売したと疑われました。しかし、実際に販売した20代の男性には年齢確認をしていたため、不起訴となりました。
 コンビニ等で酒やタバコを買う際に、お店から年齢確認を求められることは法律上の義務だからです。身分証の提示や年齢確認をされることに対して不満を持つ人もいますが、お店にとっては必要な手続きなのです。販売店舗側もその義務と重大性をよく理解した上で業務に当たることが大切です。

Profile 木村義和
 愛知大学法学部教授。関西学院大学大学院法学研究科修了、博士(法)。コンビニ問題やフランチャイズ契約の研究をしている。官公庁から法令調査や職員研修講師の委嘱を受けた経験あり。代表著書は『コンビニの闇』(ワニブックス)。

次なる成長を目指す
すべての経営者を応援する
フランチャイズ業界の専門情報誌

フランチャイズ業界唯一の専門情報誌として、毎号さまざまな切り口をもとに新興本部から大手本部までをフォーカス。またFCを自社の新たな経営戦略として位置付け、中長期的な経営を目指す経営層に向け、メガフランチャイジーの情報も提供しています。

記事アクセスランキング
次なる成長を担うすべての起業家を応援する
起業&新規事業の専門情報誌

“起業のヒント” が毎号充実! “ビジネスチャンス” の宝庫です。
すぐにでも役立つ独業・開業・転業・副業サポートの雑誌です。
資金をかけずに始められる新しいビジネスの紹介、FC、経営・会社運営のノウハウなど、多くの経営者からの“起業のヒント”が毎号充実。

定期購読お申し込みはこちら