【連載 第3回】~市場を押さえたパッケージづくり~南部の兵法
公開日:2023.07.24
最終更新日:2023.08.08
※以下はビジネスチャンス2022 年12月号から抜粋した記事で、内容は掲載時の情報です。
コロナ禍におけるFC業界動向②加盟検討者視点【第3回】
フランチャイズ業界で本部構築・開発のコンサルティング事業を展開するディーセント・スタイルの南部晃舗社長。手掛けた企業は飲食、リサイクル、フィットネス、小売、福祉、教育など70社を超える。「売れる」業態とは何か、強い本部作りについて解説する。
前回は新型コロナウイルスによりフランチャイズ本部にどのような影響があったかお話しました。では、加盟を検討される方々は実際にどのような業種に興味を持っていたのでしょうか? 加盟検討者の業種別問合せ割合の推移を見ることで、新規事業検討者におけるコロナ禍での業種別検討状況が見えてきます。
この推移グラフは、各月の問合せ総数を100とした時の問い合わせ数割合の推移です。問い合わせが増えている業種、減っている業種の傾向が見えてきます。
増えている業種は、社会福祉(介護・医療)、買取販売(ブランド・貴金属)、理容・フィットネス、各種サービス(住宅・通信・ランドリー他)となっており、減っている業種は、飲食業(外食)、塾(教育・スクール)、小売り・コンビニとなっています。それぞれの業種の増減やその推移傾向についての理由は、やはりコロナの影響が大きいでしょう。
問い合わせが増加したのは、コロナの影響を受けず、安定したイメージを持つ社会福祉・各種サービス。コロナによる収入減少を賄うため、所有物を現金化する動きが加速するとの見通しから、買取販売。理容・フィットネスでは、密回避など行動制限から解放されたことによる市場加熱を見込まれたと考えられます。
一方、問い合わせが減少したのは、行動制限により売上が減少した飲食業(外食)。3密のイメージをもつ塾(教育・スクール)。小売り・コンビニは巣ごもりによる売上減少といった印象を受けて、加盟検討者が減少したと考えられます。
冷静に見極めて臆さずチャレンジ
現在市況はコロナの影響に加えて、ロシア・ウクライナ紛争の影響もあり、原価高騰や提供価格の値上がりなど商売する側も消費者側も厳しい環境にさらされています。また、金融機関からの資金調達も、財務状況によりますが以前に比べるとハードルが上がっています。そのような市況においてFC加盟や新規事業を行うことはリスクなのでしょうか? 決して悲観一色ではありません。
市況として厳しい状況とされていながらも、しっかりと利益を出している事業は存在します。逆に、この市況環境に乗って売り上げをコロナ禍以前より伸ばしている事業もあります。市場・業態分析を的確に行い、コロナ禍の生活スタイルの変化に対応した事業を見極めることが大切です。自社とのシナジーや強みを生かすことができる業態など、この山を乗り越える力を持つ本部を探し出しましょう。冷静に選択肢を見極めることでリスクは低減できます。ピンチをチャンスに変えることはできるはずです。自社を取り巻く環境が新規事業を行うべき状況であるならば、臆さずに是非チャレンジしていただきたいと思います。
次回は、「チェーン本部構築の基礎」として、フランチャイズだけではない多店舗展開の手法をいくつかメリット・デメリットと併せて解説します。
Profile なんぶ・あきお
愛知県名古屋市出身。1977年生まれ。明治大学商学部卒業後、日系コンサルティングファームにて、飲食・サービス・小売など様々な業界の診断・改善コンサルティングに従事した後、2004年独立。2社設立・売却を行った後、2008年に株式会社ディーセント・スタイルを設立し、家系ラーメン「町田商店」や800拠点を超えるデイサービス業態などの本部構築をはじめ、飲食・サービス・小売・福祉など上場企業を含めた様々な業界・業態に対するチェーン本部支援を行なっている。
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