【連載 第8回】～市場を押さえたパッケージづくり～南部の兵法

売れる業態パッケージ【第8回】

ディーセント・スタイル 南部 晃舗 社長（46）

　フランチャイズ業界で本部構築・開発のコンサルティング事業を展開するディーセント・スタイルの南部晃舗社長。手掛けた企業は飲食、リサイクル、フィットネス、小売、福祉、教育など70社を超える。「売れる」業態とは何か、強い本部作りについて解説する。

　今回はこれから本部として展開していくための「売れる業態パッケージ」とはどのようなものが解説していきます。
　フランチャイズ募集を始めるにあたり、まずは自社で展開する業態をパッケージ化する必要があります。加盟金額、ロイヤリティ条件、初期投資額、投資回収期間、モデルP/L、事業シミュレーション、モデルレイアウト、出店立地パターン、研修プログラム、出店スケジュールなどの項目を設定します。加盟検討者が業態選定を行う際に注視する項目ですので、魅力ある数値や状態を構築したいですね。加盟検討者の最終的な加盟意思決定を行う項目が存在しますから、その点を意識しながらパッケージを作りこむのも良いでしょう。
　企業は商品を売るために商品力を磨く必要がありますが、フランチャイズ本部における商品力とは、販売するパッケージの「業態力」と言えます。いかに、業態力を磨き続けられるか。それこそが継続して成長していける本部になれるかどうかの分かれ目となるのです。
　では、業態力とは一体何なのでしょうか。私は5つの要素から構成されるものだと考えています。

成長市場で業態力を磨く

①市場性
　自社の業態が展開する市場は、導入・成長・成熟・衰退のどのステージに位置しているのかしっかりと把握する必要があります。自社事業の市場が導入・成長期である場合は、伸びているタイミングですから、スピード感を持って展開を進めることができるでしょう。一方で、成熟・衰退期を迎えた市場で展開する場合、市場が停滞縮小する環境下であっても伸び続けることが出来る業態であることが求められます。事業展開のハードルが非常に高い市場と言えますので、ポジショニングの変更を検討する必要があるかもしれません。

②投資効率
　ビジネスパッケージを買う加盟検討企業は、当然、投資効率を求めます。いくら出資するとどのくらいの期間でどのくらいのリターンがあるのか、といった視点で業態を分析します。より早期に投資回収可能な業態にすることで業態力が上がります。

③成功要因
　成功要因がしっかりと分析され明確になっている業態であることが重要です。しっかりと業態分析を行い、コンセプト、立地、商品、サービス、顧客が求めているもの、提供できている価値、リピート要因まで、なぜ売り上げが上がるのか、集客が成功しているのかなど明確にすることで成功パターンが確立されます。成功要因が明確であるのは重要です。

④競合優位性
　競合に対して何かしら優位に立てる強み、特徴、独自性などを持っている必要があります。チェーン展開をしていくと必ず競合は現れます。その時に競合優位性を保持していなければすぐに業績悪化を招いてしまいます。競合が現れても負けない優位性を持っているかどうかは業態力に大きくかかわります。

⑤再現性
　フランチャイズ業態はどのような加盟企業であっても直営店と同様のクオリティを実現させる必要性があります。それは、サービス品質はもちろんのこと、収益性においても同じことです。再現性を高める仕組みが業態の中に作り込まれているか。その点が業態力を強くするポイントとなります。
　以上5項目について常に確認し最適な状態を継続することが、売れる業態パッケージを作ることにつながるのです。

Profile　なんぶ・あきお
愛知県名古屋市出身。1977年生まれ。明治大学商学部卒業後、日系コンサルティングファームにて、飲食・サービス・小売など様々な業界の診断・改善コンサルティングに従事した後、2004年独立。2社設立・売却を行った後、2008年に株式会社ディーセント・スタイルを設立し、家系ラーメン「町田商店」や800拠点を超えるデイサービス業態などの本部構築をはじめ、飲食・サービス・小売・福祉など上場企業を含めた様々な業界・業態に対するチェーン本部支援を行なっている。