
【連載 第15回】南部の兵法~市場を押さえたパッケージづくり~
公開日:2025.03.26
最終更新日:2025.03.31
※以下はビジネスチャンス2025年4月号から抜粋した記事で、内容は掲載時の情報です。
【第15回】成功事例②「買いクル」

ディーセント・スタイル 南部 晃舗 社長(47)
フランチャイズ業界で本部構築・開発のコンサルティング事業を展開するディーセント・スタイルの南部晃舗社長。手掛けた企業は飲食、リサイクル、フィットネス、小売、福祉、教育など70社を超える。「売れる」業態とは何か、強い本部作りについて解説する。
コロナ市況にマッチ
これまで立ち上げを支援してきたチェーン本部の成功要因を、本部概要とともに紹介するシリーズ。
今回は、出張買取サービス「買いクル」を展開する株式会社RCを取り上げます。支援開始時は直営1店舗でしたが、7年で120店舗を超えるチェーンに成長。成功要因は、「加盟ターゲット設定」「加盟開発営業体制」「市場環境にマッチした業態」「競争優位性」にあったと考えられます。
チェーン展開当初、20店舗まではゆっくりと拡がり爆発的に加盟が進んだわけではありませんでした。買いクルチェーンが大きく伸び始めたのは、展開開始から2~3年経過した2020年を過ぎたあたりからです。市場環境が大きく変わり、加盟希望者が一気に増えていきました。その背景は「コロナ」です。フランチャイズ業界は不況ビジネスと言われるように、市況が悪くなるとチェーン本部が増えたり、加盟希望者が増えたりする傾向にあります。まさにコロナはその市場を作り出しました。この環境変化に買いクルはうまく乗ることが出来、その後の快進撃につながる第一歩を踏み出しました。
とはいえ、何もせず運よくコロナ市況に乗って拡がったわけではありません。市場環境を見ながら営業ターゲットの明確化や体制構築を行ったこと、そして市場にマッチした業態であったことが、成功につながる大きな要因だったと考えられます。
加盟ターゲット設定と営業体制
この時期から加盟ターゲットを個人事業主・零細企業・未経験者へと明確に絞りました。初期投資200万円を切る業態モデルのため、個人加盟が可能な一方、法人には小規模すぎる場合がありました。コロナ禍で脱サラ加盟検討者が増えていたことも背景にあります。
営業手法はポータルサイト活用のフィールドセールスから、SNS広告によるインサイドセールスへと一気に転換しました。それにより説明会参加人数が4倍まで伸びました。本部の営業体制も集客・インサイドセールス、説明会、クロージングの業務に分担。在宅業務を可能にしたことで、生産性が向上しました。
低い初期投資(198万円)で個人加盟可能、投資回収の早さ(平均6ヶ月~最短2、3ヶ月)、無店舗ビジネスという業態が加盟促進の大きな要因だったといえます。出店後もコロナという市場環境がリサイクルへの持ち込み(換金)ニーズを生み、売上実績を後押ししました。
最後に「競争優位性」。テレビ東京のカンブリア宮殿にも取り上げられるなど、テレビ出演や地道な広告活動により知名度が上昇。ブランド物や貴金属専門の買取業態とは一線を画した「何でも買取る買いクル」ブランドが浸透しました。市場を大手同業者のフィールドから外し、小規模同業者を競合に戦ったことで、チェーンのスケールメリットを確立。加盟店実績の躍進につながりました。
Profile なんぶ・あきお
愛知県名古屋市出身。1977年生まれ。明治大学商学部卒業後、日系コンサルティングファームにて、飲食・サービス・小売など様々な業界の診断・改善コンサルティングに従事した後、2004年独立。2社設立・売却を行った後、2008年に株式会社ディーセント・スタイルを設立し、家系ラーメン「町田商店」や800拠点を超えるデイサービス業態などの本部構築をはじめ、飲食・サービス・小売・福祉など上場企業を含めた様々な業界・業態に対するチェーン本部支援を行なっている。
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