【連載 第14回】健全で強い本部の作り方

公開日:2024.08.02

最終更新日:2024.10.12

※以下はビジネスチャンス2024年8月号から抜粋した記事で、内容は掲載時の情報です。

フランチャイズオーガナイザー佐々木翔が直々レクチャー!【第14回】

株式会社フリグマ 代表取締役社長 フランチャイズオーガナイザー 佐々木 翔 社長(42)

 「フランチャイズオーガナイザー」としてFC本部構築のトータルサポートを行うフリグマの佐々木翔社長は、前職のFC本部で「3年間・100店舗」の出店を牽引した実践型コンサルタントだ。同氏が目指すのは優秀なFC本部の育成だが、その先には業界の健全化も見据えている。本連載では佐々木氏がこれまで培ってきた「時流に沿った本部構築方法や運営の在り方」を、実際の手順を踏みながら語っていただく。

 

 

 

 

広告分担金

 当連載では、「時流に沿った本部立ち上げ」から「本部構築」の手順を綴ってきましたが、連載開始から2年が経過し、ようやくFC契約書の作成についてお伝えできそうです(笑)。
 今回は、FC契約書の作成前に定めておくべき要素である、「広告分担金」について触れていきたいと思います。
 広告分担金とは、加盟者に広告費を負担いただく性質の金銭です。本部構築中の段階では、まず広告分担金を設定するか否かの検討が必要です。広告分担金を設定する背景としては、
①FCチェーン全体の戦略的要素
②本部が加盟店の集客機能を担う
この2つのケースが挙げられます。
 ①は次のようなケースです。本部としてFCチェーン全体の広告戦略を描き、その戦略を実現するためには、膨大な予算が必要になります。加盟者にとっては自店だけに効果が反映されるわけではないため、本部はビジョンや想定される効果を提示することが必須となるでしょう。
 たとえば、100店舗あるFCチェーンが「年間1億円をかけてテレビCMを仕掛けたい」と指針を定めた場合、全店に年100万円、月8.3万円を負担いただくことになります。なぜテレビCMを仕掛ける必要があるのか、加盟者側の理解や賛同は必須ですね。なお、このケースの広告分担金は固定制がほとんどです。
 また、冒頭に触れましたように、当連載は本部立ち上げ〜構築の手順を綴っていますから、その観点で言えば、①のケースはスタートアップFCでは「将来仕掛けること」に対する徴収となります。そのため、スタートアップFCには不向きと考えられるので御注意ください。
 他方、②の「本部が集客機能を全面的に担う」ケースは、スタートアップFCでも運用は現実的です。実際に運用していて上手に活用されている事例もいくつか把握しています。
 ②のケースは、例えばwebやSNS集客が鍵となるビジネスの場合、加盟者のITリテラシーは千差万別です。そのため、集客機能を加盟者任せにしてしまうと実績に大きな差が生じる可能性があります。実績の波を最小限にするべく、広告分担金を加盟者に負担いただき、本部が一括で集客機能を担うというケースです。
 これを固定で負担いただくか、売上に応じた金額を負担いただくかは、本部の考える集客戦術に紐づきますが、成果報酬として捉えることができる売上の%の方が加盟者からの賛同が得やすい印象です。
 最後に、「広告分担金」を設定する際に最も重要な点をお伝えします。それは、①と②のケースいずれにせよ、「広告分担金の使途は加盟者に明示しなければならない」ということです。広告分担金ですから、広告費以外で使用してはなりませんし、加盟者としては具体的に何に使用されたのか知りたいでしょうし、知る義務がありますよね。稀に使途を示し、そのうえで残金を返金する本部もありますが、それくらいのスタンスが良い塩梅だと感じます。

Profile ささき・しょう
 某FC本部に在籍し、SVやオーナーコンサルチーム責任者として加盟店継続率96%を実現。その後、コンサルティングファームを経て、2017年にリユースショップWAKABAのFC本部を立ち上げた。加盟開発/店舗開発/SV/融資/法務など、全てのFC本部機能をオーガナイズし、加盟募集開始から3年で100店舗、4年で150店舗展開を達成。2021年に株式会社フリグマを設立し、3年で100店舗達成をコミットするFCオーガナイズサービスを世の中に提供するべく活動している。

加盟募集開始から3年で100店舗を実現した確かな実績とノウハウでFC本部をサポート。

株式会社フリグマ
https://flegma.jp/

FCオーガナイザーのYouTube番組
https://www.shosasakifranchisor.com/

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