【連載 第15回】健全で強い本部の作り方
公開日:2024.10.07
最終更新日:2024.10.16
※以下はビジネスチャンス2024年10月号から抜粋した記事で、内容は掲載時の情報です。
フランチャイズオーガナイザー佐々木翔が直々レクチャー!【第15回】
「フランチャイズオーガナイザー」としてFC本部構築のトータルサポートを行うフリグマの佐々木翔社長は、前職のFC本部で「3年間・100店舗」の出店を牽引した実践型コンサルタントだ。同氏が目指すのは優秀なFC本部の育成だが、その先には業界の健全化も見据えている。本連載では佐々木氏がこれまで培ってきた「時流に沿った本部構築方法や運営の在り方」を、実際の手順を踏みながら語っていただく。
競業避止義務
前号で「次回こそようやくFC契約書の着手について触れることができそうです」とお伝えしましたが、FC契約書作成前に定めなければならない事項をいくつか思い出してしまいました。申し訳ありません(笑)。今回はその思い出したテーマのひとつ、「競業避止義務」について解説していきます。
競業避止義務とは、FCに加盟したオーナーが、加盟をした事業の競合となる事業を行ってはならないという義務を指します。この義務は加盟契約中は勿論のこと、加盟契約終了後にも課せられます。これまで100件以上のFC契約書を見てきましたが、この競業避止義務が書かれていないFC契約書は見たことがないほど、FC業界では常識的な内容です。
なぜなら、FC本部がオーナーに提供するのは、費用や時間を使い、時には精神をすり減らしながら苦労の末に築いた事業のノウハウです。それを利用して加盟中あるいは加盟契約終了後に同業態の商売を運営されることを許容できるはずがないという背景です。あるいは、加盟契約終了後、本部はその地域で新たな加盟開発を実施するため、元加盟オーナーに同地域で同業態を運営されてしまうと、新たな加盟店にとっては明らかな弊害となってしまいます。本部として競業避止義務を課すのは自然なことです。
他方、先述のとおり、ほとんどのFC契約書に競業避止義務が盛り込まれていますが、「具体的にどういう業態が競業避止に抵触するのか」が曖昧に記載されているケースが多く、FC業界の課題となっています。一例を紹介します。
乙または乙の関係者は、本契約の有効期間中ならびに契約終了後5年間は、本FCと同一、もしくは類似した事業をしてはならない。また、本FCと競合する第三者の事業の経営、出資、従事等をしてはならない。ただし、乙の申入れに対し、甲が書面により承諾した場合はこの限りではない。一見何が曖昧なのか解釈が難しいかもしれませんが、例えば、「乙の関係者」という表現の「関係者」の定義が曖昧である点や、「類似した事業」とは具体的に何をどこまで行うのが類似の事業なのかも分かりません。
このあたりを本部としては具体的に定める必要がありますし、顧問弁護士との擦り合わせを行い、FC契約書に明記する必要があります。
ちなみに本部視点で言えば、繰り返しますが苦労の末に築いた事業ですから、競業避止義務の年数を厳しく設定したくもなります。しかし、あまりに厳しく設定してしまうと、独占禁止法における優越的地位の濫用に当たる可能性が出るため、競業禁止規定が無効とされる恐れがありますので十分に注意してください。
これは経済産業省/中小企業庁が出している「フランチャイズガイドライン」に明記されている内容です。本部関係者の皆様におかれましては、専門家からアドバイスをいただきながら、公序良俗に反することのない競業避止規定を設定しましょう。
Profile ささき・しょう
某FC本部に在籍し、SVやオーナーコンサルチーム責任者として加盟店継続率96%を実現。その後、コンサルティングファームを経て、2017年にリユースショップWAKABAのFC本部を立ち上げた。加盟開発/店舗開発/SV/融資/法務など、全てのFC本部機能をオーガナイズし、加盟募集開始から3年で100店舗、4年で150店舗展開を達成。2021年に株式会社フリグマを設立し、3年で100店舗達成をコミットするFCオーガナイズサービスを世の中に提供するべく活動している。
加盟募集開始から3年で100店舗を実現した確かな実績とノウハウでFC本部をサポート。
株式会社フリグマ
https://flegma.jp/
FCオーガナイザーのYouTube番組
https://www.shosasakifranchisor.com/
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