【連載 第2回】ナニコレ賃貸借 繁友社長の知識てんこ盛
公開日:2023.10.07
最終更新日:2023.10.07
※以下はビジネスチャンス2023年8月号から抜粋した記事で、内容は掲載時の情報です。
出店基準を設定し共有
FC本部にとってもフランチャイジーにとっても、出店立地は重要だ。「地域、貸主、テナント企業、三方よし」を掲げる繁友健志社長が店舗不動産の知識をわかりやすく解説。読めば繁盛の「シゲモリ」連載だ。
ビジネスモデルを提供するための箱と場所
今回は出店基準の設定についてお話します。
まずは、フランチャイジーや店舗開発担当者は何を基準に店舗物件を探せばよいかを決める必要があります。出店基準が決まっていると、迅速に対象物件を見つけ精査でき、出店までの時間を短縮できます。また、本部とフランチャイジー、不動産会社との間で、求める物件への認識のズレを減らすことができます。
自社サービスにとって良い物件の定義、売れる立地の定義をまとめることで、ミスの少ない多店舗展開が可能になります。
物件の条件である箱は柔軟に対応
店舗物件を探すときに必要な条件とは、箱と場所です。
箱は、本部のビジネスモデルをお客様に提供するために必要な物件の条件です。業績が良い既存店をモデルにする場合が多いですが、店舗展開を進める過程での基準変更はよくあります。たとえば、昔のコンビニは30坪でも出店しましたが、現在のロードサイド店は60坪が基準です。
飲食や物販などの業種によって仕様や基準は違いますが、物件の坪数、坪単価、階層、駐車場台数、営業可能時間などが箱にあたります。賃料は不動産市況を確認して、エリアにより変更する必要があります。
100%理想の店舗物件はありませんし、まったく同じ店舗物件もありませんので、箱についてはある程度柔軟に対応する姿勢が必要です。
良い立地はお客様へのサービス
お客様にとって、便利で通いやすい場所が良い立地です。お客様に最初にお届けするサービスが立地です。
出店希望エリアの商圏調査、競合調査、立地調査などを行います。業種にかかわらず、立地を確認するときは必ず現地を歩いてください。平日の営業時間内と休日の人通りや客層を確認します。常住人口は少なく流入人口が多いエリアもあれば、その逆もあります。
コンビニ等の衝動来店か、エステ等の目的来店か、サービスにより人の流れ(動線)の重要度が異なります。業種によって視認性や間口の広さの重要度も違い、優先順位のつけ方で出店基準は変わってきます。
周辺競合店を見て、大手が出店していれば商圏調査済みという考え方もあります。ひと昔前のオリジン弁当は市場調査コスト削減のために、セブンイレブンの近くに出店していました。同様に、日高屋がマクドナルドや吉野家の近くに出店した話も有名です。
物件選びにはブレない軸が必要
日本全国で通用するサービスがFC展開されますが、不動産はエリアにより賃料相場や物件の数も違います。ターゲットエリアにある物件の形や面積、経済条件などに合わせて柔軟に対応すれば、選択肢を増やすことができます。条件で絞りすぎると、消去法で物件を決めてしまうことになります。
物件選びに妥協は必要ですが、ブレない軸が必要であり、その大切な軸が出店基準になります。
今月の一句
好立地 空いてはいるが 高家賃
Profile しげとも・たけし
1983年、神奈川県生まれ。大学卒業後に証券会社に入社し、その後、多店舗展開企業向けの不動産コンサルティング会社を2社経験。2019年に、店舗物件に特化した不動産会社「店舗情報サービス株式会社」を創業。現在は大手チェーンから新興フランチャイズの出店支援や店舗物件に特化した不動産事業を展開している。
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