【連載 第5回】ナニコレ賃貸借 繁友社長の知識てんこ盛
公開日:2024.02.14
最終更新日:2024.02.14
※以下はビジネスチャンス2024年2月号から抜粋した記事で、内容は掲載時の情報です。
賃貸借契約の条件交渉(後編)貸主の希望に応じつつ条件交渉
FC本部にとってもフランチャイジーにとっても、出店立地は重要だ。「地域、貸主、テナント企業、三方よし」を掲げる繁友健志社長が店舗不動産の知識をわかりやすく解説。読めば繁盛の「シゲモリ」連載だ。
今回は前回の続きとして店舗物件を借りるための「賃貸借契約の条件交渉(後編)」として具体的な条件交渉のやり方をお話しします。
まずは貸主が貴社に貸したいと思わせることが重要です。経済条件の交渉のテーブルに乗るためです。
交渉時、口頭では貸主に伝わらないことが多く、一部だけが伝わり心証を悪化することすらありますので、基本的にメールや書面で要望します。
貸主の優先度が高い項目についても確認する必要があります。例えば、過去に夜逃げされ原状回復費を負担した経験がある貸主であれば、敷金の減額は難しいはずです。その場合、敷金を満額払う代わりに賃料や他の項目を打診するなど、貸主の希望は必ず応じる姿勢で臨みましょう。
項目別交渉方法
・保証金/敷金は物件取得費において比率が大きいので、基本的に減額を要望します。ただし、大手不動産会社や夜逃げされた経験がある貸主には難しいです。
・礼金は1カ月分であれば払いましょう。2〜3カ月分なら交渉の余地はありますが、減額ではなく礼金を上乗せして他の条件を引き出す材料にもできます。
・基本的に仲介手数料は減額しません。私のポジショントークでもありますが、条件交渉の為に不動産会社には味方になってもらう必要があります。居住用の賃貸と同じ感覚で不動産会社に対応するのは危険です。
・月額賃料は減額またはフリーレントを要望します。「賃料はいくら減額であれば即契約即賃料発生」を前提に交渉します。これは必ず交渉項目に入れましょう。
新築や築浅、貸主の建築費や物件購入費の返済状況により、賃料減額が難しいようであればフリーレントを要望します。仮に2カ月分のフリーレントを要望するのであれば、代わりに1年以内に撤退した場合は解約違約金を3カ月分支払う(敷金償却)などの解約ペナルティをこちらから提案することで受け入れられる場合もあります。
・造作譲渡費は強気で減額を要望します。まずは造作が前テナント資産か貸主資産を確認する必要があります。貸主資産であれば減額を要望、前テナント資産であれば0円で引き取る姿勢を示します。
・契約期間は長期化を要望します。更新料節約が目的ですが、優先順位として高いことは少ないので交渉項目の一つとして要望しましょう。違約金がない中途解約条項であれば長期契約にデメリットは少ないです。
このように項目ごとに交渉はできますが、すべてを要望するのではなく1〜2つの条件をのんでもらう代わりに、貸主が希望する条件には応じる姿勢が大事です。一方的に有利な条件を奪い取るような間違った交渉をすると、合意に至らないばかりか遺恨が残ることもあります。
貸主との共通の目標は、双方にとって望ましい条件で合意することです。貸主や管理会社の意見を尊重しながら交渉することが、協力関係を維持する為に必要なのです。
今月の一句
聞く耳や 互いの希望 こうしよう!(交渉)
Profile しげとも・たけし
1983年、神奈川県生まれ。大学卒業後に証券会社に入社し、その後、多店舗展開企業向けの不動産コンサルティング会社を2社経験。2019年に、店舗物件に特化した不動産会社「店舗情報サービス株式会社」を創業。現在は大手チェーンから新興フランチャイズの出店支援や店舗物件に特化した不動産事業を展開している。
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