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【連載 第9回】ナニコレ賃貸借 繁友社長の知識てんこ盛 

公開日:2024.09.22

最終更新日:2024.09.30

※以下はビジネスチャンス2024年8月号から抜粋した記事で、内容は掲載時の情報です。

店舗経営のカギは貸主との良好な関係性 思わぬ落とし穴に注意しトラブル回避

店舗情報サービス (東京都中央区) 繁友 健志 社長(41)

 FC本部にとってもフランチャイジーにとっても、出店立地は重要だ。「地域、貸主、テナント企業、三方よし」を掲げる繁友健志社長が店舗不動産の知識をわかりやすく解説。読めば繁盛の「シゲモリ」連載だ。

 今回は、店舗物件の賃貸借契約について、それぞれ特徴を説明していきます。契約の違いについてよく理解せずに契約してしまうと、後々トラブルになるリスクがあります。

 

 

 

借地借家法

 まずは大きく、「土地だけを借りる契約」と「土地と建物を借りる契約」の2つに分けてご説明します。
・借家契約
 土地と建物を借りる賃貸借契約で、ロードサイドから駅近などの事業用物件で最も多い契約です。契約期間は幅広く、2〜20年間と物件により異なります。ビルの空中階であれば区画を借りる契約となりますが、ビル自体は土地があっての区画のため、考え方としては土地と建物の一部を借りていることになります。
・借地契約
 貸主から土地だけを借り、建物はテナント側が建設する賃貸借契約です。特にロードサイド物件で、大手チェーン店やパチンコ店、スーパーやホームセンターなどの大型店舗に多い契約形態です。土地契約は基本的に定期借地契約で10〜20年間の契約にすることが一般的です。閉店時には、土地の契約を継続し、建物を他業種に貸すこともありますが、基本的には、建物を解体して更地に原状回復して貸主に返します。
 次に、これら借地契約と借家契約の2種類は、法的に更新が続く「普通契約」と、期限が決まっている「定期契約」に分かれます。

自動契約更新の有無

・普通契約
 仮に契約期間が5年間でも自動的に更新できるため、借主側が撤退すると言わない限り、貸主側から解約をすることが難しい契約です。正確には「正当事由」がなければ、貸主側から解約できない契約となっています。テナント側にとっては非常に有利な契約と言えます。
・定期契約
 一方、定期契約は契約期間満了時に再度契約をするか、貸主とテナント側が協議を行い、合意した場合は継続できる契約です。合意ができない場合は撤退することになります。ロードサイドの借地契約や商業施設、駅ビルはほぼ全て定期契約です。
 2000年の法改正により、都心の物件の多くが定期借家契約に移行しました。建替えや物件の大規模リニューアルを行う場合を除いては、定期借家契約であっても契約満了時に再契約されてることが多いです。しかし、再契約できないリスクは払拭できないので、安心して定期借家契約の物件を借りましょうとは言えません。
 番外編として、「転貸(サブリース)契約」があります。飲食店の居抜き物件に多い契約です。物件オーナーからサブリース会社が物件を借り、サブリース会社からテナント側に賃貸する契約です。サブリース会社が増えたことにより、居抜き物件は増えました。しかし、サブリース契約によるトラブル事例は少なくありません。
 それぞれの契約特性を理解した上で、店舗物件を借りましょう。

今月の一句

定借の リスクに怯え 借りぬ間に

Profile しげとも・たけし
1983年、神奈川県生まれ。大学卒業後に証券会社に入社し、その後、多店舗展開企業向けの不動産コンサルティング会社を2社経験。2019年に、店舗物件に特化した不動産会社「店舗情報サービス株式会社」を創業。現在は大手チェーンから新興フランチャイズの出店支援や店舗物件に特化した不動産事業を展開している。

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