【連載 第10回】ナニコレ賃貸借 繁友社長の知識てんこ盛
公開日:2024.11.26
最終更新日:2024.11.27
※以下はビジネスチャンス2024年12月号から抜粋した記事で、内容は掲載時の情報です。
ブランディングの鍵は立地にあり 顧客心理を踏まえた出店戦略の重要性
FC本部にとってもフランチャイジーにとっても、出店立地は重要だ。「地域、貸主、テナント企業、三方よし」を掲げる繁友健志社長が店舗不動産の知識をわかりやすく解説。読めば繁盛の「シゲモリ」連載だ。
出店立地と自社ブランドのイメージを一致させよう
多店舗展開を視野に入れている場合、出店戦略におけるブランディングは特に重要です。どこに出店するかで、今後の店舗展開やFC展開にも影響が出ます。エリア選定における競合調査や市場調査を行った上で、自社の業種やブランドイメージと、出店立地のイメージが乖離しすぎていないかを確かめることが大切です。
もし、東京でエステサロンやピラティスを開業するのであれば、銀座にあるのか巣鴨にあるのかでブランドイメージが大きく異なります。都市ごとに評判が良い地域を優先的に選ぶことで、増店時だけではなく採用や集客にも影響が出ます。
また、ブランディングという意味では、駅ビルのマルイやルミネなどの商業施設に出店することでブランドに与信がつき、今後の店舗展開が楽になります。「ルミネやマルイに出店しているブランド」であれば、今後のテナント物件の申込時に貸主審査の通過率が格段に上がるからです。貸主からの見え方だけでなく、集客や採用にも寄与することでしょう。しかし、駅ビルや商業施設はテナント物件に比べて与信と高い初期費用が必要なので、複数出店して余裕がある場合に検討しましょう。
顧客心理を考えて出店戦略を立てよう
出店戦略とブランディングは、顧客心理と大きく関係しています。顧客心理を考えた場合、巣鴨よりも銀座のエステやピラティスに通う方が自己肯定感の上がる人が多いと予想できます。巣鴨のエステよりも、銀座や恵比寿のエステに通っていることの方が友人にも話したくなるでしょう。求人も同様の考え方です。スタッフがエステやピラティスで働くなら、どこのエリアで働いていると胸を張って言いたくなるか、店舗経営者として考えるべきです。
しかし、ブランディングを意識すると賃料相場が高いエリアばかりが出てきます。銀座や恵比寿、新宿は家賃が高くて出店できないと考えるかもしれませんが、同じエリア内でも賃料坪単価が安い物件もあります。
極端な例ですが、「銀座4丁目」でも空中階であれば坪単価2万円以下の物件もあります。もちろん、「銀座4丁目」の路面店となると坪単価10万円を越えますが、店舗物件は建築費用や築年数、ビル共有部の設備レベルなど物件ごとに異なるので、同じエリアでも賃料に差が生じるのです。
また、土地の売買価格だけでは測れないものです。築浅でも立地が微妙でテナントが付かなければ、賃料を下げざるを得ません。そのため、隣の店舗物件でも賃料坪単価が1.5倍違うこともあります。さらに、同じ建物でも3階から10階で入居する時期やタイミング、貸主とテナントとの交渉によって賃料設定が違うことはよくあります。
出店する際のエリア選定で、あのエリアは高いからと最初から諦めず、ブランドイメージに合うエリアに出店しましょう。
今月の一句
イメージが ブランド決める 街選び
Profile しげとも・たけし
1983年、神奈川県生まれ。大学卒業後に証券会社に入社し、その後、多店舗展開企業向けの不動産コンサルティング会社を2社経験。2019年に、店舗物件に特化した不動産会社「店舗情報サービス株式会社」を創業。現在は大手チェーンから新興フランチャイズの出店支援や店舗物件に特化した不動産事業を展開している。
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