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【連載 第4回】ナニコレ賃貸借 繁友社長の知識てんこ盛 

公開日:2023.12.27

最終更新日:2023.12.27

※以下はビジネスチャンス2023年12月号から抜粋した記事で、内容は掲載時の情報です。

賃貸借契約の条件交渉(前編)メリットや想いを伝え「貸したい」と思わせる

店舗情報サービス (東京都中央区) 繁友 健志 社長(40)

 FC本部にとってもフランチャイジーにとっても、出店立地は重要だ。「地域、貸主、テナント企業、三方よし」を掲げる繁友健志社長が店舗不動産の知識をわかりやすく解説。読めば繁盛の「シゲモリ」連載だ。

 今回は店舗物件を借りるための「賃貸借契約の条件交渉(前編)」についてお話しします。前号のように自社の出店基準に合った店舗物件を見つけ、内見して問題がなければ申し込みに進みます。
 不動産の賃貸借契約では、一般的に募集条件が決められている物件が多いです。ロードサイドの開発物件では、建物の設計から経済条件などをテナントが地主に提案しますが、既存物件を借りる場合は、募集条件が設定されています。
 空き店舗物件に設定されている募集条件を交渉できないと思っている方が多いですが、基本的には交渉する姿勢で契約締結まで進めましょう。

経済条件交渉の考え方

 経済条件を交渉するには、まず貸主の立場を理解することです。
 貸主としては、長期的に安定した賃料収入が得られ、賃貸借契約期間中にトラブルがないことを期待しています。また、自分の所有物件に人気店が入ってほしいと思っている場合も多いです。
 条件交渉をする前に、貸主が自社に貸したいと思わせることが重要です。申込書に必要事項だけを記入して提出しても伝わりませんので、自社に貸すメリットや自社のアピールの別紙を作成する必要があります。
 なぜこの事業を始めて、なぜこの物件で開店したいかを熱い気持ちとともに記してください。その土地や地域に対する思い入れや、貸主や地域住民に対するメリットや想いを伝えることも重要です。
 フランチャイズ店舗であれば、加盟説明資料を物件申込時に貸主に提出してもよいか本部に確認しましょう。加盟説明資料には収支モデルや事業内容、既存店の看板や内装写真が載っていますので、事業計画書の役割を果たしてくれます。
 特に新設法人や個人名義で借りる場合は与信が低いので、貸主は賃貸借契約の締結に慎重になります。その際は、FC本部の店舗数や実績、事業モデルの素晴らしさをアピールして信用してもらうことです。

内見時の注意点

 自社に貸したいと貸主に思ってもらうには、内見するときから注意が必要です。内見時は管理会社や元付会社が対応することが多いですが、身なりや人柄を見られています。大手チェーンの店舗開発部員の多くはネクタイを締めますし、非常に丁寧に挨拶もします。
 だらしない恰好や案内する不動産会社に横柄な態度をとれば、「この人に貸したらトラブルになりそう」だと思われ、それだけで貸主NGが出て借りられないこともあります。貸主本人が共有部を掃除しながら見ていることもあります。コロナ期間中に「内見時にマスクをしていなかったからNGにした」という話も聞きました。
 ビジネスマンとして普通の対応をしていれば全く問題ありませんが、気を抜かずにつねに審査されている心構えが必要です。
 次回、後編として具体的な条件交渉のやり方を書きます。

今月の一句

審査落ち 立地良しでも 与信悪し

Profile しげとも・たけし
1983年、神奈川県生まれ。大学卒業後に証券会社に入社し、その後、多店舗展開企業向けの不動産コンサルティング会社を2社経験。2019年に、店舗物件に特化した不動産会社「店舗情報サービス株式会社」を創業。現在は大手チェーンから新興フランチャイズの出店支援や店舗物件に特化した不動産事業を展開している。

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