
【連載 第52回】経営者が知らないとマズイ 業績を上げるためのファイナンスの裏ワザ
公開日:2025.03.19
最終更新日:2025.03.19
※以下はビジネスチャンス2025年4月号から抜粋した記事で、内容は掲載時の情報です。
レバレッジを効かせよう!

アカウンタックス代表取締役社長 山口真導氏
公認会計士・税理士。経理代行のアカウンタックス代表。ビズ部・部長。債権の入金確認や振込業務を含む、経理の全機能を提供し、キャッシュ・フロー改善に貢献している。毎月開催する節税セミナーには多くの経営者が参加して好評を博している。
経営に「テコの力=レバレッジ」を掛けられると効率良くおカネを稼げます。レバレッジは経営のあらゆる場面で意識すべきものですが、本稿ではおカネに関する2つのレバレッジについて解説したいと思います。
財務レバレッジ
財務レバレッジとは、自己資金だけではなく借入金を利用することで、自己資金の利益率を高める効果のことをいいます。100万円投資して、10万円利益が出るビジネスがあったとすると、利益率は10%です。この事業資金を全額自己資金で賄うと、自己資金利益率は10%ということになります。この事業資金を半額(50万円)借入金で賄ったとします。借入金の利率が2%とすると、1万円の利息を払う必要があります。したがって、10万円のうち1万円は銀行の取り分になり、利益は9万円に減ります。しかし、この9万円を稼ぐために使った自己資金は50万円ですから、自己資金利益率は18%(=9万円÷50万円)になります。全額自己資金で賄う時より利益率が8%上昇しています。
財務レバレッジ効果は、銀行が決まった金利以上は受け取らないために発生します。借入金は返済が前提なので、契約通りの利息しか受け取れませんが、自己資金は返済される約束がない一方で、残った利益を総取り出来るのです。逆に、金利以上の利益率が発生しないケースでも、金利は払わなければならないため、マイナスのレバレッジ効果が発生することもあります。自己資金はハイリスク・ハイリターンのおカネということです。
税理士稼業をしていると、金利を払うのが勿体ないという経営者とのお付き合いが多くなりますが、儲けの仕組みが出来上がったら、むしろ借入金で事業を拡張して行く方が、結果的に身入りが多くなることは知っておいて損はありません。先ほどの例で言えば、自己資金100万円と借入金100万円を事業に投下すると、20万円利益が出て、利息2万円を支払った後の手残りは18万円になり、自己資金100万円だけで投資した場合より、8万円儲かります。
税務レバレッジ
税務レバレッジは、私の創った言葉で一般用語ではありません。ですが、オーナー社長の手取りに直結する重要な概念ですので、知っておいて損はないと思います。
税務レバレッジとは、節税効果を高めるために、あえて高い税率を選択することをいいます。節税対策の基本は、税率を低くすることと言われますが、私はあえて役員報酬を増額するようにアドバイスをしています。役員報酬を増額すると、所得税率は最大45%まで上昇します。これに10%の住民税率が加算されます。法人税等の実効税率は34%なので、約20%も税率が高くなります。これは、個人と法人で同じ節税対策を実施した場合の効果が、個人の方が20%も大きいということです。また、役員報酬の増額は、法人経費の増加になり、同時に法人税の節税にもなります。一度に2つの税金を節税するのも、税務レバレッジのもう1つの効果です。
勇気を持って選択しよう
レバレッジを掛けるのは、「借入よりも自己資金の方が安心だ」「税率は低い方が税金は安い」という常識の逆を行くことです。常識に従うのは、自分の頭で考える必要がなくてラクです。しかし、レバレッジを掛けた方が、もっとラクに稼げます。結局、経営は正しい知識・情報を得ることと、決断する勇気の問題なのです。
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