【連載 第3回】飲食未経験の僕が3等立地で鰻屋をはじめて14カ月で57店舗・月商1.9億円のチェーンをつくるまで
公開日:2024.05.27
最終更新日:2024.07.19
※以下はビジネスチャンス2024年6月号から抜粋した記事で、内容は掲載時の情報です。
第3回 FC展開はじまる
わずか1年7カ月前、横浜の郊外三等立地に出店した「鰻の成瀬」。一介の鰻店はFC展開すると瞬く間に店舗数を伸ばし、直近では120店舗を突破した。この店舗を作ったのは、著名な外食経営者でもなければ、有力FC本部経営者でもない。本稿では、フランチャイズビジネスインキュベーションの山本昌弘社長が手探りで始めたFC本部経営の道のりを辿り、フランチャイズドリーム実現までの軌跡を追った。
続々と集まる加盟希望者
今回は、創業から半年間で2店舗目を出店し、FC展開を本格化するまでのお話をしたいと思います。前回お伝えしたように、顧問弁護士から「加盟したい」と言われた当初は悩みましたが、FC展開すると決めたからには「失敗させない」と気持ちを切り替え、出店に向けて始動しました。
2店舗目となる埼玉県の上尾店は本部が中心となって物件探しを行い、幸いにも鰻店にぴったりの内装の元和食店が見つかりました。物件が決まったあとは、スタッフの採用から教育、オペレーションの構築など、忙しいオーナーに代わり本部主導でオープンまで進めました。
そんな中、会員制サロンを経営するオーナーから加盟の申し出がありました。成功するかわからないという前提でしたが加盟が決まり、3店舗目となる岩槻店のオープンが決定したのです。さらに、物件探しをする中で不動産屋から「千葉にいい物件がありますよ」と声がかかり、直営店となる千葉店のオープンも決まりました。2店舗目をオープンするまでに、とんとん拍子で4店舗目の出店計画まで進んでいたのでした。
上尾店のオープン直前は、スタッフと共に夜遅くまで開店準備に打ち込みました。SNSやプレスリリースで宣伝をしたものの、どのくらいお客様が来てくださるのか未知の領域だったので、とても緊張しました。そして迎えたオープン当日、開店時間に外へ出てみると既にお客様の列が! お店はあっという間に満席となり、昼の3時間のみの営業でしたが、仕込んでいた鰻を全て売り切ることができました。さらに、この日上尾店に食べに来られた飲食店を経営するオーナーの加盟も決定するなど、上尾店のオープンは順調に運び、売上も横浜店を追い抜いていきました。
その後、3店舗目の岩槻店も無事にオープンを迎えました。岩槻店は東岩槻駅から徒歩2分と立地も良いため期待していたものの、オープン当日はまずまずの売上でした。しかし、しばらく様子を見るも伸びません。「どこでも成功できるビジネスモデルじゃなかったのか?」という不安が頭をよぎりました。
一方で、その後にオープンした直営の千葉店は、住宅街の中にあり近隣の飲食店もあまり繁盛していない様子にもかかわらず、上尾店を上回る売上を記録しました。「これはなんとかしなくては」と岩槻店のオーナーとともに試行錯誤を重ねながら集客に注力した結果、今では地元に愛される店舗となりました。
直営2店舗目となる千葉店のオープン日にも、加盟を希望する飲食店オーナーがご家族で来店され、出店を決めていかれました。飲食店を既に経営している方の加盟は私にとってとても心強く、何より飲食店経営者からも認められるビジネスモデルなんだと、より自信がつきました。
「彼らとなら鰻の成瀬を盛り上げていける」と確信に近いものも感じ始めました。
次回は、FC店を出店し始めてから4カ月で13店舗、5カ月で19店舗、と続々と店舗が増えていく中で迎えた、初めての繁忙期についてお話します。
Profile 山本昌弘
滋賀県生まれ。高校卒業後、イタリアに留学。帰国後、大手英会話スクールを経て、大手フランチャイズ本部に勤務。常に上位の営業成績を残す。解約率を約1割に抑える。前職での実績を糧に2020年に独立し、現在に至る。
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