【ACCEA、ACCEA CAFÉほか】印刷事業からビジネスサポートへ事業拡大(前編)
公開日:2024.10.20
最終更新日:2024.10.23
※以下はビジネスチャンス2024年12月号から抜粋した記事で、内容は取材時の情報です。
各サービスと連携する自社アプリの利用者は16万人を突破
2002年に設立したアクセアは、小ロット印刷に対応したデジタルプリントショップ「ACCEA」で拡大し、現在は全国に100店舗(直営51・FC49)を展開している。2019年以降はビジネスサポートを軸とした業態開発に取り組んでおり、スペースシェアリング事業としてコワーキングスペースの「ACCEA CAFÉ」や「アクセア貸会議室」、フィットネスの「ACCEA FITNESS」と他業態でのFC展開を開始した。近年は、デジタルプリントショップとコワーキングスペースの複合店での出店も加速。名刺やチラシがすぐ刷れる唯一無二のサードプレイスとして注目を集めている。
Profile よしだ・ただし
1967年生まれ、大阪府出身、英知大学文学部英語英文科卒、サイパンにて勤務後現地法人を設立起業するが廃業し日本に帰国、その後キンコーズジャパン株式会社に入社、店長、エリアマネジャー、店舗運営部部長を経て2002年に株式会社アクセアを設立し代表取締役に就任し現在に至る。
第一章 斜陽産業で伸長
印刷業界の最盛期は年代でその市場規模は約9兆円に達したが、インターネットの普及や近年のペーパーレス化に伴い、現在は3兆円程度に縮小している。大量印刷の需要が減少する中で、アクセアは小ロット対応のデジタル印刷でニーズを獲得。さらに、全国に店舗を構えることで短納期・送料無料を実現し、創業以来年連続増収を果たしている。
時間と送料の壁を無くす 店舗展開のメリット
――御社はデジタルプリントショップ「ACCEA」を展開されていますが、ペーパーレス化が叫ばれる今、どのように受注獲得されているのでしょうか。
吉田 当社が手掛けているのは、プリンターを使ったデジタル印刷です。工場で刷る従来の印刷方法とは異なり、版を作る必要がないため、コスト削減と納期短縮が実現できます。ペーパーレスとなり大量印刷がなくなった今、従来の印刷方法ではコストが見合わないこともあり、1枚、1冊から発注できるデジタル印刷にシフトする企業が増えました。
また、ペーパーレス化が進んでも販促物はなくなりません。ネット広告が溢れる中で、記憶に残りやすいアナログ広告は今でも根強く支持されています。当店でもポップやポスター、DMなど販促ツールの受注が伸びています。
――デジタル印刷の中には、WEB注文された印刷物を工場でプリントアウトし発送する「ネット印刷(通販)」もありますが、なぜ御社はコストをかけて店舗展開をしているのですか。
吉田 当社が工場に一本化しないのは、紙の印刷の物流をなくすためです。工場で作ってから発送となると、送料と時間の壁ができてしまいます。仮に、ネット印刷で両面カラーの名刺を頼むと、5営業日ほどの納期と送料が掛かります。その点、店舗受取に対応している当店は、送料が掛かりませんし当日のお渡しも可能です。
また、当店は展示会用のパネルや屋外看板などの制作も手掛けています。大型の展示物を移動させるのはコストと労力が掛かりますが、私たちは東京ビッグサイトなど展示会場の近くにも出店しているので、その店舗を指定して受け取りに行けば、物流コストが発生しません。
――御社は店舗展開することで短納期と送料無料を実現し、競争優位性を保っています。業績の推移を教えてください。
吉田 当社は創業以来22年連続増収です。初期に2回ほど赤字を出したことはありますが、それ以降は15年連続で黒字経営を続けています。今年度の直営、FC合わせたチェーン店売上高は約90億円になる見込みです。
コロナ下は、お取引先様の営業自粛や展示会の中止などの関係もあり、印刷売上がほとんどなくなりました。その打開策として、もともと扱っていたアクリルキーホルダーとパネルの加工技術を応用し、飛沫感染防止のアクリルパーティションを作ることにしました。これが大ヒットし、社会に貢献しながらも売上・利益ともに過去最大で成長しました。
第二章 事業の多角化
印刷事業からスタートした同社だが、2019年以降は「ACCEA CAFÉ」や「アクセア貸会議室」、「ACCEA FITNESS」といったビジネスマンに向けたスペースシェアリング事業やビジネスSNSアプリ「Biz SPOT」も手掛けている。近年は、プリントショップとコワーキングスペースの複合店を積極出店しており、仕事に必要なものがすべて揃う環境を ACCEA ブランド全体で目指している。
印刷の特長を活かす新業態 既存事業とのシナジーも
――御社はコロナ前から事業多角化を進めています。コワーキングスペースやフィットネスなどを展開されていますが、何を軸に業態開発をしているのですか。
吉田 当社は印刷に特化しているわけではなく、ビジネスサポートを軸に事業拡大を進めています。私たちが目指すビジネスサポートとは、当店に来れば全部の仕事ができる状態にすることです。
コワーキングスペースの「ACCEA CAFÉ」は、ACCEAでプリントするときに、その場でデータ修正する作業場がほしいというお客様の要望を受けて開発しました。現在、店舗ある ACCEA CAFÉうち、ほとんどはACCEA併設店です。そこではPC作業はもちろん、名刺もすぐ作れます。「アクセア貸会議室」にも ACCEAが併設されているので、その場で配布資料の印刷が可能です。
――ACCEA CAFÉは他業種への併設も進んでいるようです。
吉田 本屋やホテル、紳士服店などに併設出店しています。近年のペーパーレス化で、本屋も過渡期を迎えています。本を買う場所から楽しむ場所へと進化させる必要があるようです。これまで本屋は立ち読みに課金ができていない状況でした。そこに ACCEA CAFÉを併設してコーヒーを飲みながら試し読みできるようにすると、カフェ利用料として課金できます。さらに、試し読みは長くするほど本の続きが気になるものなので、カフェで読んでそのまま購入されるケースも多々あります。こうして、無課金の状況から2回の課金が狙えることから、本屋とのコラボが進んでいます。
――ホテルはスペース活用で導入されているのでしょうか。
吉田 朝食会場を活用しています。ホテルの朝食はだいたい6〜10時までとなっており、それ以降は使われません。その空き時間に ACCEA CAFÉを営業することでホテル側は課金ができますし、ビジネスマンはホテルのチェックアウト後もそこで仕事ができるようになります。
また、ACCEA CAFÉの展開は当社の知名度向上にも繫がりました。プリントショップの ACCEAを使うのは各企業の発注担当者に限られていましたが、ACCEA CAFÉは多くのビジネスマンにご利用いただけるので当社の顧客層が広がりました。今まで違う印刷会社に頼んでいた方が、カフェから当社のサービスを知って「ACCEAに頼んだ方が早い」と当店に発注してくれるようにもなりました。
AIに代替されない事業 運動や食事に着目
――ACCEA CAFÉやアクセア貸会議室はプリントショップとの親和性が高いですが、ACCEA FITNESSはどのような意図で立ち上げたのですか。
吉田 当社の方向性として、AIがいくら発展してもなくならない事業に重きを置いています。「場所提供」と「食事」、「運動」はAIにはできない要素です。そのためセルフ型ジムを立ち上げ、現在は3店舗を展開しています。アプリ活用による無人化を突き詰めた結果、入会金不要で月額2700円と業界最安レベルの料金を実現しました。
また、AIに代わらない事業として冷凍食品の開発も行っており、現在は冷凍ベジタリアン弁当など種類の商品を ACCEA CAFÉや提携先の企業に卸しています。開発にはかなりこだわっていて、味はもちろんハラル認証も取得しました。
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