【ACCEA、ACCEA CAFÉほか】印刷事業からビジネスサポートへ事業拡大(後編)

公開日:2024.10.20

最終更新日:2024.10.23

※以下はビジネスチャンス2024年12月号から抜粋した記事で、内容は取材時の情報です。

第三章 無人化を推進するシステム会社

 同社は主要事業において必要となるシステムをすべて内製化している。中でも、自社アプリ「Biz SPOT」による入退室管理・自動決済システムは、スペースシェアリング事業の無人化を支えている。しかし、目指すのはシステムによる効率化だけではない。バーチャルとリアルの融合によりこれまでにないサービスを展開していく。

印刷会社からシステム会社へ 各事業を自社アプリで繋ぐ

――利用者の仕事効率化を支えるための取り組みがあれば教えてください。
吉田 当社はプリントショップやコワーキングスペースなど、ビジネスで必要とされるブランドの展開を進めることで利用者のビジネスサポート、ひいてはビジネスのインフラ的存在になりたいと考えています。その中で、利用者の仕事効率化とオーナーの運営効率化を図るため、当社ではシステム開発に注力しています。実は、本社のスタッフの半数がエンジニアで構成されており、POSシステムやWEB入稿システム、アプリに至るまですべて内製化しています。当社は印刷会社と思われがちですが、今はシステム会社になりつつあります。
――2021年にリリースされたアプリ「Biz SPOT」は、どのような意図で開発されたのですか。
吉田 無人化を進めるためです。このアプリには、ビジネスマッチング機能とビジネスSNS機能、ACCEA CAFÉ や ACCEA FITNESSのQR受付決済機能があります。
 コワーキングスペース事業で言うと、他社にはコンシェルジュによるビジネスマッチングを行うところもありますが、当社は無人化にこだわっているため、そのサービスをアプリで提供することにしました。マッチング機能で仕事仲間を探し、メッセージ機能でやり取り、最終的には ACCEA CAFÉでリアル交流することも可能です。
――アプリでバーチャル交流をし、ACCEA CAFÉでリアル交流をする。ACCEA CAFÉの入退室もアプリで完結するようですね。
吉田 チェックイン・チェックアウトはもちろん、店頭のQRコードをアプリで読み取れば自動決済される機能も付いています。アプリの機能は ACCEA FITNESSでも同じようにご利用いただけるため、当社のスペースシェアリング事業は無人運営が基本です。ビジネスマッチングを含む多数の機能に加え、ACCEAの各ブランドで使えるこのアプリは、現時点で16万人に使用されています。

リアルとバーチャルの融合 納期短縮と利便性向上に寄与

――WEB入稿システムはプリントショップ用のシステムでしょうか。
吉田 ACCEAも ACCEA CAFÉと同様に、リアルとバーチャルの融合を進めています。ACCEAでのリアルは店舗です。店舗受取に対応することで、時間と送料の壁を取り払いました。
 一方、データ入稿を含む注文に関しては、場所と時間に囚われないシステムを活用しています。それがWEB入稿システムです。以前は、お客様にExcelで作った見積りを送り、OKが出たら作業指示書を作って印刷、完成したら発送伝票を書いて発送、その後に会計システムに売上入力をしていました。今はそれが全部自動でできるようになっていて、システム上でお客様に入稿してもらったら自動で見積りが出て、OKが出たら作業工程に入ります。作業状況のステータスは逐次お客様に通知され、納品完了後、掛け売りの場合は自動的に会計システムに流れ、請求書が発行される仕様になっています。
 また、ACCEAでは最短の納期を実現出来るようにオーダーの自動振分システムを完備しています。具体的には、担当エリアの店舗が忙しく、受注から3時間経過しても処理されない場合、自動的に近くの店舗へ振り分けられる仕組みになっています。
 このように注文はバーチャル、お渡しはリアルとすることでサービス価値を高めています。

「ACCEA」と「ACCEA CAFÉ」の複合店

第四章 多様な加盟形態

 ネット注文と店頭受取で印刷にかかる時間と費用の削減に成功した ACCEA。受け取り場所となる店舗を増やすことで、そのメリットの最大化を図る。これまではビジネス街の路面店を基本に出店してきたが、コンパクトなスペースで開業できる「アクセアミニ」の新パッケージで短期増店を狙う。

収益性と再現性を考慮 加盟形態を複数用意

―― ACCEAに加盟するメリットを教えてください。
吉田 プリントショップの場合、印刷オーダーのシェアリングを行っているため地方に出店しても、ECサイトやWEB経由で問題なく受注獲得ができます。また、販促にも注力しており、リスティング広告だけで年間2億円、そのほかテレビCMを月間230本流しています。こうした販促強化によって、現在はWEB会員だけで53万人、店頭を含む月間オーダー件数は約10万件以上と、多くのお客様にご利用いただいています。
――プリントショップのFCは珍しいので、どのように標準化されているのか気になります。
吉田 当店のオペレーションはシステムによりだいぶ簡素化されており、チラシやポスター、名刺などプリントアウトが中心の商品でしたら数日で難なく習得できます。しかし、特殊な加工依頼が入ると、特別な知識やスキルが必要となります。そのため、定型のプリントアウトのみに特化した「 ACCEA EXPRESS」という派生業態を作りました。EXPRESSでは急に必要となる名刺やポスターなど、完全データで入ってくる商品を対象としています。複雑な加工を扱わないため、オペレーションは非常に簡単です。
――プリントアウト商品に絞ったことで、超短納期を実現しています。
吉田 また、今後はビルの空中階などに出店する「ACCEA mini(以下:ミニ)」の展開も進めていく予定です。これまで ACCEAはオフィス街の路面店に出店してきたので、初期投資が3000〜5000万円と重く、体力のある企業様しかできませんでした。また、この条件の物件はなかなか出てこないため、現に都内の主要オフィスエリアでも未出店のエリアもあります。そのため、ビルの空中階など小さな箱で出店コストを抑えたパッケージを作りました。ミニの場合、初期投資は従来の3分の1となる見込みです。
――商品展開は従来の ACCEAと同じでしょうか。
吉田 大がかりな機械は置けないので、主な取扱い商品は名刺や封筒、パンフレットやポスター、パネルやラミネートなどになります。小規模でもアクセスの良い場所に店舗を構えておけば、お客様がすぐ受け取りに行けるのでより便利になります。ミニは今年10月に直営とFCがそれぞれオープンしますが、これから積極展開を図り、新たに100店舗出店したいと思っています。

第五章 海外展開に注力

 デジタルプリントの強みは、データさえあれば一定のクオリティの商品を必要数だけ提供できることだ。さらに同社は、店舗を構えることで時間や場所に囚われない印刷サービスを提供してきた。今後は世界規模で印刷の物流をなくすべく、 ACCEAの海外出店に取り組んでいく。

世界中のビジネスに貢献 アジア展開をスタート

――今後の事業展開について教えてください。
吉田 海外展開にも力を入れる予定です。現在はマレーシアの3店舗とシンガポールの1店舗だけですが、来年1月にはマレーシアの4店舗目の出店も決まっています。
 海外進出したのは、顧客層を拡げるためです。当社サービスはビジネスマンをターゲットしていますが、日本の場合、人口1億人に対して労働人口は6700万人ほど。そして、100万人都市にはほぼ出店しました。この先広げていくには、海外出店とアプリの英語対応が不可欠だと考え、今年4月にマレーシアに出店しました。
――コワーキングスペースなど他業態も海外展開される予定ですか。
吉田 プリントショップとコワーキングスペースの両展開で、ビジネススポットとして広げていきたいと考えています。近年は海外進出する日系企業が増えていますが、進出先のローカル企業に印刷を頼むと理想通りの仕上がりにならず、結果的に日本で作って送るケースも多いと聞きます。その点、当店を使えば、世界中どこにいても日本と全く同じクオリティの印刷物を送料なしで当日に受け取れます。こうした需要もあるため、今後はマレーシアに限らずほかの国でも海外出店を進めていく考えです。
――ACCEAが海外にできると、世界規模で印刷の物流がなくなります。
吉田 また、アプリはすでに英語対応をしていますが、ゆくゆくは中国語対応も考えています。こうして多言語に対応していくことで、世界中でビジネスマッチングができる環境を提供していきたいです。

マレーシア店舗

【ACCEA、ACCEA CAFÉほか】印刷事業からビジネスサポートへ事業拡大(前編)

次なる成長を目指す
すべての経営者を応援する
フランチャイズ業界の専門情報誌

フランチャイズ業界唯一の専門情報誌として、毎号さまざまな切り口をもとに新興本部から大手本部までをフォーカス。またFCを自社の新たな経営戦略として位置付け、中長期的な経営を目指す経営層に向け、メガフランチャイジーの情報も提供しています。

記事アクセスランキング
次なる成長を担うすべての起業家を応援する
起業&新規事業の専門情報誌

“起業のヒント” が毎号充実! “ビジネスチャンス” の宝庫です。
すぐにでも役立つ独業・開業・転業・副業サポートの雑誌です。
資金をかけずに始められる新しいビジネスの紹介、FC、経営・会社運営のノウハウなど、多くの経営者からの“起業のヒント”が毎号充実。

定期購読お申し込みはこちら