【ドムドムハンバーガー】業態にこだわらない挑戦でブランド認知を向上
公開日:2024.01.30
最終更新日:2024.01.31
※以下はビジネスチャンス2024年2月号から抜粋した記事で、内容は取材時の情報です。
業績を巻き返し、24年春にFC募集再開へ
「ドムドムハンバーガー」は、1970年に創業した日本で最初のハンバーガーチェーンだ。ダイエー(東京都江東区)が立ち上げ、同社のスーパーに併設出店することで店舗数を増やし、ピークの1990年代には約400店舗を展開していた。しかし、スーパー事業の縮小や相次ぐ競合の参入により、多数が閉店に追い込まれ、2017年時点で約40店舗まで減少した。同年7月、レンブラントホールディングス(神奈川県厚木市)がダイエー子会社のオレンジフードコートからハンバーガー事業を買収。新会社ドムドムフードサービスを設立した。業績回復への道のりとFC再募集の見通しを藤﨑忍社長に聞いた。
青山学院女子短期大学卒業後21歳で結婚。39歳の時に夫が病に倒れ、商業施設「渋谷109」、株式会社ブティックヤマトヤ「MANA」店長に。2011年から東京・新橋に家庭料理の店「そらき」を開店し、翌年には2軒目「SoRa-ki:T」を出店。2017年に再生事業を行う(株)レンブラントインベストメント入社。併せて(株)ドムドムフードサービス出向。2018年8月に(株)ドムドムフードサービス代表取締役社長に就任。2022年6月、(株)神明ホールディングス社外取締役就任。
社長就任時は赤字スタート 競合犇めく中で独自性を模索
-藤﨑社長は入社9か月後の2018年8月に、社長に就任されたと伺いました。当時の状況は。
藤﨑 入社当初、黒字の店舗がほぼない状況でした。商品開発担当として入社したのですが、赤字幅を見てこのままでは企業再生できないと考えました。そこで、役員になることを決意し、何度も断られながらも企業再生への熱意を伝えました。その結果、いきなり社長を任されることになったのです。
-社長に就任されてから、どのようなことに取り組んできましたか。
藤﨑 社内風土の改善と独自性の模索に注力してきました。
従業員との信頼関係を構築するため現場の声に耳を傾けたほか、会議は数字の羅列ではなく話し合いの場にしました。今も全社員が同じ方向に歩めるよう取り組んでいる最中です。
また、現在のファーストフードはマクドナルドさんがけん引していて、約3000店舗を展開しています。一方、私たちは27店舗(2023年11月現在)です。しかし、店舗数を比べても仕方ありません。販売促進費や原価率などで太刀打ちできるわけがありませんから。そこで、私はドムドムらしさ、独自性を探すことにしました。
-独自性を追究するうえで、何をされたのですか。
藤﨑 外に出ることにしました。イベントや街のお祭り、学祭などに出店し、私どもとお客様の関係性を知る機会を作りました。以前は、店舗に来たお客様の感想しか情報を得る機会がありませんでしたが、外に出ることでお客様がドムドムに何を求めているのかを知るきっかけになりました。
また、商品開発にもかなり力を入れています。たとえば、ソフトシェルクラブが丸ごと挟まった「丸ごと!!カニバーガー」や、味噌ピーナッツを使った店舗限定の「味噌ピーチキンバーガー」、「お好み焼きバーガー」など独自路線を突き詰めています。
しかし、ハンバーガーチェーンという業態にはこだわりません。当社は物販も行っており、ブランドアイコンとなっている「どむぞうくん」をデザインしたグッズ販売もしています。ぬいぐるみやトートバッグ、ロゴTシャツなどがあり、EC販売はもちろん、グッズのみのポップアップが全国で開催されるほど人気です。また、BEAMSさんをはじめ各企業様と協業してコラボ商品も発売しています。グッズ販売は店舗の売上に関係ないと思われますが、ブランド認知の機会となり来店へ繋がっています。
-来店前の段階でファンがいるのですね。こうした取り組みの結果、業績はどう変化しましたか。
藤﨑 社長に就任してから3年後となる2021年3月期に黒字化できました。その後も黒字をキープし、利益幅が広がっている状況です。業績回復の大きな要因は、グッズや協業、イベント出店などを通してブランド力を押し上げたこと。今までコンタクトの取れなかったお客様にアプローチできたと考えています。
客とスタッフを笑顔に「思いやり経営」を貫く姿勢
-過去にFC展開をされていて、現在も7店舗がFCです。今後、FC募集再開の見込みはありますか。
藤﨑 2024年春からFC募集を行う考えです。ただ、やみくもに店舗を増やすためのFC募集ではありません。お客様を笑顔にしたいという思いがあり、それに共感してくださるオーナー様と協業したいと考えています。
-手の込んだ商品を販売しているので、オペレーションが複雑そうです。
藤﨑 極めて複雑です。カニバーガーは、冷凍のカニを入水解凍して水気をとり、衣を付けて揚げます。「手作り厚焼きたまごバーガー」の厚焼きたまごは、朝に店舗で焼いています。ですが、高校生の男子アルバイトでも作れる段取りにはなっています。手間は掛かりますが、このような商品を店舗で作ることでお客様が喜ぶのであれば、私たちは作り続けます。
-反対に、ブランドの弱点は何だと思われますか。
藤﨑 恐縮ですが、弱点という捉え方はありません。失敗という概念もありません。弱点や失敗はこれから克服することで、発展途上の一つでしかないと考えています。また、世の中は激しく動くため、今弱点だと思う箇所も明日にはお客様のニーズに合っているかもしれません。そのため弱点と思わず、日々更新していくという考え方です。
とはいえ、弱点だらけだと思いますよ。たとえば、他社のように販管費を持っていないですし。しかし、これは弱点ではなく「違い」です。私は他社との比較ではなく、日々ブランドを更新していくことが重要と考えています。お客様とスタッフを笑顔にすること、満足にすること。これらを当社では「思いやり経営」と呼んでいますが、お客様とスタッフを見続けることを一番に、ブランドを守っていく考えです。
-今後の目標を聞かせてください。
藤﨑 お客様にとってオンリーワンの店舗になりたいです。「このカニバーガーが好き」「古い店舗だけど落ち着く」「スタッフの笑顔を見にくる」など、お客様にとって代えがたい店舗を目指しています。しかし、まだまだ発展途上ですので、お客様とスタッフを見ながら日々更新していきたいです。
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