【ゴンチャ ジャパン】日本上陸10年で176店舗まで拡大(前編)

公開日:2025.02.26

最終更新日:2025.02.26

※以下はビジネスチャンス2025年4月号から抜粋した記事で、内容は取材時の情報です。

年間約3000万人が来店するティーカフェブランド

 台湾発のティーカフェチェーン「Gong cha(以下: ゴンチャ)」が、今年で日本上陸10周年を迎える。ゴンチャは茶に甘さやトッピングを加えるアジアンティーの文化を提唱し、タピオカブームを皮切りに若年女性からの厚い支持を獲得。24年末時点で176店舗を展開している。運営会社のゴンチャ ジャパンは店舗での体験価値向上に注力しており、ストレスフリーで楽しく購入、滞在できるよう独自の仕組みを構築している。同社の角田淳社長に、ブランド拡大への道のりと、ティーカフェ市場におけるゴンチャの立ち位置について聞いた。

ゴンチャ ジャパン (東京都港区) 角田 淳社長(53)

Profile つのだ・じゅん
1971年生まれ。東京生まれ、ブラジル・神奈川育ち。アメリカの大学を卒業後、大手自動車メーカーに勤務。後に独立し、約10年に亘り、スポーツや音楽イベントの企画運営・マーケティングに携わる。2010年日本サブウェイ合同会社に入社。マーケティング・経営企画等を経て、2016年同社社長に就任。2021年10月、株式会社ゴンチャ ジャパン代表取締役社長に就任。セルフオーダーKIOSKやモバイルオーダー導入でデジタルシフトへの注力、売上に繋がる顧客&従業員ロイヤルティ(推奨度)に着目したプロジェクト『Happiness Project』の発足など、おしゃべり歓迎のティーカフェブランドとして年間来客数3000万人超えの成長に導く。

 

タピオカ屋からお茶のゴンチャへ

 06年に台湾で創業した「ゴンチャ」は、09年からグローバル展開に乗り出し、現在はアジアやヨーロッパ、北米など、世界約20カ国で2000店舗以上を展開している。日本上陸は15年で、間もなく到来したタピオカブームに押される形で急成長を遂げた。しかし、20年以降は、コロナ禍とタピオカブーム終焉の二重苦で、一時停滞した。だがゴンチャのブランドコンセプトは、タピオカではなくティーカフェだ。同社は「お茶のゴンチャ」を広めるべく、さまざまな仕掛け作りに取り組む。

消費者の体験価値向上に注力モデル月商は750万円に上昇

──ゴンチャは今年で10周年を迎えます。当初はタピオカブームも相まって急拡大した印象ですが、現状はいかがでしょうか。
角田 昨年は150店舗からスタートし、1年間で26店舗の純増でした。そのため、24年末時点では176店舗となりました。
──角田社長が着任されたのは21年10月。この時期は、タピオカブームの終焉とコロナ到来が重なったタイミングです。
角田 タピオカブームに押される形で上がった店舗売上は、19年がピークでした。そこから、ブームが終わって少し売上が落ち着いてきたところにコロナがきて、一気に加速しました。そのため、着任したときの社内の空気感は「この先、大丈夫なんだろうか?」という不安が分かりやすく出ていましたね。
 それでも社内にはプロが揃っていたので、打てる手はすべて打っていましたし、先を見据えた準備もしていました。しかし、世の中の見方としては21年のゴンチャは相当終わった感があったと思います。
──アフターコロナとなった今は、売上も回復したのでしょうか。
角田 今はFCモデルでも月商750万円まで上がっています。売上が上がった要因は、いくつかあります。1つは、我々がニュースを届けるサイクルが顧客層の活動サイクルに合っていること。季節に合った新商品などタイミングよくニュースが届くので、消費者が「ゴンチャに行こうかな」という気になるのだと思います。
 もう1つは、店舗でのお客様体験です。茶の種類やトッピングを選べる楽しさ、ストレスなく購入できること、お渡しする際の接客、旬のフルーツに合わせた季節限定商品など、消費者目線で見たときの体験価値の向上に注力してきました。 
 また、僕が社長に就任してからお客様推奨度と従業員推奨度をとっているのですが、ここ3年でその両方が良化しています。つまり、マーケティングとオペレーションの両方がかみ合っている状況となったため、結果として売上が上がっているのだと思います。

 

 

茶葉と鮮度にこだわり 自分好みのアレンジも可能

──タピオカのイメージが強い御社ですが、真のコンセプトはティーカフェです。
角田 僕が着任した際に、初代代表の葛目良輔氏にゴンチャ上陸の経緯やブランドにかける想いについて聞きに行ったことがあります。そこで彼は、「タピオカ屋としてゴンチャを持ってきたというよりは、ティーカフェとして広げていきたい」とおっしゃっていました。
 そのため上陸当初から、ティーカフェブランドとしての店づくりやオペレーション構築に取り組んできたそうです。そこに、たまたまタピオカブームがやってきて一気に注目されるようになりましたが、決してタピオカ屋として持ってきたわけではありません。
──確かに、ゴンチャのタピオカはデフォルトではなく、トッピングの一種として提供されています。ベースとなるティーには、どのようなこだわりを持っていますか。
角田 まず、素材に関しては厳選した茶葉を使用しています。中でも、阿里山ウーロンティーは一般的な茶葉の値段の3倍に相当する高級茶葉です。これは、台湾の創業者のこだわりで、使用する茶葉やお茶の淹れ方などを含めて当社が引き継ぎました。
──品質管理はどうしていますか。
角田 お茶の品質は変わりやすく、我々が基準とする美味しさを保てるのが現状で4時間くらいです。そのため、現在は抽出してから4時間経過したら廃棄するルールになっています。
──そうなると、結構なロスが発生しそうです。
角田 お茶の種類によっては少しのロスが発生しますが、そこは抽出の量を調整してロスのコントロールをしています。そのため、一般的な飲食店と比較するとロス率は相当少なく、数%にも及びません。ですが、今後はお茶の保存方法を変えるなどして、より長く美味しい状態を保てるように進化させていきたいです。
──素材と鮮度にこだわるティーをベースに、甘さや氷の量、トッピングを選んでいくカスタマイズ式がゴンチャの特徴です。
角田 トッピングは、アロエ・ミルクフォーム・ナタデココ・パール(タピオカ)の定番4種類に加え、季節限定が1種類となっており、お客様の7割がオーダーされます。ベースのティー5種類にカスタマイズを加えると、その組み合わせは約1万通りに上ります。
 また、新商品は月に1回程度で出しており、昨年12月はあまおう和紅茶とあまおうⓇゼリーを使ったデザートドリンクを販売しました。そのほか、ハロウィンに合わせたアップル&ブラッドオレンジや、新茶の出5月下旬には一番摘み抹茶ミルクティーなどを提供しています。
──兼ねてより一番人気のトッピングであるタピオカは、他社とどう違うのですか。
角田 当店のパールはモチモチ感を出すために、茹で・蒸らしの工程を踏んでいます。他社のことはよく分かりませんが、それなりのボリュームがないと調理は難しいので冷凍を採用しているところが多いかもしれません。手前味噌ですけど、ゴンチャのタピオカは他社と比較して美味しいとの声はいただきますね。
──以前はコーヒーも提供していましたが、現在は取扱店が減っているようです。
角田 24年4頃までは全店でコーヒーを提供していましたが、現在は基本やっていないです。メニューを増やすことは簡単ですが、オペレーション効率やお客様視点での選びやすさでみたときに、ニーズのある商品にフォーカスした方がよいと考えました。そのためコーヒーに限らず、お客様のニーズが少ないようであれば取扱いを止めるなど、メニューの改廃は常にしています。
──一方で、昨年からコンビニへの卸も手掛けています。
角田 24年7月2日から全国のセブン-イレブンさんで「貢茶黒糖烏龍ミルクティー」と「貢茶阿里山烏龍ピーチティーエード」の販売を行っています。
 リテールは着任当初からやりたくて、各社にお声掛けしていました。何が狙いだったかというと、「お茶のゴンチャ」という認識を広げることです。「ゴンチャはタピオカ屋」というイメージがずっとありました。もちろんタピオカもありますが、お茶のゴンチャを普及させるために全国のリテールでティーを販売する機会を探していました。
 結果、セブンさんと最強タッグを組めることになりました。我々のお店は47都道府県すべてにないので、セブンさんを通して全国でゴンチャの味を楽しんでいただける状況が今まさに実現できています。
──そのペットボトル飲料の販売実績は。
角田 販売4カ月で1800万本を販売しました。リテール販売はずっとやりたいと思っていましたが、コンビニは棚取りが結構厳しいので、やったはいいけどあっという間に終売になったらどうしようという不安もありました。しかし、販売当初は3カ月分が3週間で売れるなど、思った以上に好評をいただきました。黒糖烏龍ミルクティーは、当面販売できそうです。

リテール販売を開始

【ゴンチャ ジャパン】日本上陸10年で176店舗まで拡大(後編)

 

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