【ハードオフコーポレーション】リユース需要は世界共通
公開日:2024.01.10
最終更新日:2024.01.10
※以下はビジネスチャンス2024年2月号から抜粋した記事で、内容は取材時の情報です。
日本式の買取・再販が海外で人気
総合リユース大手のハードオフコーポレーションは、「ハードオフ」や「オフハウス」、「ホビーオフ」などの買取販売店を6ブランド展開している。SDGsやサステナブルの考えが世間に浸透したことで、2023年3月期の売上高は前期比10.3%増の270億円と好調だった。国内店舗数は直営419店、FC528店の947店舗(2023年月時点)。一方、海外事業は2016年から開始し、現在はアメリカ、台湾、カンボジア、タイに14店舗を展開している。
1980年生まれ。新潟県新発田市出身。2007年株式会社ハードオフコーポレーションに入社。2019年代表取締役社長に就任(現職)。
海外展開できるサービスだと確信 日本人に馴染みのある地域で展開
―御社はアメリカ、台湾、カンボジア、タイのか国に出店されています。海外進出を決めたきっかけは何だったのですか。
山本 当社は1993年のハードオフ1号店「新潟紫竹山店」の出店から全国に拡大し、2014年に最後の県である沖縄に出店を果たしました。新店オープンの際は私も店舗に行くのですが、2016年の「はにんす宜野湾店」のオープン日は印象的でした。開店前にできた200〜300人の行列のうち、半分近くがアメリカ人だったのです。その後も、アメリカ人の旦那さんが奥さんや子どもを連れて楽しく買い物している様子や、不要品を売りに来る姿を目にしました。それを見て、当社のサービスは日本だけのものじゃない、アメリカや世界中どこでも出店できるのではないかと考え始めました。
―2016年にカンボジア号1店をオープン、2017年に米国ハワイ州号1店を出店されています。
山本 同時期に準備をしていましたが、工事の遅れでハワイは想定より遅れてのオープンとなりました。
現在、カンボジアに4店とタイに2店を出店していますが、こちらは当社の加盟店であるありがとうサービス(愛媛県今治市)さんによる運営です。カンボジアとタイの店舗は販売店となり、買取は行いません。これまで国内で売れない商品は業者を通じて海外ルートに流していましたが、ありがとうサービスさんはそこを自社で回すため海外にチャレンジされました。
―ハワイはどのような経緯で出店されたのですか。
山本 ハワイでリユース業を営んでいる方にお会いしたとき、アメリカのリユース市況などを教えてもらった経緯がありました。その人と協力しながら発展させたいという思いで出店しました。1号店は直営で、現在の2号店はその人が運営しています。
ハワイは日系文化があり、親しみやすい場所です。また、島なのでモノが滞留しているイメージがありました。極端な喩えかもしれませんが、新潟の佐渡島の店舗は島ながら買取もよく来ますし、販売実績も良好です。島は毎日のようにフェリーでモノが届けられますが、出ていかずにストックしていくのです。ハワイも一緒ではないかと考えたところ、実際にモノが眠っている状態でした。
―その後、カリフォルニアにも出店されています。
山本 ハワイは人口や商品が限られるので、出店しても2〜3店舗が限界です。そのためアメリカ本土への進出を決め、アジア系や日系が多いカリフォルニアに出店しました。
―タイと台湾は「HARDOFF」ですが、アメリカとカンボジアは「ECOTOWN」という屋号ですね。
山本 現地の方にヒアリングをした結果、「オフ」という言葉がブランドイメージには良くないことが分かりました。ネガティブなイメージがあるのでしょうね。そのため、アメリカ人の意見を取り入れて「ECOTOWN」に屋号を変更しました。
スタッフの規律性の違いに苦悩 3割は現地流にカスタマイズ
―スタッフのマネジメントで苦労された点はありますか。
山本 現地流と日本流の割合です。どこまで現地の文化を取り入れて、どこまで私たちの大事にしているDNAを残すのか。アメリカに初出店した際は、アメリカの文化を尊重したマネジメントをしていたのですが、なかなか上手くいきませんでした。営業時間にずっとスマホをいじっていたり、ガムを噛んでいたり、カウンターに寄りかかっていたり、規律がありませんでした。それは違うと思い、朝礼を導入して毎朝唱和をすることにしました。古臭い文化に聞こえるかもしれませんが、朝礼や唱和は規律性を生みます。そこからは、だいぶ改善されました。
今では、日本の文化や私たちの大事にしている考えを7、現地の文化に合わせてカスタマイズしたことが3の割合でマネジメントしています。特に、私たちは掃除と挨拶にこだわりがあるので、そこは海外でも基準を守って実施しています。
―業績の変化を教えてください。
山本 台湾は最初から好調で、今でも成長傾向にあります。現在は店舗展開ですが、出店拡大するフェーズに入りました。
アメリカは店舗によって収益のばらつきがあります。収益性が高いのは小型店舗です。小型店舗は電化製品やアパレルと商品を狭めて専門店化できるため、スタッフの定着率が上がります。アメリカ人は楽器に詳しかったり、アパレルに精通しているなどプロ意識を持った人が多く、そういった人たちに長く働いてもらった方がビジネスとしては良いと思っています。
また、アメリカは日本ほど治安が良くないので、売り場面積を大きくすると万引きが増加する可能性があります。そのため、今後は専門店での展開を進めていく予定です。現在はハードオフ・オフハウス・ホビーオフなどをひっくるめた「ECOTOWN」で出店していますが、今後はハードオフに近い「ECOTEK」、オフハウスにあたる「ECOTOWN」、ホビーオフにあたる「ECOTOYS」に出店業態を分化する予定です。
―FC展開の予定はありますか。
山本 検討はしていきたいと思っています。FCは成功の横展開なので、まずは直営で成功することが第一です。台湾はFCを始めても良いと思っていますが、直営で5〜6店舗を運営する必要があると思います。どの店舗でも収益性を確認できるようになったら、スピード感をもって広げるためにもFCは必要だと考えています。
―今後の展開を教えてください。
山本 海外はまだ店舗なので大きなことは言えませんが、日本国内で2000店舗、海外で1000店舗展開をグループの長期ビジョンとしています。当面の間、海外は台湾で100店舗、アメリカで100店舗が目標です。それ以外では東南アジアやヨーロッパ、オーストラリアなど治安の良い地域で展開を進めたいと思います。
SDGsの世の中で、リユース不要の国などありません。日本式リユースを広げてゆくのが世界のためなら、着実に出店拡大を進めていきます。ただ闇雲に広げるのではなく、1店舗ずつ収益性を高めながら広げていきたいです。
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