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【ひいらぎホールディングス】グループで232店を有する食のプラットフォーマー(中編)

公開日:2024.10.20

最終更新日:2024.10.21

※以下はビジネスチャンス2024年12月号から抜粋した記事で、内容は取材時の情報です。

FC運営手がけるイートスタイルで131店舗を出店 今期売上は初の100億円突破を視野

 ひいらぎホールディングスには、現在ポポラマーマを除いて4社の事業会社が存在する。その中でも主となるのが、フランチャイジーとして活動するイートスタイルだ。同社の24年2月期の売上高は93.8億円となっており、ホールディングス全体の88%を占める。今後もFCブランドだけで年間新規出店15店舗を目安にし、それ以外にもイレギュラーで発生する事業譲渡案件も引き継ぎ増店を重ねていくという。圧倒的な出店力を持つ同社。しかしFC開始当初は、辛酸を舐めるところからのスタートだったという。

旅行業から飲食業へ転身 半年でいきなり3店舗を出店

――柊崎社長がイートスタイルを設立したのは2002年ですが、それ以前は飲食とは異なる事業をされていたようですね。
柊崎 以前は自身で旅行会社を経営していたのですが、次の事業の柱を作りたいと思い、既存事業は事業パートナーである友人に任せ、関心のある食の事業を考えました。当然最初は飲食の経験もないので、ブランドやノウハウを上手く使わせていただけるFCを選択しました。
その中で、サーティワンアイスクリームが持つブランドイメージと専門性に魅力を感じ、加盟しました。当初から九州一円での多店舗展開を考えていたため、本社のある宮崎県小林市から最も遠方にある北九州に1号店をオープンし、半年で合わせて3店舗を出店しました。
――いきなり3店舗とは、かなり勢いがありますね。
柊崎 でも出店したから伸びたわけではありません。むしろ当時は物件選定が甘く、人材も不足しており、思うように運営できませんでした。その結果、オープンした3店舗のうち2店舗が赤字となり、1店舗は閉店、もう1店舗は譲渡することになったのです。FCだからといって成功が約束されたものはないし、立地や人材が上手くいかないと難しい。
――それでもフランチャイジーを続けた。
柊崎 普通はそれで諦めるのですが、なぜそこからチャレンジできたかというと、プラスアルファで本部さんとの信頼関係があったからです。我々と経営層とはコミュニケーションが取れていたので、数字だけではないところも理解し合っていました。ですから今後もまだ頑張っていきたいということで再度出発できた。その後鳥栖市や宮崎市などで出店をしていき、その頃から上手くいきだしたのです。
 通常、FCというのは最初が肝心で、最初が上手くいかないと次も上手くいかない。でも僕の場合は逆で、最初に失敗して学んだ。やっぱり最初失敗するというのはいいですよね(笑)。上手く当たって、そこから拡がっていったというのでは全くありません。
 今ではサーティワンアイスクリームは当社の基幹ブランドとなっており、最近は新規出店のほかオーナー交代による譲受の案件も進め、同ブランドで44店を運営しています。またチェーン業績も好調で、既存店の売上高は今年9月時点で37カ月連続前年越えを継続できています。

サーティワンアイスクリーム「宮崎大島店」

イートスタイルは、設立4年後の2006年に10店舗を達成。フランチャイジーとして拡大路線に入り始めた。そして、その後の拡大を見た際に見落とせないのが、「自社業態」と「商業施設」といった2つのキーワードである。両者を上手くリンクさせることで、結果的に会社規模と店舗規模の両軸で成長軌道に乗った。同社にとって、一番重要な時期でもある。

SC出店が約7割 人材の交流機会も増加

――御社はFC加盟と並行して、自社業態での展開にも積極的です。
柊崎 自社ブランドでの出店を始めたのは会社設立から7年目くらいだったと思います。特に自社ブランドとFCブランドで業種を棲み分けている訳ではなく、自然にできたものを出店してきただけです。
――しかし、現在FC出店するブランドのおよそ7割がSC立地です。FC出店、自社業態出店の双方でSCに入れるフォーマットを作っているのでは。
柊崎 もちろん、いい物件をいただいた時に、FCとしてそこに合致する業態がなければ、自社としてそこに出店できる業態を作ろうというのはあります。当社の特徴として、1つの商業施設に複数出店している点が挙げられます。なぜそうしているかというと、人材の管理がしやすいからです。同じモールにいる社員同士の交流も図れますし、店舗間の人材の流動性も高められる。
 また出店面でいうと、たとえばフードコートの物件が出た時に、1つのブランドだけ加盟していたら、もうそのエリアで出店できないというケースも出てくる。しかしいくつものFCに加盟をしていれば、他の業態で出れるかもしれませんし、自社業態かもしれない。ですからFCであったり自社業態であったり、あんまりそこにこだわりはない。1つのモールで複数出店することに意味があるのです。

スタッフ間の交流も活発

 柊崎氏は現在、加盟するサーティワンアイスクリームとサンクゼールのオーナー会の会長も務めており、本部との情報共有も密に行っている。これは長年、二人三脚でチェーンを伸ばしてきた関係性もあってのことだが、まさにこうした関係性を築ける本部であるかどうか。柊崎氏がFCブランドを選定する際のポイントだ。

「いい時も悪い時もぶれずに」 信頼関係のもとに取り組む

――出店を重ねていく中で、色んなFC本部から「加盟して欲しい」という要望も受けるかと思います。その中で、どのような選定基準を持たれていますか。
柊崎 先ほど申し上げたポポラマーマやサーティワンアイスクリームもそうですが、やっぱり人だと思いますよ。信頼関係。厳しい時でも一緒になるという。結局長年やっていくと、いい時も悪い時も必ずあるじゃないですか。そういう時にぶれずにやっていけるというのは、本部の経営陣含めてコミュニケーションが取れて信頼関係がないと続きません。
 2013年に加盟したサンクゼールは、ジャム作りを原点に農場を設立し、ぶどう栽培やワイン醸造を行いながら自社レストランや直売店を運営。生産から販売まで一貫して行う6次産業の先駆けでした。最初はご紹介で久世良三社長(現会長)やファミリーとお会いしたのですが、本当に素晴らしい方たちで意気投合したところからスタートしています。
 先方にとっても外部との取引は当社が初めてだったようで、当時は「サンクゼール」ブランドだけで、「久世福商店」は1店舗もなかった。そのような中で当社は、「久世福商店」ブランド最初のパートナーFC加盟店として、九州及び中国地方で出店することとなりました。
 ただ加盟した最初の1年は本当にきつかった。上手くいかなくて、今みたいな売上も取れていなくて。でもそういった時でも本部と一緒にコミュニケーションを取り、正直に色んなことを話しました。その上で現在のパートナーFCの形が構築されていき、ブランドがどんどん広がっていき、株式も公開され、今では全国で150店舗以上を展開されている。
 当社も現在は九州全域のみならず、関東以西にも出店を進めています。サンクゼールは本当にいい業態に育っています。本当に真面目にやられている方々なので、僕はどちらかというとそういう方々と一緒に事業をしていきたい。
――ブランドが持つ強さや収益性ももちろん大事だが、本部の姿勢の方がさらに大事だと。
柊崎 過去に出店まで決まっていたブランドがあり、最終的にトップ面談を申し込んでお話した結果、お断りをした企業もありました。そういう意味で本部やトップの理念はすごく大事にしています。よく、「何かいいFCはありませんか」と聞かれることもありますが、そういうのは絶対ないです。色んな事をやっている中で良くなったことはありますけど、そういう観点で事業を探しても、上手くいかない気がします。
 実際、FLがどうとか、利益がどうとか、そういったところを表に出して上手くいっているブランドはあまり聞いたことがないですね。やっぱり信頼関係のもとに取り組んで、「意外と目立たないけどあのブランドすごい」というブランドの方が、みんなしっかり事業ができていると思います。

本部と二人三脚で店舗を拡大

【ひいらぎホールディングス】グループで232店を有する食のプラットフォーマー(前編)

【ひいらぎホールディングス】グループで232店を有する食のプラットフォーマー(後編)

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