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【ひいらぎホールディングス】グループで232店を有する食のプラットフォーマー(後編)

公開日:2024.10.20

最終更新日:2024.10.21

※以下はビジネスチャンス2024年12月号から抜粋した記事で、内容は取材時の情報です。

 グループで運営する店舗も200店舗を突破し、出店面ではさらにドライブがかかっていく同社。今後の出店戦略は、従来の九州エリアにおけるドミナント出店にプラスして、関東圏での本格出店の二軸体制になっていく。今後は既存エリアでの効率性のさらなる追求と、新天地での店舗展開の両立が求められていく。

サイト経由の求人応募率は10%超 多ブランド展開が多様な選択肢に

――今後の店舗展開の計画は。
柊崎 既存エリアについてはある程度ドミナント出店ができているので、今はエリアを広げることを考えています。中でも関東というのは特に市場が大きいので、当面は注力したいと思っています。
――既存の九州エリアと新規の関東圏と、二軸での出店戦略が求められる。
柊崎 当社は色んな業態があるので、九州でもまだまだ出店余地はあると思っています。また今後は、当社の強みである商業施設の出店についてもある程度分散していこうと考えています。
――そうなると、従来強みとしていた人材の配置や教育面でのメリットが薄まってしまうのでは。
柊崎 よく皆さん、「人がいない、人がいない」と言いますが、当社は比較的充足できています。応募される方は当社の専用Webページから入って来られるのですが、我々はそこから応募に結び付く割合が非常に高い。なぜかというと、ブランドや店舗が多くあるので、働く選択肢が多くなり、応募する側も応募しやすいからです。通常、このようなサイトを経由して応募に繋がる割合は3%と聞いていますが、当社は10%以上となっています。
 また採用後の教育についても、現在はそれぞれのブランドの中でオペレーションレベルが高い状態になっています。現在、イートスタイル単体の社員数は274名、準社員・パート・アルバイトでいうと1553名が在籍していますが、アシスタントからマネージャーになってその業態の部長になるといったステップもしっかりできています。
 もちろん、その店舗で頑張りたいという人もいるし、ステップを踏んでいきたいという人もいる。ですからその人に合ったプランに対して、コミュニケーションを取りながらチャンスや機会も与え、働いている人にとっていい会社にしたい。
 これからの事業の競争力は人。しっかりと人材を抱えられる会社です。私としても自社の雰囲気や伝統を大事にしていきながら、着実に会社を成長させていきたい。
――九州エリアでのドミナント出店も継続していく。
柊崎 物件やエリアありきで出店をしていくというフランチャイズというのは、たとえその業態が魅力的でもやりません。あくまでも出店がしっかりと自社の裁量のもとにできるかという部分が大事。エリア権を取るとか押さえるとか、そういう問題じゃない。そういう本部があったら、それはNOですよ。そういうことではなくて、当社は「1店1店の出店になりますけど、この地域は任せてくださいね」といった、お互いの了解のもとに行っています。たとえそれが明文化されていなくてもいいのです。
 実際、以前にお断りしたFCブランドがあるのですが、そのブランドはすごく勢いがあって店舗も売れていた。ただそういうブランドだと一斉に色んなFC店が出そうとしてしまい、こちらでコントロールができない。当社の場合、たとえば宮崎や鹿児島など、ある程度エリアを持って出店していかなければ人材や事業部といった組織も作れないので、そこが見込めない展開の仕方となれば難しいです。

競争力は人材。写真は「ひいらぎホールディングス大運動会」

 

 メガフランチャイジーとして活動する柊崎氏には、もう1つの顔がある。地元宮崎県小林市のまちづくりを推進する小林まちづくりの社長としての顔だ。2014年に設立した同社では、地元の公的施設の指定管理事業やホテルの運営、シャッター商店街解消のためテナント誘致など、同市における観光振興とまちづくりなど幅広く手掛ける。そこには地方企業ならではの同社の考え方があった。

シャッター商店街を再生 地元小林市の活性化に寄与

――柊崎会長は、ホールディングスの代表を務める傍ら、小林まちづくりの発起人としても活動されています。
柊崎 2014年に設立した同社は、地元の経営者や金融機関、市など約40名が出資者となり、運営しています。みんな地元の為にという形で協力いただいており、社長の私が無報酬なのは当然ですが、出資者の方々への利益は配当ではなく、まちに再投資するということで理解いただいており、応援団として協力いただいています。今の小林市の状況に危機感を抱いた方々が賛同して、この会社ができました。今まで自分が事業を通じて培ってきたもの、具体的には色々な店舗展開をする中で得たノウハウを活かせるのではないかと思ったのです。
――具体的にはどのような活動をしているのですか。
柊崎 以前、小林市中心部にあったスーパーが閉店し、そこがシャッター商店街になってしまいました。そこで我々がそこを再開発し、「TENAMUビル」という複合ビルとして新しく建設しました。現在は1階にスーパー、2階に小林商工会議所と事務所系のテナント、3〜5階をマンションとして運営しています。
 また新しく小林駅に「KITTO小林」という地域・観光交流センターができたのですが、そこを市から指定管理を受けて運営しています。ほかにもコロナ禍でクローズしたホテルを買い取りリニューアルオープンしたほか、日本初の国立公園であるえびの高原内にある「えびの高原ホテル」の指定管理を県から引き受けています。
――近年は地方創生の一環としてまちづくりを掲げる団体が増えていますね。
柊崎 いわゆるDMO(観光地域づくり法人)で色んなまちづくり会社ができていますが、その中でも小林まちづくりはすごく珍しい存在として県外から視察に来られる方も多く、成功事例として認知していただいています。なぜなら、このような街づくりの場合、ものすごくお金をかけてやっているのにも関わらず、なかなか中身が伴わない事例も多い。過大な投資によって苦戦している再開発の事例は多いですが、我々は身の丈に合った事業計画を作り、高い収益性を実現しています。
 TENAMUビルの場合、当初70%の稼働率で事業計画を立てていましたが、実際には稼働率は2019年の開業以来100%を維持しています。また、取得したホテルも稼働率60%が損益分岐点でしたが、客室の改装や人材育成を進め、直近では約85%の稼働率で推移しています。
――事業家として培った経営力を存分に活かせる。
柊崎 色んなことをやっても、結局ペイできなければ公金を入れなければならない。ですから会社として、最初から自走することが大事なのです。もちろん、地元の為に必要とされる会社でないといけません。ただ収益性がないと会社が続かないし、ちゃんとしたサービスも提供できません。ですから公益性と収益性のバランスは大事。
――メガフランチャイジーとして、地域にも貢献していく。
柊崎 地域貢献すると口で言うのは容易いですが、自分だけではできません。賛同してくれる協力者がいてこそです。小林市も理想を言えば人口を増やしたいのですが、なかなか難しい。でも減るにしてもその流れを穏やかにすることはできると思っています。そのためには一度出て行った若い人たちが地元に帰ってきたいと思うような街にしないといけません。ですから今後も市と協力しながら一緒にイベントなどを手掛け、盛り上げていきたいと思っています。

(上)複合ビル「TENAMUビル」(下)地域・観光交流センター「KITTO小林」

【ひいらぎホールディングス】グループで232店を有する食のプラットフォーマー(前編)

【ひいらぎホールディングス】グループで232店を有する食のプラットフォーマー(中編)

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