【ほっかほっか亭】「持ち帰り弁当」FC中心に全国873店舗運営（前編）

3段階の加盟方式でオーナーの経営リスクを軽減

　1976年に第一号店がスタートし「持ち帰り弁当」ビジネスを開拓した「ほっかほっか亭」。同ブランドは紆余曲折を経て2021年よりプライム上場企業のハークスレイ（大阪市北区）の子会社ほっかほっか亭総本部（同）として再スタートを切った。店舗数は6月時点で873店舗。コロナ禍ではイベント時の需要が減少したものの、総じて業績は堅調に推移している。2021年9月に就任した岩嵜智彦社長は新体制の下、更なる成長戦略を描いている。

ほっかほっか亭 （ほっかほっか亭総本部: 大阪市北区） 岩嵜 智彦 社長（45）

PROFILE いわさき・ともひこ
1978年5月21日生まれ、滋賀県長浜市出身。大阪産業大学卒業後、2001年4月、ハークスレイ入社、2016年7月、同社西日本統括本部近畿直営統括部部長兼九州統括本部九州統括部部長、2020年4月同社執行役員営業統括本部副本部長、2021年4月、同社常務執行役員営業統括本部副部長兼ゼネラルマネージャー、2021年9月、ほっかほっか亭総本部代表取締役社長（現在）。

2年前に会社分割、現体制に 今期売上10％増目指す

――ハークスレイの2023年3月期決算資料によれば、「持ち帰り弁当事業」セグメントの売上高は167億9900万円で、多くが「ほっかほっか亭総本部」での数字です。売上が堅調に伸びていく一方、営業利益は前年度と比べて低下しています。
岩嵜　主な減益要因は、2年前に「ほっかほっか亭総本部」を会社分割し、その分の管理費一式等が上乗せされたこと。また、コロナによる各種大型イベントの縮小により、ケータリングや仕出し事業の復活が遅れたことなどです。
――コロナ禍では、外食ビジネスはダメージを受けましたが、テイクアウトビジネスは堅調だったと言われています。
岩嵜　「ほっかほっか亭」は、店舗当たりの売上高のうち約2割がイベントなどの大量注文です。コロナ禍では、イベントがなくなってその分ダメージがありました。今期に入ってからは、イベントが復活してそれがプラスになっています。

定番商品の「のり弁当」は税込400円

――イベント需要は、今期も2割ぐらいを見込んでいますか。
岩嵜　今期はもう少し上がると思います。コロナ禍において、個人のお弁当屋さんや仕出し屋さんが廃業されるケースが非常に増えました。1会場で1000食、2000食という注文を、安心・安全・衛生的に供給するとなると、やはりドミナント店舗戦略をとっているチェーンの方が、安心感もありますし、各店から安定した商品が供給できるという当社の強みが生きてくる。
――イベント時でも、店舗で直接注文を受けて対応するのですか。
岩嵜　約5年前に、総本部内に外販チームを設置して、そこで受注する仕組みにしました。お弁当を注文していただける方は、時間に制約がある忙しい方が多く、早朝もしくは昼時、仕事後になりますので、店舗の営業時になかなか落ち着いて注文を受けられない。そこを外販チームが一手にコーディネートして受注します。弁当は、例えば競技場などがある一番近い店舗に、直営店、FC店関わらず製造を依頼しています。
――FC店をメインに展開していますが御社の収益構造は。
岩嵜　売り上げのベースは食材を卸す部分がベースです。ロイヤリティは固定ですので、むしろそこはそれほど収益にはならない。

エネルギーコストにも配慮した新しい店舗デザイン

――第1四半期は、既存店が前年比7％程のプラスです。今期は年間10％増を目標としています。
岩嵜　外販チームの補強と、商品戦略に関しては、値上げを極力しないことを心がけています。商品を磨き上げ、リニューアルするとともに、適正な売価、原価に設定していく。もう一つが団塊ジュニア世代をターゲットにした商品投入です。実はその世代の方が一番「ほっかほっか亭」を利用されている。こうした方のために健康志向、高タンパクな商品などをメニューに加えていこうと思ってます。
――重点施策の中で、モバイルオーダーやデリバリーサービスの強化も打ち出している。
岩嵜　モバイルオーダーは当社が最も進めなければならないサービスだと思っています。おかげさまで、46年間チェーン展開していますが、今までは温かいお弁当を提供するために、お客様に「待っていただく」ビジネスモデルでした。しかしここ数年、コンビニの台頭や、スーパーの惣菜拡充などと競合する中、「待たずに作りたてのお弁当を提供する」というところに力を入れていかないといけない。今年は「つくりたてを、より速く」を全社共通でテーマに挙げています。そのためにはモバイルオーダーを積極的に活用してもらえるよう力を入れていきたい。

【ほっかほっか亭】「持ち帰り弁当」FC中心に全国873店舗運営（後編）