【K-ブランドオフ】海外に販路を求め香港と台湾で買取販売店を展開

公開日:2024.01.10

最終更新日:2024.01.10

※以下はビジネスチャンス2024年2月号から抜粋した記事で、内容は取材時の情報です。

成功のカギは現地化、国に合わせた人事制度へ

 コメ兵ホールディングスグループのKブランドオフは、買取販売店「BRANDOFF(ブランドオフ)」を国内外で店舗(日本直営 : 13店、FC : 23店、香港 : 9店、台湾 : 4店)展開している。同社の国内FC店は買取専門店として展開しているが、海外店舗の香港店舗、台湾店舗はすべて直営で、買取と販売両方を行っているという。同社の山内祐也社長はコロナ禍で海外店舗があったことでブランド連結として収益を確保できたと、海外進出のメリットを語った。

K-ブランドオフ (石川県金沢市) 山内 祐也社長(46)

1977年10月18日生まれ。岐阜県各務原市出身。2000年4月に株式会社コメ兵に入社。 19年に株式会社K-ブランドオフの代表取締役に就任。21年株式会社コメ兵ホールディングスの取締役に就任。

 

 

 

 

コロナ禍で現地化を強化 スタッフの意欲を高める改革

―BRANDOFF は2008年に海外進出し、香港と台湾で計13店舗の展開をされています。
山内 当グループは2019年12月にM&AによりBRANDOFFの事業を承継し、現在も香港と台湾への増店を進めています。日本の人口は減少していますが、リユースを利用する人数は増加しているため、リユース市場は伸びています。とはいえ、今後の人口減少やプレイヤーの増加を考え、海外に販路を求める動きが強まっています。
 その中で香港と台湾の出店を強化しているのは、日本から近いため出向メンバーが行きやすく、マネジメントしやすいことが大きな理由です。また、アジアはブランド好きという特徴があり、その中でも親日の香港と台湾は商売がしやすい。色々な要素を考えると、この2カ国への展開は良い選択でしたね。
 現在、オペレーションはほぼ現地のメンバーで回しています。海外展開の成功のカギは現地化できるかどうかだと考えています。
―なぜ現地化がカギになるのでしょうか。
山内 言葉の壁やコスト面のことを考えると現地の人材を雇った方が良いですし、現地を知っている人が運営することが非常に重要です。BRANDOFFについてはM&Aをした段階で、ある程度現地化ができていました。その後すぐにコロナが来て、余計に現地化を進めざるを得ませんでした。日本人を日本に帰したことによって、コロナ禍で現地化の教育が進んだのです。
 そして現地の人が働きやすく、やる気が出るように改革を行いました。基本給の考え方、賞与の考え方、報酬体系、役職名もそれぞれの国で違います。人事制度や職務権限など、その国に合わせた制度に作り直しました。成績が良い時にみんなで喜び、良い成績が出ればインセンティブや短期ボーナスを出します。海外の小売業ではその月々にインセンティブが発生するのが一般的なのです。その方がみんな頑張ってくれるので、現地に合わせています。
―海外進出をされる際、どのように国の選定をされているのですか。
山内 日本で海外戦略の話をする時、よく国と大きく捉えがちですが、実は都市戦略なんですよ。当グループは積極的に海外展開していますが、都市の選定をする時はその都市のGDP、小売業の売上高、またちゃんとしたショッピングエリアがあるかどうかを見ます。リユースの場合は買い取りをしなければならないので、第三次産業があるか産業構造も見ています。

海外店舗でコロナ禍の収益確保 競合が少なく粗利率が出やすい

―海外店舗の業績の変化を伺いたいです。
山内 当グループが事業承継したタイミングは、香港は赤字でした。収益が出ず店舗を減らしている状態でM&Aをしたのです。一方、台湾は会社設立してからキャッシュポジションが良く、ある程度利益を確保し続けていました。ただ、赤字だった香港も我々が承継した後に、商品管理の強化や、販売強化施策によりコロナの最中でしたが黒字になりました。
 香港と台湾はコロナ禍中の復活が早く、営業再開ができず日本が苦しい時期に、台湾と香港で商品を売って売上を立てることができました。台湾と香港に出店していたことが功を奏し、ブランド連結としてちゃんと収益を確保することができたのです。
 香港は関税が掛からず、現在は円安ですし、海外で売った方が利益は出やすくなります。円高になればその逆もできるので、グローバルに拠点を持っているメリットは大きいですね。
―現地のマネジメントで苦労していることはありますか。
山内 日本のように一つの会社に長く勤めるという考え方は薄く、どちらの国も定着率は日本よりは低いです。我々は偽物の見分け方、プライシングの仕方、接客などノウハウを教えるのですが、覚えた頃に辞めてしまう人がいます。そのため、ヒューマンリソース担当者という、日本でいう人事部を置き、スタッフとの面談やヒアリングを定期的に行っています。
 人の流動性が高く大変な面もありますが、台湾に関しては家賃が高くなく、コスト全体が日本よりも若干安いため、収益の出しやすさを感じています。一方、香港の家賃は日本より高いですが、市場の大きさ的にもGDPが伸びていた時は、香港の方がビジネスの拡大のしやすさを感じていました。その国その国で一長一短がありますね。
―日本と比べて営業利益率はいかがでしょうか。
山内 台湾も香港も日本よりは営業利益率が高いです。経費の構成比が低く、粗利率が取りやすいからです。適性の価格より高く買い取りをしていますが、日本ほど競合が少ないため、日本の競争環境と比べると、台湾や香港は買い取りが成約しやすくなっています。そのため、仕入れ価格と販売価格の差が出やすく、粗利率が高いのです。現段階では日本よりも利益が残りやすく、ビジネスが成功しているといえます。
―今後の海外事業の展望について教えてください。
山内 今グループで海外事業の売上比率は10%なのですが、そのほとんどがBRANDOFFの売上です。当社としては今後も台湾と香港を強化していきたいと考えています。また、現在は台湾と香港どちらの会社も私が代表になっていますが、現地化の最終段階はトップマネージメントも現地の人に任せられることだと考えています。ゆくゆくは現地の人を社長にするのが目標です。

台湾の台中廣三(グヮンサン)SOGO店

人事制度や職務権限を現地化している

次なる成長を目指す
すべての経営者を応援する
フランチャイズ業界の専門情報誌

フランチャイズ業界唯一の専門情報誌として、毎号さまざまな切り口をもとに新興本部から大手本部までをフォーカス。またFCを自社の新たな経営戦略として位置付け、中長期的な経営を目指す経営層に向け、メガフランチャイジーの情報も提供しています。

記事アクセスランキング
次なる成長を担うすべての起業家を応援する
起業&新規事業の専門情報誌

“起業のヒント” が毎号充実! “ビジネスチャンス” の宝庫です。
すぐにでも役立つ独業・開業・転業・副業サポートの雑誌です。
資金をかけずに始められる新しいビジネスの紹介、FC、経営・会社運営のノウハウなど、多くの経営者からの“起業のヒント”が毎号充実。

定期購読お申し込みはこちら